10、 美女の彼氏は少しだけ男になります。
今週はちょっと忙しくて投稿がままならないかも知れません、ごめんなさい!
ナンパ殺し。
この異名は俺が詩穂と付き合い始めてすぐに出来た2つ名だ。
ずいぶんと中二病臭い2つ名だが、別に特別なことはしていない。
じっと瞳の奥を覗き込むように瞬きもせずに見つめ続けると、感情の見えない無の目を向けられれば居心地が悪くなる。それにかるぅく、苛立ったような雰囲気を醸し出せばはい完成、ナンパ殺しだ。
手を繋いでいることに気づいても、お互いに離さず、他愛もない話を続ける。
行きついた先は、ゲームセンター。
特に意図は無いのだろう。
あの真っピンクの神聖なる領域の、戦さ場は。無くていい、無いであってくれッ!
「晴馬、こっち」
「おう」
すると彼女は、こともあろうに有名なアニメのゲームをやり始めた。
自分で育てたキャラを動かし、マップの中で敵を倒しクエストをクリアしていく。課金でガチャやキャラをカードにできたりとして、俺も好きな奴なのだが・・・詩穂が好きだというのは予想外だ。
俺の影響を色濃くうけている詩穂は、俺の好きなVRMMOモノや、ざまぁから始まる恋愛、あまあま砂糖過多のモノまでを、熟読している。
今やっているゲームの原作は、10年前に始まったプロジェクトで、俺の様に原作は見ていなかったが楽しめている世代も多いことだろう。フィギュアこそ置いてないが、タペストリーなどは部屋にある。
俺のオタク色多めの趣味を快く受け入れる詩穂は俺よりものめり込んでいる節があるので、問題はない。が、俺は実は昔フィギュアを持っていたのだが、詩穂が怒り、最終的には泣いてしまったので、以後フィギュアは持っていない。
さてと、ユーフォーキャッチャーや、マリ●カートを楽しみ、それでは次にかな?と思ったら、
「晴馬」
「は、はい」
「プリクラ、行くわよ」
「・・・」
うん、知ってた。そうなるだろーな、とは思ってた。
ただ俺は知っている。
この未知なる神域は、俺に未経験の初体験を教えることになるという事を。それを出来れば避けたい・・・いや詩穂が嫌というわけではなくて。
その、ノリとテンションに任せた無責任なそれらは出来れば避けたい。
「晴馬」
「・・・はい」
「別に、それはしなくてもいい」
「・・・分かった。」
嘘だ。
詩穂は今、嘘を吐いた。
目が少し煌き、それが目を潤ませている物を見れば一目瞭然だ。
「行くわよ」
「うん」
お、おおう、このピンクで染まった空間に詩穂と入ることになるなんて・・・。
アオハルって、僕はテンションアゲアゲの青春よりもお耳に優しい恋愛をお好みです!
なんかよく分からない液晶でポーズを選ぶらしい。
最後だけ選ばせてくれといい、俺は最後にあるポーズを入れた。
ま、彼女の泣き顔なんて見たらうじうじ言ってられなくなったよ。