表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/7

婚約報告

長いこと更新出来ずすみません。

 昨夜の飲み会は、恥ずかしかった・・・。

 だって、和樹さんが皆の前で、

明音(あかね)、少し遅くなったけど、婚約指輪」

 そう言って、今まではめていた指輪を外し、新しい指輪をはめてくれたのだ。

 参加していた女性社員の間から、色々な感情のこもった「きゃ~~」と言う悲鳴が聞こえた。

 

 その後、様々な質問に和樹さんは丁寧に答えていった。


「新人歓迎会で“一目惚れ”だったんだよ。幸田さんに邪魔されて、なかなか話す機会がなかったけどね。偶然、彼女が休憩スペースに一人でいるのを見かけてね、お茶に誘ったんだけど、社交辞令だと思われていたんじゃないかな?だから、直帰の仕事が早く終わった時、待ち伏せしてたんだよね。話をして確信したね。“運命の相手”だって。だから、その日のうちに『結婚しよう』ってプロポーズした。翌日には彼女の両親に挨拶にいったよ。もちろん僕の両親にもすぐに紹介したよ」

 どこからか、「え~?瀬尾さんってそんな人だったの?思ってたのと違う・・・」なんて呟きが聞こえてきた。

「ホント、昔の瀬尾君からは想像出来ないわよね。大学時代は『女性には興味が無いんじゃないか?』って噂になるぐらい、女性への対応は必要最低限、評価は辛辣だったわね。社会人になって、まぁ、少しは人当たりが良くなったようだけど、性格がすぐに変わるわけ無いものねぇ。作り笑いが怖かったわよ」

「酷いなぁ。幸田さん。僕の事をよく分かっているね。だから、僕の事を試したんだろ?」

「そうよ。可愛い後輩が悲しむのは見たくないですからね。野宮さんを泣かせるようなことをしたら許さん!!」

 由美子先輩が抱きついてきた。

「あ、幸田!明音から離れろ!例えお前でも明音に触れるのは許さん!!」


 初めは和樹さんの話を聞いてた参加者達も、私を間に挟み、二人が言い合いを始めたころには、

「さ、飲もう、飲もう」

「あ、これ、おいしそう」

「私、すでに胸焼け起こしているんだけど・・・」

「俺も・・・」

「あ、とりあえず。『瀬尾さん、野宮さん婚約おめでとう~』じゃ、食べようか」

と、私達は蚊帳の外。営業と総務の合コンとなった。



「・・・ホント、恥ずかしかった・・・」

「何が?」

 背後から声がした。

「!・・・和樹さん。起きてたんですか?」

「誰かさんが腕の中で身悶えているからね。そりゃ、起きるでしょ。で、何が恥ずかしかったの?」

 クスクスと笑いながら尋ねてきた。

「昨日の事を思い出したら・・・」

「・・・ん?たくさん愛し合ったこと?」

「あ・・・、いえ・・・、そっちではなく・・・、飲み会のこと・・・」

 帰宅後の事を思い出し、顔が熱くなる。

「あ、真っ赤になった・・・。明音、かわいい・・・」

 ぎゅうっと抱きしめられた。

「何か恥ずかしくなるようなこと、あったかな?」

「・・・和樹さんが皆の前で惚気たじゃないですか・・・」

 私が恥ずかしくなるくらいだから、多分、皆は引いていたと思う。

「そうかな?当然の事を言っただけだと思うけど・・・?それに、あれぐらい言っておかないと、皆に俺がどれほど明音の事を愛しているか伝わらないだろう?幸田が『良くやった』と言ってたから、十分だろう。俺としてはまだ言い足りなかったけどな」

「・・・いえ、じゅうぶんです・・・」

 あれ以上、皆の前で惚気られるのは耐え切れない・・・。

 

「今、何時ですか?」

「ん~、午前7時・・・。どうかした?」

 枕元に置いてある時計を和樹さんが確認してくれた。

「まだそんな時間だったんだ・・・。由美子先輩との待ち合わせは午後からでしたよね。じゃあ、もうしばらく寝ます。誰かさんの所為で、昨夜はあまり眠れませんでしたからね」

「ああ、ごめん、ごめん。『明音は俺の(モノ)!』と宣言できたことが嬉しくて、つい・・・」

 全然、悪いと思っていない口調で謝ってきた。

「お願いですから、ちゃんと寝かせてくださいね!」

「・・・残念・・・。じゃあ、こうやって抱きしめていてあげる・・・」

 後ろから抱きしめられる。

 身長差からか、和樹さんにすっぽりと包みこまれる。

 少し高い体温が、すぐに私を眠りへと誘う。

「おやすみなさい・・・」

「ああ、おやすみ・・・。サラ・・・」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