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何もかも普通なあたしが、アイドルグループのリーダーを務めます。 作者:ちー助
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初めて知ることばかり

「お父さんは世間体を気にして離婚してないんです。だから、紙の上では今一緒に居るあの人は赤の他人なんです」
私は首を傾げた。
紙の上?
赤の他人?
「どういうこと?離婚してないって」
「うちのお母さんは大きな企業の社長の娘だったらしいです。しかも許嫁がいた。それを、うちのお父さんが半ば駆け落ちのような形で略奪して。お母さんは家から勘当されたんです」
何だか難しい話になってきた。
重吉と楢崎を見ると、
全然ついてきていない表情をしている。
「お父さんが政治家になってから、それがスキャンダルとして世間に出されて。そんなことまでして結婚したお母さんと別れたなんて言えないみたいで」
……今度は黒い話になってきた。
「お母さんが痺れを切らせて出ていったんですよね。1回雑誌の記者に尻尾掴まれた時も別居してるのは自分が忙しいからで、なんて理由をつけて。夫婦仲は良い、離婚はしてないの一点張り。お母さんには毎月結構なお金を送って口止めしてるみたいです」
「……え、ちょっとまって」
私は一旦話を止めた。
楢崎も重吉も目を白黒させている。
私は気になることがあった。
「契約書にはお母さ……いや、その一緒に暮らしてる方の名前を書いてもらったけど。同じ名字だったよ?」
「あ、あれは本当のお母さんの名前です。あの人の名前は違います」
私はギョッとしてしまった。
当たり前のように書いていたけど、
あれは自分の名前じゃない?

「あの……あたし、全く理解できて無いんですけど」
目が点になった楢崎が手を上げた。
「……うん、ちょっと複雑よね」
重吉も目を丸くしている。
まぁ確かにこんなに複雑な家庭事情を持つ子なんて、
話では聞いたことがあっても、
実際見たことはない。
…………あれ。
「ねぇ、立花。契約書には本当のお母さんの名前が書いてあるんでしょ?」
「あ、はい。そうです」
それって、
かなり都合良いんじゃない?
「そして、まだお父さんは離婚してないと」
「あ……まぁ、そうです」
立花は首を傾げる。

-ガラガラッ!
私は勢いよく立ち上がった。
「きゃっ!」
「びやっ!」
重吉と楢崎が大袈裟に驚いた。
立花も体をビクッと跳ねさせた。
「立花。本気でシンデレラガールズをやりたい?」
「……え?」
「戻れないかもしれないよ。もしかしたら成績も思うような順位はとれないかもしれない。皆に抜かされていくかもしれない。大学に受からないかもしれない」
視線を楢崎に向けた。
「楢崎もだよ」
「あ、は……はいっ!」
普段あまりしない真面目な話に、
楢崎は背筋をビッと伸ばして返事をした。
立花と楢崎がお互いを見つめる。
「2人は進学校に通ってる。他の子達と少し違うの。学業か芸能活動かを選択できる。逆に言うと、デビューまでに選択しなければいけない。選択できるのは、もう今しかないのよ」
重吉が頷いた。
重吉の高校は芸能科がある高校。
もちろん重吉は芸能科で、
数多くの俳優の卵が同級生として通っている。
瀧、小池、鹿田の3人は就職と進学が半々くらいの高校。
それと比べて立花と楢崎の高校は、
大学進学率が90%を越えている。
シンデレラガールズをやっていることが不思議なくらい。
……まぁ楢崎に関しては、
進学校だと知っていてスカウトしたんだけど。


***


トントンと話が進んでいくけど、
ちょっとあたしには理解できない。
佑奈のお母さんはお母さんじゃなくて、
本当のお母さんが別にいて、
今一緒にいるのは愛人で、
血が繋がってなくて……。
「え、お母さんとお父さんはいつ別れたの?……あ、別れてはないのか?ん?でも愛人が家にいるってことは、別れてるの?」
自分で質問しといて、
よく分からなくなってしまった。
「私が5歳の時だそうです。あまり私も覚えてなくて、家政婦さんに聞きました」
佑奈の家には家政婦がいるんだね。
どんなお金持ちなのよ。
「本当のお母さんって何処にいるの?」
「ちょっ、楢崎」
宮原さんに止められた。
「あ、良いんです。宮原さん」
佑奈は笑っていた。

「えぇっ!あの喫茶店、佑奈のお母さんの店!?」
あたしは声を裏返らせた。
亜紀奈ちゃんと宮原さんが首を傾げる。
「正確に言えば、お母さんが立ち上げてお祖母ちゃんが切り盛りしてる店です」
でも、そんな素振り全く見せなかったし、
いくらなんでも名前まで知ってたんだから、
普通気付くんじゃないの?
「その喫茶店の話はまた追々しますね」
追々っていつなのよ。
もう話が目まぐるしく変わってついていけてないよ。

「お父さんは世間体を気にして離婚してないんです。だから、紙の上では今一緒に居るあの人は赤の他人なんです」
紙の上って何だろう。
あ……戸籍上ってやつかな?
「お母さんが痺れを切らせて出ていったんですよね」
5歳の時にはもうお母さんがいなかった。
佑奈と1年以上付き合ってるけど全然悩んでいる様子がなくて、
今、佑奈が喋ることが全て衝撃的だった。

-ガラガラッ!
急に宮原さんが立ち上がった。
「びやっ!」
驚くと奇声をあげてしまう。
直したい癖なんだけど、
なかなか直らない。
「立花。本気でシンデレラガールズをやりたい?」
宮原さんの目が本気だ。
強い眼差しで刺された佑奈は少し動揺する。
「戻れないかもしれないよ。もしかしたら成績も思うような順位はとれないかもしれない。皆に抜かされていくかもしれない。大学に受からないかもしれない……楢崎もだよ」
急に宮原さんの視線があたしに向く。
「あっ、は……はいっ!」
あたしは即答した。
頭で考えるより先に口が動いていた。
「……楢崎。ちゃんと話、理解してる?」
困った顔で宮原さんがあたしを見た。
少しムッとする。
「分かってますよ。考えてますよ!」
デビューが決まってからずーっと考えてた。
気持ちは変わらない。
シンデレラガールズを本気でやりたい。
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