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カノン(伊咲貴音音楽教室)  作者: FRIDAY
壱 その指先で手繰る音
5/57

夏休みの予定は

「――ねえ、ねえってば、菅生スゴウ

「ん、あ、なに?」


 随分前から話しかけられていたみたいだったんだけれど、ぼんやりしていたせいでさっぱり気がつかなかった。慌てて振り返ると、業を煮やしたように眉根を寄せている女子が、ひとり。


「ああ、戸塚トツカ……御免、なに?」

「なにじゃないでしょ。さっきからずっと話しかけてるのに、ずっと上の空でさ……まあ、いいけど」

 ふん、と鼻を鳴らして、戸塚・沙奈サナは腕を組んだ。


「ほら、来週から夏休みでしょ? 菅生、別に部活も入ってないじゃん。夏休み暇なのかなーって」

「え? ああ、まあ……」

 確かに俺は、部活には入っていない――そう返答すると、戸塚はぱっと表情を明るくした。


「そ、それじゃあさ――」

「あ、いや、でも御免。予定は、ある」


 言うと、うぇ、と戸塚は顔を曇らせた。ころころと表情の変わる奴だ。

 えー、と不満げに鼻を鳴らす。

「それって、前に言ってたピアノ教室? 本当に通ってたんだ」

「ん、まあね」


 そう――引っ越しを手伝ったときに誘われて、俺は誘われたままにその週末、伊咲さんの音楽教室に参加した。


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