6、 美女は嫉妬をします。
「で、勢いでデートに誘ったはいいものの・・・」
「どこに行けばいいのか分からないと・・・お前、バカだろ」
「おうおう、和人君や。失礼極まりないぞ」
「少なくとも詩穂さんは、お前が必死になって考えたルートなら喜ぶ、確実に」
「ほんとかよ・・・」
「ホントだよ」
そう、昼休みの愚行(別に悪いことでは全くない、むしろいい)で、勢いでしてしまった行動に自己嫌悪の波が・・・・。
「お前なぁ、四時限目といい、昼休みといい、別にお前に非はないだろ・・・」
「けど!」
「あーはいはい、そういうのはうちでは受け付けてないんで」
「め、めんどくせぇ」
「お前が言うな」
はい・・・落ち着こうか。
今日一日は踏んだり蹴ったり。
そもそも今日は三か月記念日なのだが、詩穂は特に気にした素振りもなく。
何でおれはこうも・・・。
こうしていても思考は停止したまま、不毛な時間だという客観的自覚はある。
が、そうもいっていられなく。
しゃがみこんでは唸って、授業ではさされたけど上の空で答えて(和人氏による後日談より発覚)、本を読んでも集中できず。
あれこれ考えていれば終礼も終わり、いつの間にかまばらに生徒が返っている。
「晴馬」
ハッとして顔を上げるが、そこにあるのは詩穂の顔でなく、詩桜瑠香という、クラスの明るい女の子の顔があった。
のだが、俺はこいつといい思い出がなく・・・
「ねぇ、その明らかに嫌そうな顔をしないでよ」
「貴様、忘れたとは言わせない!あれは前世五百年ほど前!」
「その中二病のイタイ奴なキャラもね」
「・・・マジでなんだ」
「いや、私、今日掃除当番」
「ほう」
「で、あなたも掃除当番」
「うっそ・・・」
「ま・じ♪☆」
「・・・」
よりにもよって今日かよ・・・とは思ったものの、サボるのは瑠香に悪いなと思い、しゃーないと気合を入れて即刻終わらせる。
「悪かったな、瑠香」
「ほいよー、放課後デートをお楽しんで~」
「へいへい」
急いで昇降口まで行くと、詩穂が隅の方で待っていた。
俺を見た途端、周りの空気が一瞬ぱぁぁっと明るくなるが、一瞬にしてむすっとした顔になる。
こういう顔の時はたいてい嫉妬の顔なのだが・・・
「なんかごめん」
「ほんとよ、色目使っちゃって」
「へ?瑠香?」
「・・・ん」
「んな訳ないよ」
「・・・なんでよ」
「あいつにはバケモノな片思いがいるの」
「貴方も大概よ?」
「それ、詩穂に言われると泣く・・・」
「あ、そういうつもりじゃなくて・・」
「じょーだん、さ、遅くなってごめん、行こう?」
「うん」
なぜだろう、さっきまでの悩みが吹き飛んだ。
別に焦らなくてもいいのだ、スローでもいいのだ。俺たちのペースであれば。
そう思えるほど、尊い時間なんだと、そう思えた。
焦ってくれ。私は早くくっつけるのだ(タグ詐欺)。
そんなことはしません、冗談ですので。
そうだ、別に深い意味は無いですが、「地獄の世界を僕らが行く!」の登場人物を流用しています。
補足程度に。