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一つの出会い

いよいよ仮入部期間がはじまった。俺はショートホームルームが終わるとすぐに伸たちとテニスコートに向かった。テニスコートにはほかにも1年生が4、5人いた。中にはもう大きなラケットバッグを持っていて、明らかに経験者のような人もいた。もちろん俺は硬式のラケットなんか持っていないので部室の中から先輩が出してきてくれたおんぼろのラケットを手に取り、ボールをうっていた。初めて硬式のボールを打った時、俺はとんでもないホームランを打ってしまった。すると伸が

「うわぁ。やっべえ、ぶっ飛ばしちまったよ。」

どうやら伸も特大のホームランを打ったようだった。

「やっぱソフトテニスみたいにうっちゃだめなんだな。」

「だなあ。もっとドライブかけねえといけねえのかな。」

「いやあ、でもお前らソフトテニスやってた組はまだいいよー。俺ら二人はラケットも持ったことねえんだぜ。」

と岡崎。

「それもそうだな。」

と伸。

談笑しながらボールを打っていたところに先輩たちがやってきて俺たちは、素振りをすることになった。俺たちが素振りをしている様子を先輩たちは観察していた。すると1人の先輩が俺と伸の近くにやってきた。

「二人は中学の時はソフトテニスをしてたのかな。」

「はい、二人ともやってました。」

「じゃあ二人はボールを打つ感覚はあるわけなんだね。ちょっとコートに入ってボールうってみる?」

「いやさっき遊びでちょっとやってたんですけど全然打てませんよ。今はまだ・・・」

「いいから、いいから、ちょっとやってみなって。」

そう言われて俺たちは先輩が球出ししてくれたボールを打つことになった。

でもそうそう上手く打てるわけはなくてはじめの方はやっぱりホームランばっかりだった。でもだんだん慣れてきて少しづつボールがコートに入るようになってきた。

「やっぱ二人ともまだソフトテニス打ちだね。でもそれが治ればきっともっと強くなれるよ。」

「本当ですか。ありがとうございます。!」

伸はすぐにそう答えた。それにつられて俺も小さな声でありがとうございますと言った。



家に着くなり俺は自分の部屋に向かった。

「あー、つかれたー。こんなに動いたの久しぶりだったな・・・」

考えてみれば部活を引退してから今日まで何時間も運動をしたのは久しぶりだった。おかげで脚はもうパンパンだ。

俺は今日の部活を思い出していた。手に伝わる感覚がソフトテニスとは全然違うものだった。そんなことを思い出していると部屋に置きっぱなしのソフトテニスのラケットが目に入った。 

なんで俺ソフトテニス部に入らなかったんだろう。

学校にいるときはそんなことは思わなかったけど、家に帰ってひとりになるとついついそんなことを考えてしまっていた。

「将人、ごはんできたわよー。」

俺はその日、ご飯を食べてからすぐに床に就いた。



次の日俺はクラスでまだ話したことのなかったやつが話しかけてきた。

「お前なんでソフトテニス部にはいってねえんだよ。」

「いやなんでっていわれても・・・てか急にんなこと聞かれても困るし・・・てかまずおまえ俺のこと知ってんの?それにまだ仮入部期間中だろうが。」

「あー確かにそうだな。それよりかお前は北中の常盤・鶴谷ペアの常盤だろ。」

当たっている・・・なんでだ。確かに鶴谷は俺のペアだったけど。

「そうだけど、なんで知ってんだよ」

「最後の大会の敗者復活でお前と試合して勝ったから。」

敗者復活・・・?俺は最後の県大がけで負けたよな、ってことはこいつは第一中の・・・えっと名前なんだっけ・・・

俺は人の名前を覚えるのが苦手である。こいつはそんなに名前覚えるのが得意なのか?

「お前まさかまだクラスのやつの名前も覚えてないの。」

「俺そういうの苦手なんだよ。」

「まあいいやまだ仮入部期間中なら、なおさらいいじゃん。今日からソフトテニス部の方に来いよ。」

「やだよ。なんでお前に決めらんなくちゃいけねんだよ。」

だいたい部活が伸や松田や岡崎と離れるのは嫌だ。でも心の奥にはソフトテニス部に入りたいって気持ちもあるし・・・


俺の気持ちは揺れている。


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