7、 美女は恥ずかしがり屋です。
「ここまででいいわ」
「嫌だ」
「どうせ部屋に行きたいからでしょ?」
「その通りでございますが、ご検討のほどよろしくお願いします」
「なんで今日イチのドヤ顔なのよ・・」
「ま、いいや。それじゃ明日学校で」
「え、明日学校ないわよ?」
「う・・・っそ」
「いや本当、明日は土曜日」
「・・・」
今日一日、それに固執してきたせいで曜日という概念が頭から消えていた・・ってそれよりも!
これは、今言うべきか。
正直さっきまでは言う気はなかった。
ゆっくりでもいい、そう思ってたから。
「晴馬」
「はいなんでしょうかお嬢様」
「そのテンション止めて・・・デートしましょうよ、明日」
多分すごく間抜けな顔をしていたと思う。
だって、俺だってそう思ってた。
すると、さらに衝撃的な言葉を重ねられる。
「あ、やっぱなし」
「え?なんで?」
「晴馬から言ったらいいよ、行ってあげる」
「く・・・」
それは反則だ、あまりに小悪魔的な笑みを見てしまっては、引くに引けない。
「お嬢様、私と逢引をいたしませんか」
「なんでそういうキャラにしたがるのよ・・・それじゃ後で連絡入れるわね」
「分かった」
嬉しい気もするが、一杯喰わされたという衝撃が勝って、上の空になる。
風呂では溺れそうになり、階段では滑って脛を強打した。
ほぼ同時刻。
神原家の二階突き当りの部屋でピンクのルームウェアを身に纏ったとある美女はベットの上を行ったり来たり、赤面させていることを、晴馬が知ることは無い。