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第12話 VSオクトラーケン

 オクトラーケンがこちらに迫ってくる。

 僕たちが陸地の上から動かないので、痺れを切らして向こうの方から近付いてきたようだ。

 相手が陸地に上がってくるなら好都合。陸地ならば、アラグたちは思い切り戦うことができる。

 僕は二人の邪魔にならないように、彼らから離れた。

 僕がオクトラーケンの標的にされるようなことがあれば、その分アラグたちの負担が増える。そんなのは御免だからね!

「ファイアボール!」

 フラウの魔術がオクトラーケンの傷付いた触手を狙う。

 ぼんっ、と炎が弾け、触手がちぎれて地面にぼとりと落ちた。

「はあっ!」

 振り回される触手を掻い潜り、アラグはオクトラーケンの本体に迫った。

 目を狙って剣を振り下ろす。

 しかし。

 がきん、と固い音がして、彼の剣は弾かれた。

 目はおそらく急所のひとつなのだろうが、傷を付けるには彼の剣では威力が足りないのだ。

 オクトラーケンの視線がアラグに集中する。

 四方から触手が迫る。それを紙一重でよけ、アラグはオクトラーケンの腹のてっぺんに飛び乗った。

 渾身の力を込めて、剣を垂直に突き立てる。

 剣はざくっと音を立ててオクトラーケンの皮膚を切り裂き、腹に突き刺さった。

「フラウ、サンダーボルトだ!」

 フラウが片眉を跳ね上げた。

「今撃ったらアラグも巻き込むことになるよ!」

「構わない! やれ!」

 アラグの言葉に、意を決したフラウが杖の先端をオクトラーケンに向ける。

「サンダーボルト!」

 オクトラーケンの巨体を、雷撃が貫く。

 触手がぐにゃあと苦しそうに蠢き、オクトラーケンの体がぐらりと傾いだ。

 アラグが剣を突き立てたことによって、雷撃が剣を伝いオクトラーケンの内臓に直接ダメージを与えたのだ。

 一緒に雷撃を浴びたアラグがふらつきながらも剣をオクトラーケンの体から抜く。

 彼がオクトラーケンから飛び降りたのと、オクトラーケンがずしゃりと身を横たえたのは同時だった。

「やった……!」

 アラグはオクトラーケンの正面に回った。

 動かないオクトラーケンを見上げて、言う。

「俺の剣の腕も鈍ったもんだな……こいつには全然通用しなかったからな」

「それは仕方ないんじゃない? 相性の問題ってのがあるんだからさ」

 彼に歩み寄って、フラウがぽんと彼の肩を叩く。

「武器が通用しない相手には魔術を、魔術が通用しない相手には武器を。弱点を補い合って戦うのがパーティってものでしょ? 一人で責任を背負うことはないよ」

「……そうだな」

 肩を落として、アラグはふっと笑った。

 それを見たフラウも笑う。

 僕はゆっくりと、そんな二人の傍に近寄った。

 そして──気が付く。

 オクトラーケンの触手が、ゆるりと持ち上がっていることに。

 二人はオクトラーケンに近すぎるせいでそのことに気付いていない。

 僕は叫んだ。

「二人とも、まだだ! 生きてる!」

「!?」

 二人の全身が強張る。

 その一瞬の硬直だけで、オクトラーケンにとっては十分だった。

 左右から迫った触手が、二人を捕まえた。

 宙高く持ち上げられ、彼らは足をばたつかせた。

「しまった!」

「苦し……っ!」

 身を捩り、表情を歪めるフラウ。

 彼女はアラグと違い鎧を着てないから、触手が直接体を締め付けてくるのだろう。

 あれでは、魔術を唱えることができない。

 この場で動けるのは、僕一人。

 どうすればいいんだ、この状況……!

 僕は歯噛みして、オクトラーケンに捕まった二人を見つめた。

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