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エンライ皇国宰相ウルスス・メールースの苦悩 2

眠い、みんなすごいなぁ。。。

自分の才能の無さに呆れかえるの巻。

「私は、御仏と話しているのだろうか・・・」

真魚がつぶやく、そのつぶやきは洞窟内に反響する。



『いや、違うけど、いや、お主らの感覚からしたらそうであろうな。』

また、直接意識の中に言葉がきた。脳内に小人さんがいて話している感覚だ。



襟を正し背筋を伸ばし、洞窟の入り口に見える明星を見つめ真魚は問う。

「私は仏になりたくて、一生懸命修行しました、私は仏になれるのでしょうか?」



『なれるであろうよ、なろうとする折れない心があればな。』



御仏の前では自分の悩みなど小さきことだが、不安がよぎる。

一度よぎった不安は、口に出さなければ広がるばかりのようで、

聞いてはならない事のような気がしたが、目を伏せ、小さく問う。


「私は、私は、何をなすべきでしょうか・・・」



『人の気持ちが一つになって良き方向をみれば、人は幸せであるな。』



「バラバラな人の気持ちを一つにはできません。」



『ものの道理を見抜く目があれば、この世は大事なものばかりで出来ていることがわかる。』

『君たちは何のために生まれ出でて、何を思って死にゆくのか?』



「それは・・・・」



『それは??』



「わかりません。」



『生きとし生まれ出でた物は、生存の欲求がある。生まれたからには、いつかは死ぬ。』

『生来ていられる間を、よりよく快適に幸せに過ごすことが、生まれ出でたの者の欲求だ。』



「快適に?」



『そうだ、生きてるだけでも幸福だ、次は食欲を満たしたい、ぐっすり睡眠したい、生存欲。』

『着飾りたい、異性に良く思われたい、子孫を残したい。』

『物が欲しい、お金が欲しい、経済的に優位になりたい。』

『視覚や聴覚触覚味覚などの五感を満たしたい。』

『そこが満たされてくると、次はコミュニティで認められたい。』

『支配したい、知らないことを知りたい、新しい経験がしたい。など、欲には際限がない。』



「はい、人の欲には恐ろしいものがあります。」



『その欲を、祈りの方向へ向けるのだ。それだけの欲には同様の負の感情もある。』


『高慢、貪欲、嫉妬、憤怒、色欲、強欲、怠惰。』

『いろんな負の感情も祈ることで浄化され我々が吸収できるのだ。』



「仏は、我々の祈りがお望みですか?」



『我らは君たちの祈りが欲しい。君たちは心の安寧が欲しい方向は同じじゃないだろうか。』

『つらく苦しい気持ちも願うことで浄化しようではないか。祈りがあるから救いがある。』

『右手があるから、左手があり。両手の皺と皺を合わせて祈ることで幸せを望むのだろう?』



「御仏と心通じ合えれば、誰もが仏になれましょう。」




人の精神エネルギーは良いエナジーマターになる。

プラスもマイナスもエネルギーとしては同じだ。

ま、プラスのほうが効率が良い。

マイナスはダークマターになるのでエナジーマターに変換する際その大部分を失ってしまう。


私が得意な魔法は「森羅万象、窓使い」だ。

この地で効率良く、エナジーを集め、もって帰れれば、しばらくは絶えしのげるな。




『若い僧よ、ヒトの生は短い。その心を燃やしてみせよ。お主の心は美しい宝で満たされておる。

その宝を磨いて光らせるのか、曇らせたままなのかはお主次第よ。』




この時、真魚の心に言葉が浮かんだ。

「生まれ生まれ生まれ生まれて生の始めに暗く、死に死に死に死んで死の終わりに冥し、か。」

「死ぬときは明るさに包まれて、一生を終えたいな。」

「輪廻の螺旋を登れるよう・・・」




真魚は真理を悟った気がした。


「私は、まだ、知らないことが多すぎる。唐へ行き学びたい!」

「そして、また、この四国の地に、皆が悟りを開ける場所をつくろう」

「皆の気持ちをひとつにするのだ」

「それが御仏の思し召しならば」



京都に行き大学での勉強に不満を感じた真魚は、

共通の師を持つ、兄弟弟子である伊予親王を訪ねた。


伊予親王への相談、個別祈祷、説法などにより

本来は入れるはずのなかった遣唐使使節団に入れた。



「虚しく往きて実ちて帰る」


ウルススに出会った時には自分がちっぽけでむなしく感じた真魚だったが、

唐での充実した修行により、常人が20年かかる修行をたった2年で

完遂し、すべてに実ち満ちて帰国したのである。

(何回も、あーーこれは死んだわ、と思うぐらい大変だったらしいけど。)









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