厄介な問題
気がつくと、フロアの中にゴールドストーンの姿は無くなっていた。
夢中になって戦いすぎたらしい。
<ゴールドストーンはフロアに残り2匹だけです。そろそろ狩りを中断したほうが良いかと>
(……しまったな)
やりすぎた。ということに気づいたが時既に遅し。
あれだけ居たゴールドストーンはもうたったの二匹しか残っていなかった。
……大丈夫かな、これ。これだけの数しか残ってないと、繁殖とかもできないんじゃ……?
(メタトロン、どうなってる?)
<ゴールドストーン100体討伐し、賢治様と幹人様は大幅にパワーアップしました。賢治様は新たに『マナ贈与』『詳細解析』のユニークスキルを獲得し、幹人様は『耐性破壊』『攻撃力破壊』『知能破壊』『完全破壊』を獲得されました>
(いや、そういうことじゃなくて……)
<ゴールドストーンについてでしたら、魔物は特異種を除いて無性生殖ですので、一匹でも残っていれば、数はいずれ増えます>
(そうか。で、どれくらい時間が掛かると思う?)
<それは不明ですが、なにせ2匹しかいませんから早くとも数年が掛かるでしょう>
……なるほど。それが分かっているならもう少し早く止めてほしかったが……
何はともあれ、とりあえずステータスを確認することから始めよう。
(まあいいや、ステータスを教えてくれ)
<了解しました>
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悪道幹人 マナ総量:5010030
基礎ステータス
力:1000
体力:877
技術:155
素早さ:140
魔力:300
魅力:50
運:1
残ステータスポイント:250
残スキルポイント:50
ユニークスキル:『ブレイカー』:『防御力無視』『装備破壊』『地形破壊』『攻撃力破壊』『耐性破壊』『攻撃力破壊』『知能破壊』『完全破壊』
スキル:バルクアップLV1 重装備LV2 鈍器LV2
取得可能スキル:バーサーク 鋼鉄の体 滑舌向上……その他25種
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二宮賢治 マナ総量:5310300
基礎ステータス
力:340
体力:237
技術:255
素早さ:280
魔力:118
魅力:10
運:100
残ステータスポイント:189
残スキルポイント 38
ユニークスキル:『神の叡智』:『完全記憶』『解析』『神の風呂敷』『神の加護』『自己管理』『マナ贈与』『詳細解析』『空間認識』
スキル:鈍器LV7 中装備LV7 ふんばりLV1 危機回避LV9 逃走術LV6
取得可能スキル:暗視 火事場の馬鹿力 集中 幸福 戦闘本能……その他35種
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(うわー! すごいですね!)
幹人がめっちゃテンションを上げている。まあ、流石に俺もテンションがあがった。
なにせ、めちゃくちゃ強くなってる。
言葉通りの意味で桁違いだ。
(メタトロン、とりあえずいい感じにステータスとスキルポイントを割り振っておいてくれ)
<了解しました>
うーん、なにはともあれ、一度ダンジョン協会に戻るか。
@
俺と幹人は、一度ダンジョン協会に帰った。
そして、気まずい思いをしながら、ミカンにありのままを報告すると……
「新しい魔物を見つけたのに、ほとんど狩り尽くしたぁ!? 何してくれてるんですかぁ! 貴重な狩場になったかもしれないのにっ!」
当然ミカンは激怒していた。
もう、信じられないくらい怒られまくった。
確かに、あのゴールドストーンの居るフロアは、きちんと管理すれば、とんでもなく効率の良い狩場になっただろう。
「ごめんごめん、今回のドロップ品は全部協会に寄付するからさ」
仕方なく、俺は神の風呂敷からドロップ品である大量の『金』を取り出して並べた。
量にすると、およそ50キログラムほど。相場価格だと2億円相当ってところかな?
すると、ミカンの顔から怒りが消えた。
「……まったくもう」
ミカンはため息をついたが、それでなんとか納得してくれたらしい。
それ以上は怒った様子もなく、俺の報告を淡々と聞き続けてくれた。
だが、会議を終えてようやく開放されるかもしれないってところで、突然ミカンのスマホに電話が掛かってきた。
彼女は座ったまま「ちょっとすみません」と言って電話にでた。
「はい、ダンジョン協会副会長の爪田蜜柑です。……え? はい」
ミカンは深刻な顔で話しはじめた。
なにやら大切な電話らしい。俺の方はだいたい話が終わっているし、
(なあ、俺はもう席を外そうか?)
と、俺が思念会話で提案すると、
(ちょっと待っていてください。二宮さんも関わる話ですから)
ミカンに引き止められた。
(俺が関わる話?)
(二宮さんが禁区から持ち帰ってきた『銀炭』ですが、大問題が発生しているそうです)