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プロローグ

念願のハイファンダンジョンものを公開できたぞっ(AA略

ロー・ハイ両方書けたので、これにてダンジョンものは打ち止めです。


この作品は章単位でまとめて公開されます。章と章の間はやや間隔があくかもしれません。


「あんた、誰?」


俺は思わずそう言った。


目の前には、完璧な英国執事風の男が一人、イングリッシュジェ~ントルマンと言わんばかりの姿勢で頭を下げていたのだ。


「ようこそいらっしゃいました、三上様」


辺りを見回せば、話に聞いていた白い空間。


「なるほど、俺は死んだわけか」

「御理解が早い」


ちょうどコンビニで明朝(みょうちょう)の買い物をした後、店を出たところで、乗用車が突っ込んできたところまでは覚えている。きっとアクセルとブレーキを踏み間違えたのだろう。一昔前なら、こういう事になる原因はトラックだったんだが、最近はそうでもない。


「それで、神だかなんだかは知らないが、俺になにをさせたいわけ?」


ま、大抵は特にないとか言われちゃうんだよな。


「話が早くて助かります。三上様には、ダンジョンの運営が割り当てられております」


あるのかよ、使命。しかも割り当て?


「ダンジョンの運営? って、誰が割り当ててるの?」

「神ならぬこの身にはあずかり知らぬ事。強いて言うなら、摂理、というものでしょうか」


それって、神の配慮ってことじゃん。


「チートは?」

「ございません」


「他に選択肢は?」

「ございません。ですが代わりに難易度を選択できる権利が与えられております」


「……なんだがゲームみたいだな」

「そう思いたいのでしたら、そのようなものと受け取っていただいても、間違いではございません」


そう聞いて俺は俄然やる気になっていた。


生前?の俺は仮にもゲーマーだ。そして真のゲーマーは、常に最高難易度を選択するものなのだ。ライトユーザーなどとは違うのだよ。


「じゃあさ、一番難しいのは?」

「は?」

「一番難しいモードだよ」

「それは……インフェルノでございます」

「じゃ、それで」

「本当によろしいので?」


執事風の男は驚いたような顔をして、聞き返してきた。


「もちろん」


平気な顔をして即答したが、下心がないわけじゃない。


ゲームのようなものだとしたら、難易度が高ければ高いほど、なにか大きな特典があるはずだ。

経験値が何倍にもなるとか、ドロップ率がとても高くなるとか。


「かしこまりました」


執事風の男は、恭しく礼をしながら、なにかを操作するような仕草を見せた。


「しかし、私もこの仕事についてから、あなた様の故郷の星が1200万回恒星の周りを回る程になりますが、これは初めての経験ですね」


1200万年?! って、まだチンパンジーにも分化していない頃だろ、それ。昔は、ダンジョンの管理って、ゴリラがやってたわけ?!


「何が初めて?」

「説明を聞きもせずに、インフェルノモードを選択されたのが、でございます」


なにその、ウルトラでハイパーでスペシャルなレアっぽいのは。


「まずいきなり最高難易度のことを聞かれることがございませんから、インフェルノモードについてご説明差し上げることが希です」


パンピーはイージーが無難だからな。


「ごく少数の、インフェルノモードに興味を示された方も、ご説明差し上げると、すぐに別のモードを選択されましたから」


「……ちょっとまて。一応聞かせて貰えるかな、その説明」

「もちろんでございます」


口元に怪しげな笑みを浮かべながら、またしても恭しくお辞儀をすると、執事風の男は、モードの説明を始めた。


どうやら、モードには大まかに言って3つ。イージーとノーマル、それにハードがあるらしい。それぞれに細かな違いがあるが、スタート時点で大きく違うところは準備期間と初期DPとのこと。


ノーマルは、準備期間が30日、DP5,000スタートで、もっとも標準的なモードだ。

これがイージーだと、それぞれ倍。準備期間が60日、DP10,000スタートになる。

逆にハードは、初期運営が難しく、準備期間が10日で、DPは2,500スタートだということだ。


「DPとか準備期間ってなんなの?」

「DPはダンジョンを運営するためのお金のようなものです」


どうやら定番のポイントのようだ。ダンジョンポイントってやつ?


