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3、 美女は好きな人を眺めます。~前編

恋バナ大好き15歳。

友人には変人扱い。

 無事に2、3時限目を終え、4時限目のために着替える。


 「おいおい、晴馬~!」

 「ンだよ和人」

 「次、サッカーだってさ!」

 「確実にお前と俺のチームで分かれるじゃねぇか」

 「だな!たのしみだぜ!!」


 この男、サッカーバカにして天才は、俺とサッカーをどうしてもやりたいらしく、体育の授業はとても楽しみらしい。

 

 「それに、彼女にカッコイイとこ見せれるぞ?」

 「和人」

 「はい」

 「・・・少しだけだぞ」

 「いやったぁー!」


 今更だが俺は帰宅部。

 詩穂を安全に家まで送ることが任務、という名目で帰宅デートを決行している。

 体育の授業は、二クラス合同でやるため、ちょうど隣のクラスである詩穂は授業中唯一一緒にいられる時間だ。

 体操服に着替え、靴紐をしっかり縛る。

 さていっちょ本気を出しますか。


 ピッ!


 たかく短い音がキックオフの合図。

 早速俺に回ってくるボールを足元に収め、前を見る。

 俺のチームはほぼ全員素人。

 二人ほど野球少年がいるが、そいつらはゴール前で雑談、使うに使えない。

 その他のメンバーの目を見ると、と懇願するような眼をしている。

 えっ、マジで言ってるの?

 ・・・しゃーない、人間諦めも肝心だ。

 ボールをリフティングして浮かし相手の前にちらつかせる。

 ボールをとるために振るった脚が、空を切り、重心がよろけたところを、スルッと抜く。

 ドリブルをし、またでフェンスが1枚俺に寄せる。

 ターンをし、難なく回避。

 とうとう、三枚ほどディフェンスによこしてきた。

 ボールを後ろに引き、つま先を滑れせて足でホールド、それを地面に叩きつけ、たかくボールを上げる。そのボールを蹴りだすと、ディフェンスの上を通り、キーパーの届かないギリギリのネットを揺らす。

 キックオフから、俺たちの試合のボールの音しかしないと思っていた校庭が一気にウオオオオオオオオオオオと盛り上がる。

 女子もキャーキャー言ってる中で、珍しく頬を上気させている詩穂を見つけ、微笑む。

 あ、やらかした、女子の黄色い声援(下心の塊)が増した。

 苦笑してると、チームメイトにいつから気付いてたの?と聞かれ――おそら「ボール来ま()せんように」()――始まってすぐと答えると、めちゃくちゃ感謝された。野球部の二人は俺を恨めしそうに見てるが、君たち動く気すらなかったよね?という言葉は飲み込む。

 その後も点を取らせることなく、12-0で圧勝。

 相手チームは、ハナから諦めていたらしい。ごめんなさい。


 さーてやりますかね、和人君や。

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