面談
(教室に入ると先生が座っていた)
「さて、面談始めますか……」
面倒くさそうですね
「そんなことないぞ! 先生は真面目にお前の将来と今月の給料の使い道を考えているのだ」
やる気ないんですね
「一ヶ月十円生活」
いつの時代ですか
「まぁとりあえずそこに座れや」
はい
「では、第一問」
回答ボタンはないですけど
「あなたは新しいクラスに馴染めましたか?」
まあ、ボチボチですね
「俺はまだ馴染めないけどな」
頑張ってくださいよ
「……第二問」
スルーですか
「最近悩み事とかありますか?」
ないといえば嘘になりますね
「ん? 意外だな」
けっこういろんなことがありましたね
「じゃ、あえてスルーして次いこうか」
早く帰りたいんですね
「……第三問」
でも続けるんですね
「最近成績が上がっているけど、何かあったのか?」
上がってるなら良いじゃないですか
「いいや良くない」
なんでですか
「ムカつく」
そうですか
「そこは鋭く突っ込めよ! 読者もビックリだぞ!」
じゃあ聞きますけど
「おう?」
なんで先生俯向いているんですか
「ちょっと首を寝違えちゃって」
なんで先生目を瞑ってるんですか
「極度の老眼だ」
なんで教卓の後ろで蝶ネクタイみたいな変声機を使っているお前がいるんだ
「……あ、バレた?」
勝手に俺の高校に入ってくるなよ
「あの時来ていいって言ったじゃん」
だからって今来るなよ
「じゃあいつ来るか?」
答えたら問題になりそうだな
「ほら、先生たちも寝ているんだし、遊びに行こうぜ!」
今先生たちって言ったか? こいつだけじゃないのか?
「大丈夫だよみんな生きているよ生きているはずだよ」
二つ目は聞かなかったことにしよう
「まだ退院祝いのフルーツもらってないし」
あげるつもりもないけどな
「そういえば、近所の研究所でロボットを作ったらしいぜ」
ロボット?
「なんでも、人工知能がついているんだとか」
…………
「面白そうだし見に行っ」
遠慮させてもらう
「返事早!」
というか、もうスクラップにしといたよ
「今したって言った?」
気のせいじゃない? それより早く帰れよ
「気がつけばもうこんな時間かー部活行かないとな」
部活には行くんだ……
「じゃあまたな! トゥ!」
おい! ここ二階だぞ!
「――え?」
(何かが落ちる音がした)