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DAY 4 屋台建造

ご報告いただいていた誤字脱字を修正しました。

ご協力ありがとうございました。

トテカン、トテカン。ザクッ。


「よーし、広告はこんなもんだな」


俺は、屋台建設?予定地に、明日から販売を始める旨を書いた立て札を立てた。


マイユが持っている大きな籠には、ミルカン飴160個と、チラシ160枚が入っている。

チラシ? 1枚書いてDPで複製したのさ。簡易印刷というよりコピーだな。なかなか便利だ。4DPもかかったが。


チラシには、「サンドイッチ始まります」という言葉と共に、シャロン謹製サンドイッチの絵が書かれていた。こういう才能もあるのか、なかなか上手い。というか味のある絵だ。

「1小銀貨」「安い!」なんてあちこちに書かれているが、屋台の商品としてみれば結構高価だ。因みに字は俺が書きました。


これから、看板に興味を持ってくれた人には、チラシとミルカン飴を1個配るのさ。

たぶんDPも入って、うはうは、のはずだ。

二人には、ダンジョンの範囲から出ないように言ってある。


俺はと言えば、彼女たちの後ろで、屋台自体を作っていた。

部屋の装飾を作る要領で、DPを使えば一瞬なのだが、それだと、ダンジョンを消した時に、一度リセットしないともう一度ダンジョン化できない。


DPがいくら掛かるか分からないし、出たり消えたりするのも変だろうから、結局、手作業で作った方が、後々便利なのだ。

なお、内側に強化するためのフレームをダンジョンの壁扱いで入れようと思っている。それなら、出たり消えたりしたところで、外からの見た目は変わらないからな。


「なんだ? マイヤーがよく軒先を貸したな?」


隣で、なにかフォーのようなものを売っているオッサンが、そう言って声を掛けてきた。

話を聞くと、ここは一等地であるにもかかわらず、誰にも場所を貸していなかったそうだ。だから、ここはずっと空いたままだったらしい。


「どういう心境の変化なのかね? 売ってる物がよっぼどうまいとかか?」


ちょっと興味を見せてくれた隣のオヤジをみて、シャロンが、「はい」と、ミルカン飴とチラシを差し出した。


「おいおい、こんなもの配ったところで、字の読めないやつも多いんだぜ?」


あ、やっぱ、識字率低いんだ……でもなかなかいい絵と値段が描いてあるからそこは分かるんじゃないかな。


「ふーん、サンドイッチね。……って、なんだこりゃ?! 小銀貨1枚だと?!」

「あ、やっぱ高すぎますかね? それくらい元手がかかってるもんで」

「いや、他人(ひと)様がどんな値段でものを売ろうと、そりゃ勝手だがよ。屋台の商品は大抵銅貨1~3枚だからなぁ……」


相対的に高額に見えますよね。わかります。


「それでも宿の食事1回分くらいですし、喜んで貰える自信はあるんですが」

「自信たってなぁ……、で、こっちの丸いのはなんだ?」

「ああ、それは、ご挨拶にお配りしている飴ですよ。舐めて食べて下さい」

「ほう」


そう言って、それを口に入れた男が固まった。


「な、なんでぇ、これは?! これをタダで配ってんのか?! ありえねぇだろ!!」


その声を聞いた、通行人達が、あからさまにこちらに興味を示しているのを見て、打ち合わせ通りシャロンとマイユが、口上を述べ始めた。


「明日から販売を始めるサンドイッチです。どうかよろしくお願いしまーす」

「チラシを貰ってくれる方には、こちらの飴をプレゼント。おひとりさま1個ですけどね」


それを聞いて歩いていた人達が、ぽつぽつとそのチラシを受け取りにやってくる。

たぶんこの世界初のチラシ配りだ。それに伴って、ログが流れ始めた。


『ベイブを撃退。2DPを取得した』


隣のオッサン、ベイブっていうのか。


『テレンスを撃退。4DPを取得した』

『ボビンを撃退。3DPを取得した』

『ペローを撃退。3DPを取得した』

『サイラスを撃退。2DPを取得した』

・・・


おおお、いいよいいよ! この調子で160枚配り終えたら、400DPくらい軽く行っちゃうんじゃないの?

