激痛
「――――!」
演奏が止まった。
止めてしまった。あと少しというところで、もう少しで全てを終えるというところで――激痛。
突如として走った焼けるような痛みに、俺は左手を跳ね上げた。咄嗟に右手で左腕を握り込む。
熱いような、刺されるような、痛み。小指から肘にかけて、ずっと鈍く停滞していた痛みが、突然に爆発した。痛みが一条の筋となって、左腕を内側から焼く。
「――――」
「……どうしたの?」
突然演奏を止め、声もなく身を丸めた俺に、怪訝そうな声を上げながら戸塚が近づいてきた。けれど俺は、まだ激痛のせいで返事することもできない。
呻くのが精いっぱいの俺の手元を見て、戸塚は声の調子を低める。
「……攣った?」
わからない。攣った、にしては痛み方が違う。腕を攣ったことはないが、足を攣ったことならある。そのときのそれと、今のこの痛みは段が違う。
伸ばしてみても全く解消されない。むしろ、動かすほどに軋むように痛む。
ちょっと待って、と戸塚は一度離れ、戻って来たときにはタオルを持っていた。冷水を含ませた濡れタオルだ。それを、俺が右手で押さえ込んでいる左腕に添える。
ふ、という、浅くはなく、しかし肺の底までは満たすことのできない呼吸を繰り返す。戸塚が添えてくれるタオルのお陰か、多少は気が楽になった。それに、どうやら無理に手指を動かさなければ激痛は生まれないということもなんとなくわかった。
俺の様子から、少し回復してきたことが見て取れたのだろう、戸塚は俺の肩をそっと引いた。
「――保健室に行こう」




