春の兆し
春の兆し
それは鳥のさえずりではなかった
まだ鳥が温かな巣で柔らかな羽の中に顔を埋めている時
新芽が枯れ枝のざらざらとした外皮に固く包まれている時
朝が闇を押しのけて東の空の扉を開く時
ピリッと刺すような風が耳を凍らせるなか
若草色のタンポポが力強く汚れた雪の中から葉を広げる時
無性に嬉しさが心の底から突き上げて
喜びが転がるように駆けていく
薄暗いまどろみの中に
温かなオレンジ色の光りを見た
温かな手が私の手を取り
ひだまりへと導いた
うきうきと どきどきと
誰かを愛し始めた時のように
誰かの愛を感じ始めた時のように
浮かれているのは誰?
春の兆しが特急便で着いた日
薄く張った氷が割れるのを見た
冬の呪文が解かれ
今や春は東の空から桃色の雲に乗ってやってくる