俺は流れていくログにニマニマしながら、板に釘を打ち付けて、屋台の形を作っていった。


◇◇◇◇◇◇◇◇


「発表します!」


チラシ配りを終えた俺たちは部屋に戻ってきていた。

夕方まではまだ少し時間があるが、屋台も一通り完成したし、使い方のレクチャーも必要だからな。


「「わー、ぱちぱちぱち」」


ふたりが、ノリよく合いの手を入れる。眷属になってから時々コアと話しているみたいだし、へんな教育をしてるんじゃないだろうな。なんとなく不安だ。


そういえばふたりの眷属化にかかったDPは0だった。レベルはともかく、抵抗値が0だったのだ。コアが「さすマス」と言っていた。


「ふたりの尽力のおかげで、160枚のチラシは全部はけました。ゲットしたDPは~」


俺の台詞にあわせて、コアがわざわざドラムロールを再生する。芸が細かい。流石インフェルノ型。


「286DPです!」

「「わー!」」


最初こそ冒険者などの高レベルの人が多かったが、口コミで知られていくうちに、近所の住民や、以前のマイユ達みたいな子供が集まってきて、最後の方は、DP1が激増したのが伸び悩んだ原因だ。

だが、286だよ、286! なんか1000くらいならすぐ返せそうな気がするぜ(強気)


--------

DP:316 (debt:-10,000) RD:14,630

金貨 1, 銀貨 4, 小銀貨 6, 銅貨 3

--------


「カモさん、気を抜いちゃだめって、コアちゃんが言ってたよ?」

「あ、はい」


シャロンさん。しっかりしてますね。


「ではこれから、屋台の使い方を教えます」

「「はい」」


屋台のテーブルの上には、商品を並べる場所がある。そこに商品を並べるのは普通だが、その下、表から見えないところにこの屋台の本領があるのだ。


そこには2つの宝箱が設置されていて、なくなれば即リポップする設定になっていた。

リポップするのは、もちろんサンドセット、2組で1DPだ。

その隣は、グラニュー糖が敷かれたパッドの上にある耳揚げだ。こちらもなくなればリポップする。40本で1DPだ。パッドの上には細かい網の上に載せられたグラニュー糖があって、網をコンコンと叩けばそれがまぶされる。

4本を一組を紙の袋に入れて、サンドセットに付けて売るのだ。


これだけを欲しいという人が増えるなら、1本銅貨1枚で売る予定。こちらは袋なしだ。ただし、おひとりさま4本限りと言うことで。やはり何度の足を運んで貰わねば。ぐひひ。


お金とDPは相場はあれども等価交換だ。貨幣をすぐに吸収してDPにしても、DPをすぐに貨幣にしても、手数料的な支出はない。だから、集まったお金は、ある程度まとまった段階で、テーブルの下でDP化するようにした。すぐにDP化すると、お釣りが必要なとき困るからな。


これで傍若無人な何者かが強盗に入ったところで、そこにお金はないというわけだ。


そしてテーブルの下にあるダンジョン謹製のセーフティボックスに飛び込めば、大抵の場合は安全だ。なにしろダンジョンの壁は破壊不能オブジェクトだからね。

普段は二人の椅子だけど。


「基本、一人は販売。一人は耳揚げの袋詰めだ。わかったか?」

「わかったー」

「任せておきなさい」


自信満々のマイユだが、こっそり練習しているのを知っているぞ。ういやつめ。

この方法だと、リアルタイムでDPの原価が必要になるから、念のため今日のところはキープしておこう。


レクチャーを終えて、夕飯を食べた俺たちは、くっつけた布団の上で、割と遅い時間まで明日のことを楽しく話し続けていた。


DP:316 (debt:-10,000) RD:14,630

金貨 1, 銀貨 4, 小銀貨 6, 銅貨 3

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