ダンジョン内ではDPを利用することで、(しもべ)や眷属となるモンスターを召喚したり、ダンジョンを広げたりすることが出来るらしい。他にも罠や宝箱の設置など、ダンジョン運営に関わるコストはすべてDPで支払うことになるようだ。


DPが5,000あれば、初級のダンジョンにある程度の工夫を加える程度のことができるらしい。だからノーマルがそのポイントに設定されているわけか。


「また、準備期間ですが、端的にご説明すれば、ダンジョンコアが実体化するまでの期間でございます」


ダンジョンの機能は、ダンジョンコアによって実現されている。

このコアは実体化前は破壊不能だが、実体化すると攻撃を受けつけるようになる。


準備期間は、まだダンジョンが充分に設定されていない時期に、コアを攻撃されることを防ぐための期間だった。


「丁寧な解説はありがたいけれど、肝心のインフェルノモードは?」


しかしうさんくさい笑顔の英国紳士はその質問に答えず、解説を続けた。


「イージーよりもより楽で特殊なモードにヘヴンがあります」


ヘヴンは、準備期間が90日で、DPが30,000スタートらしい。

なんという優遇。まさにヘヴン。


「じゃあ、インフェルノって、ハードよりも1段階難しいって……こと?」

「いいえ、それは、ウルトラハードでございます」

「は?」


ウルトラハードは、準備期間が1日で、DPが1,000スタートらしい。


「なにもせずに準備期間が過ぎるとどうなるんだ?」

「特になにも。その場でダンジョンコアが実体化して、攻略可能な状態になるだけです」


ダンジョンは、ダンジョンコアを破壊されるとゲームオーバーだ。つまり何ない状態で実体化したコアを護るために、非常にせわしない状況になるだろう。


しかも、レベル1で、1Fを作成するのに必要なDPは500だということだ。つまり階層を作ったら最後、できることはほとんど無い。


「すぐに運営を開始すれば、後100DPを手に入れることも可能です」

「え?」

「準備期間というのは、ダンジョンが攻略対象になるまでの期間でございますが、期間中であっても開通させて運営を開始することが可能なのです」


まあ、完成した後、ぼーっとしているだけじゃ意味がないもんな。


「そして、早期の開始には、余った準備日数x100DPをボーナスポイントとして得られる利点がございます」

「へえ」


イージーなら1日で準備してしまえば、事実上DP15,900スタートになるわけだから、意外と大きいが、ウルトラハードじゃ1,000が1,100になっても……いや、10%増しって考えるとそれなりか。


しかしウルトラハード、まるで罰ゲームだな。


いや、ちょっと待て。

ウルトラハードですら罰ゲームみたいに思えるんだぞ? つまりインフェルノって……


「1200万年の間、該当者が一人もいらっしゃらなかったインフェルノモードですが、なんと、準備期間がゼロ」

「ゼロ? それってダンジョンコアは……」

「最初から実体化しております」


おい。誰かがそれを攻撃したらアウトじゃん!


「そして、DPは……」

「ま、まさか、DPもゼロなのか?!」

「まさか」


とんでもございませんとばかりに首を横に振る。

さすがにゼロはないか。何にも出来ないもんな。


「DPは、-10,000スタートでございます」

「は?」

「マ・イ・ナ・ス・い・ち・ま・んスタートでございます」


いや、強調して言い直さなくても聞こえてるよ。


「通常DPは借DPできませんが、初期DPは借DPとみなされます」

「……まて、借ってことは、それ利息がつくんじゃないだろうな」

「はい。トイチとなっております」

「10日で1割かよ?!」


「もちろん複利でございます」

「ちょ、どこの悪徳高利貸しなの!」

「なんと。ご不満でございますか?」

「高すぎるだろ!」

「仕方がありません。1DP未満の端数は切り捨てとさせていただきましょう」


やれやれといった感じで肩をすくめた英国紳士は、最大限譲歩しましたと言わんばかりの渋い顔をしながらそう言った。だが、それに何の違いがあるのかと問い詰めたい。


「なお、返済は10日ごとに行われますが、まず現在の借DP残高の1割が、その時点で保有されているDPから引かれます」

「リアルタイムにDPが返済されるわけじゃないんだ」

「それではなにも活動ができなくなりますから」

「そりゃそうか」

「そして、残りの保有残高がすべて借DPの返済に回され、その残金が10日後の利息の元金になるのです」


10日ごとに文無しになるってことか。


「途中で任意に返済したりは?」

「できません」


「しかし、それって最初の10日で、必ず1,000DPは稼いでないとアウトってことなんじゃ」

「さようでございます。なにしろ切り捨てとさせていただきましたから」

「それって、切り捨て関係ないよね?!」

「1DPを笑う者は、1DPに泣くのでございます」


小数点以下の部分は、切り捨てても、切り捨てなくても同じだろ!


「もしも利息が引き落とせなかった場合――」


執事然とした男が、それまでと打って変わって真剣な様子でそう切り出した。


「ば、場合?」(ぎょくん←つばを飲み込んだ音)


男はうさんくさい笑顔を浮かべると、右手の親指を立て、自らの喉を掻ききるように左から右へと動かした。


「げっ……」


そうして悪夢?のダンジョン運営が始まったのだ。


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