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彼女は今日も死んでいる  作者: 鈴架
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わたし

私は私が嫌いだ。人に流されて自分の意見を言えないところなんてもっと嫌いだ。早くこんな世界からさよならしたい。


椎名しいな 琴音ことね

身長体重ともに平均、顔の偏差値も平均、何処にでもいそうな女子高生だ。

そんな私の他とは違うといえば、表情筋が乏しい、ただそのぐらいだ、年頃の女の子ならかっこいい先生、同級生、先輩に黄色い声を出したり、馬鹿みたいに笑ったりするものなのかもしれないが何処でどう間違えたのか最近はその行為を全てくだらないと思うようになってきた。



「琴音ちゃんまたここにいた。」



放課後の図書室で声をかけてきたのは一応友人の

鈴下すずした 梨沙りさ

黒髪三つ編みメガネの似合うごく一般の女子高生だ。ちなみに私は焦げ茶だ。



「どうしたの?」


「探してたよ、田中さんたち」



ああ、クラスモブたちか、嫌だなあ帰ろうかなああの人たちとは話が合わないんだよな。

荷物を片していると開かれる図書室の扉、しまった数分遅かった。



「ことちゃーんっっ♡」



図書室には似合わない集団が私めがけて近づいてきた。今日も晩御飯は抜きかな、電話しとかないとな。



「今日も女子会?」


「そう!でも今日の女子会は一味違うわよ」


「はあ、、」




友人と別れを告げクラスモブたちについていく。都市部にある学校は校門を抜けると華やかな街になる。そんなんだからクラスモブたちみたいになるんだ、みんな。なんてことを考えながらついたのはメイドカフェならぬ執事カフェ。なんでもあるんだなこの街は。



「今日の女子会はここよー!」


「いつもの女子会場所と変わらないじゃん」


「もう!ことちゃんはわかってない!」

「なんとここには、俳優の郷条くん似の人がいるのでーす。」



俳優、郷条ごうじょう今を時めく大俳優だ。私にはそんなこと関係ないが左右後を囲まれた状態じゃ帰れはしない。大人しくお店に入ることにした。


店内は白をベースとしたカジュアル風の造りになっていてコーヒーの香りが漂う何処にでもありそうなカフェだった。



「私ミルクティー!!」



クラスモブ達が飲み物を決めている。しかし目だけは確実に店内を見張っていた。

注文を取りに来た店員さんがお目当ての人じゃなかった時の落胆は凄かった。



結局郷条似の店員さんは今日はお休みらしくクラスモブ達は飲み物1杯で女子会を終えた。



「あー、惜しかったなぁー!!」


「明日には居るって、明日ハードスケジュールだわぁぁ!!」



ちゃんと確認しないからこうなるんだよ、と言いたいことはあったけどあえて声に出さずに心の中に留めておく、これからの学校生活を安定したものにするためにはこういうスキルも必要だ。



「今日はもう帰る?郷条似の人いなかったし」



なるべく早く帰りたいオーラは出さずに尋ねる。あくまで俳優似の人がいなかったからという風を装うのだ。

周りのモブ達がそうだねと同意している。あと少しで帰れる。



「まだことちゃんとお話したいからマックにでも行きましょっ!」



クラスモブセンターポジションの人の一言で会場はいつもの場所へと移った。









「お話しって何?」


Lサイズのポテトをいくつか購入し、みんなで取り分ける。ちょうど焼きあがっていたのか食べるのに数分かかるほどの熱々だった。



「もちろん、女子会なんだから恋バナよー♡」



私の最も苦手とする分野がたった今舞い降りてしまった。しかしここで答えていてはいけないのであえて嫌な顔をしておく、するとクラスモブ達はキャッキャしながら冗談キツイーとか言っていた。



「ズバリ!ことちゃんには好きな人はいるのですかー?」



ズバリ来ましたー。何処の学級委員だよとか思いながらも顔を苦笑いにさせ、ここは否定しておく。



「いないよー、好きな人とか」



それにモテたりしないしね、と一言プラスしておけば相手も返しにくいだろう。



「えー、ことちゃん可愛いのにねー」



周りのモブ達と共感し合いながら可愛い可愛い言っている。大概の物はみんな可愛いと思っている人達なのでここも否定しておく。


ポテトも底をつき始めた頃、それぞれのモブ達のケータイに親なり彼氏なりと連絡が入り始めた。



「お母さんが帰ってきなさいって言ってるわー」

「私もゆう君が心配してるってー♡」



じゃあもう行こっかとどことなく帰る雰囲気で女子会は終了を向かえた。

明日も学校かと思うとため息しか出てこない。






「ただいまー」


日付を超えるか超えないかぐらいに家に着く、家族は殆ど寝てるだろうと思いながら居間にはいる。



「おかえりー」



予想をしてなかった声が聞こえそして私のお腹に優しくダイブしてきた。



「珍しいな弟よ、こんな時間にトイレ?」



10歳下と結構歳の離れた弟が起きていた。聞いたとおりトイレに起きていたらしく丁度私が帰ってきたところだった。



「僕ね、1人でトイレ行けたんだよー」



キャッキャはしゃぐ弟を見ながら今日のクラスモブ達もこんな感じだったなーと思い返す。



「そうか、よく出来たね。」



頭を撫でると喜ぶ弟に今日一の癒しを感じれた。




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