忘れられたダンジョン
どうやってダンジョンで金を稼ぐのか。と、俺たちは3人でアイデアを出し合った。
ダンジョンを観光名所にして金を稼ぐとか、突飛なアイデアはたくさん出たが、結局のところ、答えはこれに帰結した。
「やっぱり、魔物を倒してドロップ品を集めるしか無いと思います。メタトロンの能力があれば、サイレントストーンのように今まで見逃していた魔物を発見出来るかもしれませんし、ゴッドメタルやドラゴニウムなどの希少物質を見つけることができれば、1ヶ月以内に2億を稼ぐことも十分可能だと思います」
「結局はそうなるよな」
俺もミカンと同意見だった。
が……ただ、この方法によって利益が出るのは確実じゃない。むしろ、運任せという要素が強い。
「……休んでいる時間はないな。急いでダンジョンを巡ろう」
いくら運任せとは言っても、試行回数を増やせば、いくらかはマシになるだろう。
だから俺たちは、早速流浪のダンジョン巡りを開始することにした。
だが、完全な無策というわけでもない。
実は、古文書のデータの中には、禁区以外にも現在では管理されていないダンジョンの存在が確認できていた。それらの『忘れられたダンジョン』の中には、まだ見ぬお宝が眠っている可能性もあるだろう。
最初に目星をつけたのは、『白花ノ獄』という名前のダンジョンだった。
文献に残されていたのは、そのダンジョンの位置のみで、内容については一切が触れられていなかった。
しかし、そのダンジョンの入り口は現代で言うところの、明石山脈の東側。つまり入り口は山の上にある。かなり厄介な立地だが、同時に、荒らされずに残っている可能性も高いだろうということも推測できた。
そして目的地を定めた俺たちは、登山用品を買い揃え、急いで西へ向かうために北陸新幹線で長野に向けて移動を開始した。
(登山、したことないんスよねぇ……)
凜音が不安そうにつぶやいた。
俺も登山経験は無いが、『神の加護』のお陰でダンジョンの外でもマナの活性化によって身体機能が向上しているから、さほど不安はなかった。
(確かに、今回はダンジョンに行くまでがかなり大変そうだな)
<だからこそ、あまりデータが無いのでしょう>
(現代ですら山登りは大変なのに、大昔に山登り&ダンジョン攻略なんてやろうとしたら、とんでもないことだろう。……と言っても、俺たちは今からそれをやろうとしているわけだが)
(頑張るっス!)
俺と凜音が思考会話をしていると、ミカンが
「さっきから黙り込んで、どうしたんですか? ダンジョン攻略の作戦を考えましょうよ!」
と、口を挟んできた。
おっと、しまった。ミカンは思念会話が出来ないんだったな。ということに今更気づいた。
これから一緒にダンジョンへ向かうことを考えれば、彼女とも結魂しておく必要があるだろう。
「ミカン、ちょっと手を出してくれないか?」
「手? ……何するつもりですか?」
「ケッコンっす! ケッコンすればすぐ分かるっスよ」
凜音が笑いながらそう言うが、説明不足すぎて、ミカンはますます混乱してしまったらしい。
「なんですか? ケッコンって……どういう……え?」
「説明は後でするから、とりあえず……いいかな」
俺はミカンの手をとった。
「え……」
ただ、ミカンの右手をつかんでその手を見てみると、その腕の異様さに気づいた。
傷だらけだ。
まるで歴戦の軍人みたいに、古傷がいくつもある。
手のひらに、手の甲に、腕に、びっしりと。
「ああ、驚いちゃいました?」
ミカンは少し気恥ずかしそうに笑った。
「悪い」
たしかに、当然と言えば当然かもしれない。
俺と凜音はサイレントストーンばかり相手にしていたから、傷を負っては居ないが、ミカンはもっと普通の魔物と戦ってきている。
「いいんですよ。それより、何するつもりなんですか?」
俺は軽く結魂の仕組みについてミカンに説明をしてから、彼女とも結魂の儀式を結んだ。
(へー! これが思念会話ですかぁ、便利ですね!)
(だろ?)
(戦闘中って、会話している余裕は無いですけど、これなら連携もうまくとれそうです)
ミカンは、直ぐに思念会話にも慣れてくれた。
同時に、彼女のステータスを把握することができた。
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爪田蜜柑 マナ総量:80270
基礎ステータス
力:70
体力:120
技術:10
素早さ:30
魔力:20
魅力:48
運:21
残ステータスポイント:26
残スキルポイント 7
ユニークスキル:『重力操作』:『装備軽量化』『超重化』『重力反転』
スキル:斧LV10 重装備LV8 ぶん回しLV3
取得可能スキル:挑発 大防御 兜割り 粉砕 ……その他10種
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ミカンのステータスを見て気づいたことは、まず第一に、俺と凜音よりもマナ総量が少ないということだ。先輩であるミカンを追い抜いているということは、やはりサイレントストーン狩りは破格のマナ獲得効率だったらしい。
ただ、それよりも気になったのは、彼女の体力の高さだ。
かなりステータスが偏っている。
<蜜柑様については、あまりに『技術』が低いので、ステータスポイントの割り振りによって補う必要があるかもしれません>
(私は魅力を上げたいです!)
(魅力……割り振り可能なのか?)
<可能ですが、おすすめはしません。戦闘において、およそ役には立たないステータスですから>
(お願いしますお願いしますお願いします)
ミカンはめちゃくちゃ魅力のステータスにこだわってダダをこねはじめた。
無駄なことはやめさせたいが……本人の希望を無視することもできない。
メタトロンの意見と同時にミカンの意見も尊重した結果、このようステータス割り振りをすることになった。
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爪田蜜柑 マナ総量:80270
基礎ステータス
力:70
体力:120
技術:13→26
素早さ:30→41
魔力:20
魅力:48→50
運:21
残ステータスポイント:0
残スキルポイント 0
ユニークスキル:『重力操作』:『装備軽量化』『超重化』『重力反転』
スキル:斧LV10 重装備LV8 ぶん回しLV3 挑発LV0→2 大防御LV0→5
取得可能スキル:挑発 大防御 兜割り 粉砕 ……その他10種
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ミカンは完全なタンクって感じだ。高い体力を生かして、挑発で敵の注目を集めて戦う。
ユニークスキルのお陰でいくらでも重装備が可能だから、防御力は見た目よりも更に高くなるだろう。ともかく、これで次のダンジョンに向かう準備はできた。
(うーん……もっと魅力をあげたかったなぁ)
しかし、当のミカンは若干不満そうだった。




