小さなダンジョンの隠された地下
灯台下暗し、とはこのことだろう。
まさか一番慣れ親しんだ場所であるはずの小さなダンジョンに、隠された階層があったとは。
そう思いながら、階段を下っていくと、そこには目がくらむような明るさが待っていた。
(なんだこりゃ!)
その明るさの正体は、黄金だった。といっても、金の延べ棒じゃない。
岩石のような形をした黄金だ。
<気をつけてください。これは魔物です。おそらくは、サイレントストーンと近い種族でしょう>
(この金ピカが魔物? ……ともかく、解析を頼む)
<了解しました。解析中……完了。
名称:不明
所持マナ量:100000M
概要:金属製の外殻を持っているため、非常に防御力が高い>
(所持マナ100000M!?)
とんでもない数値だ。サイレントストーンの所持マナは1000M。
つまりその百倍ということになる。
(危険なのか?)
<危険度は不明ですが、外殻はかなりの硬度です。黄金に見えますが、実際は金ではないようで、硬度は鋼鉄を遥かに上回ります。並大抵の攻撃ではダメージを与えることは出来ないでしょう>
鋼鉄よりも硬い外殻……となると、たしかにキツイな。
ハンマーで打ったところで、多少表面を歪ませることは出来ても、砕くのは不可能だろう。
ミカンの『超重化』を使った攻撃ならなんとかなるかもしれないが、俺には到底無理だ。
(いや、幹人のユニークスキルの『ブレイカー』に『防御力無視』があったよな)
(あ、そういえば……)
防御力無視ってことはつまり、そういうことだよな?
普通に考えて、どれだけ相手が硬くても関係ないって、そういうこと……だよな?
(幹人、ともかくやってみてくれ)
(わかりました!)
そして幹人は、一つの黄金の塊にハンマーを振り下ろした。
ぐしゃ。と、金色の岩はまるでマシュマロみたいに歪んで、そのまま砕け散った。
直後、眩いほどの大量のマナが吹き出し、俺と幹人の体に入ってきた。
そして魔物が居た場所には、ゴツゴツとした金色の鉱物が残っている。
<幹人様のユニークスキル『ブレイカー』が進化、さらに『装備破壊』と『地形破壊』を獲得しました。また、ドロップアイテム『金』を神の風呂敷内に収納しました>
この黄金の魔物……名付けるなら、『ゴールドストーン』とでも言うべきかな。
一体あたり10万Mの稼ぎになるわけだが、それが数え切れないほどこのフロアの中に居る。
(あははははは! 楽しー!)
幹人はそれを片っ端から叩き潰し始めた。
なにせ一撃で倒せるもんだから止まらない。ボコボコとゴールドストーンを倒し続けて、そのマナを吸収し続けた。




