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王様ですか?いいえ、魔王です


「…こちらです。さあ早く」



ぐいっとおよそ少女とは思えない位の力で俺の手を握りしめ引っ張る少女


余りの力強さに俺はズルズル引きずられる形になる


「ちょ、ちょっと待ってくれよ君!王ってどういう事だよ!やっぱり俺捕まるのか!?」


俺が引きずられながら叫ぶと彼女は無表情で向き直り


「…君では無くアリス・ドライ…アリスとお呼び下さい… それにアナタは捕まるのではありません。心配せずに私に付いて来て下さい」


良かった~

取り敢えず不法侵入者にされずに済むみたいだ


じゃあ、彼女は俺をどうしたいんだ?


王の所に連れて行くと言っていたけど


更にぐいぐい手を握って俺を引きずるアリスさん


「あの~?出来れば手を離してくれませんか?このまま引きずられるのはちょっと…」


俺が恐る恐る言うと


「…はい、分かりました」


彼女はいきなり手を離した


「ぐべっ!」


彼女に突然手を離され地面に顔面を強打する俺


…まあ赤いカーペットのお陰で痛みは殆どないが…


「…大丈夫ですか?」


小首を傾げやはり無表情で聞いてくるアリスさん


「だ、大丈夫です…」


俺は服に僅かに付いてしまったカーペットの毛玉を取りながら立ち上がる


「…では、失礼します」


へ?


「よっこいせっ」


可愛らしいが何故かオヤジ臭い掛け声と共に俺をお姫様抱っこするアリスさん


「まってまって!?なんで今度はお姫様抱っこなの!?」


俺よりだいぶ年下の女の子にお姫様抱っこされるって…


しかも軽々と…


「…王の命令で引きずるかお姫様抱っこかで連れて来いと」


「王様極端過ぎないか!?」


引きずるかお姫様抱っこて…両極端じゃないすか…


普通に歩かせて下さいよ…


「なあ?下ろしてくれないか?」


「無理です…では、行きます」


俺の意見は一瞬で却下されスタスタと歩き始めるアリスさん


王の命令か何かは知らないが流石に恥ずかしい…


こんな所誰かに見られたらご近所に変な噂が流れちゃうよ?


「やっぱ恥ずかしいから下ろしてくれないか?」


「三枚卸しですか?」


「そっちの卸すじゃねぇよ!?怖すぎるわ!」


恥ずかしいから人間を三枚卸しとか猟奇的過ぎるわ!


…はあ、どうしてもこのまま運ぶらしい


まあ引きずられるよりは良いかな?

いいのか?


そのあと、アリスさんは喋らなくなり俺は迷宮のように入り組んだ廊下をお姫様抱っこで運ばれて行ったのだ







□■□■□■



「…もう少しで謁見の間です」


「あ、はい」


どれぐらい歩いたのだろうか?(お姫様抱っこされていたため実際には歩いてない)


とにかくかなり長い廊下を右に左に歩いた



ここに来るまでに気付いた事がある


まずここは王宮では無く城だったと言うことだ


運ばれている間に窓からゲームやテレビで見る立派な城壁があったからだ

しかも、かなりデカい


これだけデカいと維持費が凄いんだろうな…などと場違いな事を考えていた


それともう一つ気付いた事はこれだけ大きい城なのに人が俺達以外居ないと言うことだ


これだけデカい城に人が居ないとはおかしな話だ


しかも、人が居ないから廃れていると言うわけでは無く見た限りでは全く汚れていない


むしろ全てが新品同様に輝いているのだ


どういう事何だろうか?


この城の人間は皆どこへ行ったのだろうか?


俺が思考の海に沈んでいると


「…つきました」


突然立ち止まり俺を下ろすアリスさん


「そうですか…ありがとうございます……ってなんじゃこりゃ!」


目の前にはとんでもなくデカい扉があった

10メートルはあるをじゃないか?


それに扉の彫刻も素晴らしい


重厚な騎士が彫り込まれておりまるで今にも動き始めてしまいそうな躍動感がある


…滅茶苦茶かっけー!


「…この先が謁見の間です」


相変わらずの無表情で俺の顔を見ながら説明するアリスさん


「あのー?今更聞くのも何なんだけど、どうして俺を王様にあわせるんだ?」



「…王がトイレの前でキョドってる人間がいたら連れてこいと言ったので」


成る程、どうやら王様は俺がトイレから出てくるのを知っていたらしい…


じゃあ、何故自ら出向かないんだ?

忙しいのかな?


まあ、直接聞けば良いか


「では、扉を開けます」


「え?でも、俺達しか人がいないのにどうやって開けるんだ?」


こんな巨大な扉を俺達だけで開けられるはずがない


「…どうやってと言われますと…こうやって?」


すると彼女はおもむろに近づき扉に手を触れた

そして、


「ひらけ…ごま」


彼女が呟いた瞬間、触れていた手が光り出した

その手と共鳴するように扉が光り出した


光は次第に強くなったと思ったら扉は光の粒子となって消えた…


消えてしまった…


「はいーっ!扉が消えたー!」


「…はい、消えましたが何か?」


彼女は俺が何でそんなに驚いているのか本当に分からないようだ


「いやいや!扉を消すって!!どう言う事だよ!まるで魔法じゃないか!」


「…はい、これは魔法ですよ。」


マジすか…


え、魔法なんてあるの?


いや!魔法と言う名の最新指紋認識システムかもしれない!


というかそれしかない!


俺の知らない間に世界ではこのシステムが普及してるんだ!


そうに違いない!


俺が無理矢理自分を納得させていると


「ほう、そいつが我の召還した者か?」


声のした方を見てみると


扉の先で玉座に足を組んで座り肘掛けに手を置いた美人なお姉さんが退屈そうに俺を見ていた




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