4、 美女は好きな人を眺めます。~後編
私はサッカーが好きです。
今日の授業は勝ったチーム対勝ったチーム、その逆もしかり。
うちのクラス(男子)から2チーム、詩穂のクラス(男子)から2チーム。
計4チームでルーレットなのだが・・・
まあ、一番最初の俺のプレーが目を魅かれ、和人のチームの暗黙勝利で俺とどっちが強いかという賭けが詩穂のクラスの男子で行われている。
いいけど君たち、賭博はだめだよ?
気を取り直し、一列に並んだ赤いビブスを着ているのが俺のチーム。
それに対し、紫色が和人のチーム。
お互いに握手を交わし、笑いかける。
「久方ぶりだな、お前のガチ」
「お前のせいだよ、ホント勘弁してくれ」
「それでも楽しそうなのは誰のせいだろ?」
「サッカーのせいだな」
「ハハハ!」
これだけを交わし、俺も、和人も集中する。
ゴール前には野球少年・・・と思うといつの間にか負けたチームにちゃっかり入って遊んでやがる。
すると、困り顔をした佐藤が俺に声をかける。
「え、えっと、晴馬くん」
「佐藤、どうした?」
「キーパー、やるよ」
「大丈夫か?」
その進言はとても嬉しい。
が、ケガをする可能性が高いあるポジション・・・
少し考えたうえで、ある結論を出す。
「佐藤、頼む。皆ぁ!佐藤のサポートだけはしてやってくれ!!」
「「わかった」」
キックオフは和人のチーム。
フォワードの生徒が、ボールを蹴りだす。
瞬時に体を倒し、その勢いで生徒に向かって走る。
言い方は悪いが、素人の場合、人が突っ込んでくるのはものすごく怖い。
別に、部活をやっていても怖いがやりようを知っているが・・・これは授業。
当然運動が苦手な奴もいる。
そういう恐怖心を抱いている奴はすぐに避ける。
そうして避けたところに残ったボールは俺が攫い、保持する。
当然、囲むようにボールをとりに来る。
それを、ボールを上に弾き上げ、俺に意識を集中させた上で、すり抜ける。
ボールはすり抜けた俺の足元に収まり、彼らは困惑。
当然最後の関門は、
「いやー、バケモンだね」
「へいへい、好きに呼べ」
「フフフ、楽しいな!」
「・・・」
無言で笑みを返し、ボールを蹴るように振りかぶる。
和人も同じように。
完全に同期した二人の足はボールを掠め、弾性で弾かれる。
当然、力の作用で乱回転をするボールは空高く上がり、太陽を隠す。
ボールはゆっくりと降下をはじめ、当然俺と和人は競り合う。
お互いに飛び上がる。
空中で、敢えて力を込めず、先に着地。
競り合う力と、トラップに意識をしていた和人は、着地に手間取りそこを俺がかっさらう。
アウトサイドを使って蹴りやすいように動かし、身体全体のバネを使ってネットを揺らす。
ウワアアアアアアアアアア!!
キャアアアアアアアアアア!!
男子の興奮した声と、女子の甲高い黄色い声は校舎に反射し反響する。
校舎を振り返ると、多くの生徒教員が、窓から身を乗り出して見ている。
生徒たちのヤジ馬はわからなくもない。分からなくもないが・・・
先生ー!授業やってー!!