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8、 美女を想うと壊れます。

 「ね、寝れるわけがねぇ・・・」

 

 時刻は夜の12時を数刻過ぎた位。

 緊張からか、テンパっているのか、睡魔が訪れてこない。

 俺は布団に入り、スマホで、あることを調べていた。

 

 『デパート デートコース 人気』

 

 これを検索サイトの検索欄に打ち込んでは消して、と何回も繰り返す。

 

 「こ、これは、と、途轍もなく、恥ずかしい」

 

 乙女属性かとも疑うが、そうでないことを願う。

 とは言っても、友人に検索履歴なんて見られてしまった暁には、自身をめった刺しにしたくなるほどの羞恥に見舞われるのは目に見えている、というよりそうなった友人を見たことがある。

 

 何とか自分との戦いに勝利した俺は検索を押し、思い出す。

 さっき来た連絡で、行く場所はもう決めているような口振りだった。

 とはいえ、知っておいて損はないだろうと、それらに目を通す。

 服も見ておいた方がいいのか・・・


 ☆


 なんだかんだと、いろいろ調べていると、結局2時くらいに寝落ちていたようで睡眠は意外としっかりととれた。

 起きた時間は、現在6時半。

 ベットをから起き上がり、部屋を出てすぐ右に曲がり階段を下る。すぐ左に見えたドアを抜け洗面所へ。

 洗顔をしようと洗面所のドアを引くと、そこには先客。

 

 「あ、はるにぃおはよ」

 「んー」


 俺のことをはるにぃと呼ぶこいつは、人道沙霧(さぎり)、二歳下でありながら我が妹ながら整った顔や体形をしていると思う。


 「なに?はるにぃあたしの体じろじろ見て、あたしに発情したのヘンターイ」

 「ッハン」

 「あー、この兄貴あたしのこと鼻で笑いやがったー」

 「ははは!俺に勝とうなど数年早い、後終わったなら洗面所使わせてくれ」

 「ほいほーい」


 まー、仲は良いのだと思う。

 だが今日に限ってこいつに構っていられるほどの暇はない。

 

 俊敏に洗顔を済ませ、仕事に行った母の用意して行ってくれたトーストを五分で咀嚼し、シャワーを浴びる。昨日はなぜか寝つきが悪かった上に汗がひどかったからだ。

 シャワーをしっかりと浴び、つながった脱衣所兼洗面所で、歯磨きと髪を乾かし、着替える。

 それを済まして、7時ぴったり。

 荷物の確認すらも済まし、リビングにいって、珈琲を啜る。

 リビングでテレビをつけてスライムの様にだらけている沙霧は、俺を見て驚いた顔をする。


 「おにぃ、今日でーと?」

 「おー、そーだぞー」

 「その割にテンション低くない?」

 「HAHAHA!何を言うか!私は今楽しいぞ!」

 「あっ、ちがう。これ楽しみ過ぎて振り切れて壊れたわ」

 「・・・」

 「このタイミングで黙るな、はるにぃ上の空すぎるぞ」 

 

 コーヒーは甘かった(無糖)。

珈琲が甘くなるラブコメは好きです。


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