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成長と発見

 何もかもなつかしい。俺のダンジョン人生はここで始まったんだな。

 と、小さなダンジョンへのゲートをくぐりながら、昔の記憶を振り返っていた。


 あの時は右も左も分からなかったが、今や弟子すら居るというのが信じられないな。

 

 ダンジョンに入ると、俺たちを出迎えるように『バリバリトガリネズミ』が待ち受けていた。

 俺が手を下しても良いが、ここは幹人に任せるとするか。


(幹人、はじめての戦闘だ。頑張れよ)


(任せてください!)


 幹人はウォーハンマーを持って魔物に向かって飛びかかった。

 そして、一撃で魔物を倒して(どうですか!)と、こちらを見て喜んでいる。


(良いぞ、才能があるな)

 弟子ってものをとった事がないからよくわからないが、基本的には褒めておけば問題あるまい。


(ありがとうございます! 師匠)


 幹人はニコニコ笑って、ガッツポーズを取っている。

 うーん、正直な子供だな。年は俺の半分もいってないし、見た目はアレだが、中身は可愛いいじゃないか。


<賢治様、前方15メートル先にサイレントストーンを確認しました>


(よし、じゃあ幹人。あの岩を倒すんだ)


(了解です)


 幹人はサイレントストーンに飛びかかり、またウォーハンマーを振り下ろした。

 そして一撃でサイレントストーンは砕け散った。



 それにしても、分かっていたことだが、現時点でも既に俺より戦闘能力が高いな。

 ウォーハンマーをまるでプラスチックのおもちゃのように軽々振り回しているし、その攻撃を食らったサイレントストーンは、まるで爆発するようにバラバラに砕けちっている。


 まだ一切成長していない段階でこれから、幹人のやつ、末恐ろしいな。

 

 そんなことを考えていると、幹人はあっという間に狩猟制限である10匹まで到達してしまった。


(これでもう終わりかぁ……残念です)


(けど、これで大分強くなっただろう。ダンジョンを出たらステータスを確認しよう)


(え? 師匠はサイレントストーン狩りをしないんですか? せっかくここまで来たのに)


(俺? ……ま、ここまで来たし、ちょっとだけ狩っていくか)

 

 確かに、ここまで来て何もしないというのも無駄だ。


 それに、結魂のおかげでサイレントストーンを倒すことによって得られるマナは幹人と均等分配されるわけだし、幹人のことを考えると、おれも戦った方が幹人のためにも良いだろう。


 弟子に見せられるような戦闘スキルは持ち合わせていないが、まあいっちょやってやるか。


 ということで早速俺も、サイレントストーンをボコボコと狩った。

 一匹、二匹、三匹、そして四匹目を狩って、そのマナを吸収した時だった。


<賢治様、ユニークスキルの『神の叡智(わたくし)』に新しい能力が追加されました>


(んなにっ!)

 随分久しぶりにメタトロンが進化した。

 突然のことで少し驚いたが、まあ、そういうこともあるだろう。


(それで、どんな能力だ?)


<追加されたのは『空間認識』です。今までは『解析』を利用して周囲の空間を把握していましたが、空間認識では、精度は劣るもののそれよりも遥かに広い空間の状況を常に把握できるようになります>


(範囲は?)


<半径500メートルです>


 うーん。なるほど、半径500メートル以内の索敵が可能となると、魔物に不意に遭遇することがまず無くなるな。これで、少し危険なダンジョンに挑んでも問題無くなる。


<そして賢治様、早速『空間認識』による成果があります>


(なんだ?)


<この『小さなダンジョン』ですが、今までは一階層構造のダンジョンだと思われていたのですが、空間認識によって、行き止まりだと思われていた通路の先に地下への階段を発見いたしました。おそらくは未知の領域になりますが、いかがなさいますか?>


(へー……なるほど、未知のエリアがあるのか。幹人、どう思う? 少し危険かもしれないが行くか?)


(ぜひ行きましょう! 隠された地下階層なんて、面白くなってきましたね!)

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