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山から聞こえる音

作者: 口羽龍
掲載日:2026/08/16

 勝治かつはるは山登りが好きな大学生だ。今日はある山に向かっていた。そこは瀬田山せだやまという火山で、夏になると多くの人々が登りにやって来る。勝治は楽しみにしていた。きっと素晴らしい景色が待っているに違いない。絶対にその景色を見たいな。


 勝治は1週間ぐらい前から楽しみにしていた。長い夏休みを利用して、気晴らしに山に登ってみようと思っていた。麓に向かうバスには、何人かの乗客がいる。彼らはハイキング向けの服装をしている。中には中高年もいる。瀬田山は幅広い層に人気のようだ。


 バスは瀬田山の麓のバス停にやって来た。バス停の近くには、多くの人が集まっていて、登山前の準備体操をしている。みんな、これから瀬田山に登るのを楽しみにしていた。


「来た!」


 勝治はほっとした。電車とバスを乗り継いで、ようやくやって来た。これからどんな景色が見られるんだろう。登る前から楽しみだ。


「以前からここに登りたいと思ってたんだ」


 勝治は瀬田山の方を見た。登っていく人々が列をなしている。自分もこれからここに登るんだなと思うと、感慨深くなる。


「みんな登ってるな」


 勝治は準備体操を始めた。山登りの前に、これは欠かせない。途中で体を崩したら、大変だ。下山できなかったら、生きて帰れるかわからない。その為に、しっかりと準備体操をしておかないと。


「行こう!」


 勝治は山登りを始めた。今日の瀬田山は快晴だ。きっと、素晴らしい景色が見られるんだろうな。SNSではよく上がっているが、それを自分の目で見たい。生でしか見られない感動があるに違いない。


 しばらく歩いて、勝治は景色を見た。すると、電車とバスを乗り継いだ駅が見えてきた。駅がこんなに小さく見える。ここまで高く登った証拠だ。


「いい景色だなー」


 勝治は驚いた。だが、これはまだまだだ。もっといい景色が見られるだろう。それは、山頂だと聞いている。


「もっと登ろう!」


 勝治は再び登り始めた。みんなも登っている。この先にどんな素晴らしい景色が広がっているのか。それを自分で体感するんだ。


 ただ、勝治には気がかりな事がある。それは、この日に登ってはいけないという事だ。この日に登って、ある音を聞くと、悪夢を見るそうだ。その音って、一体何だろう。全く想像がつかないな。


 勝治はようやく頂上付近にやって来た。頂上付近には多くの人が来ていて、記念撮影を行っている。彼らはとても嬉しそうだ。山頂まで登る事ができた達成感があるが、もっともの理由はそこから見える景色に感動しているからだろう。


「あとちょっと!」


 勝治は足取りが軽くなった。ゴールが見えてくると、気分が軽くなって、早く山頂に行こうと思えてくる。どうしてだろうか? 全くわからない。


「着いた!」


 勝治は山頂にたどり着いた。勝治はほっとした。これが山頂から見える景色なのか。とても素晴らしいな。とても遠くまで見渡す事ができ、その先には富士山が見える。これが自分が見たかった景色なんだな。


「いい眺めー」


 と、勝治は変な音を聞いた。それは、何かが爆発する音だ。勝治は振り向いた。だが、何もない。噴火のような音がしたので、噴火かなと思ったが、そうではない。


「ん? 何だろうこの音は・・・」


 何もなさそうだ。勝治はほっとして、再び山頂からの眺めを見た。とても美しい。これは一生ものの感動だな。結婚して、子供ができたら、みんなでここを登りたいな。


「まぁいいか。帰ろう」


 勝治は山頂を後にして、麓に向かった。今日は楽しかった。こんな景色を生で見られて、本当に嬉しいな。また行きたいな。




 数時間後、勝治は麓のバス停に戻ってきた。多くの人が来ているが、まだバスに乗らないようだ。


「戻ってきた!」


 勝治はバスに乗った。バスは空いている。勝治は座る事ができた。疲れたので、帰りのバスでしっかりと疲れを取ろう。


「疲れたなー。座れたし、寝よか」


 勝治は疲れたのか、寝てしまった。相当疲れているようだ。


 勝治は目を覚ました。そこは、瀬田山だ。どうしてここにいるんだろう。下山したのに。


「あれっ、ここはあの火山」


 瀬田山には多くの人が来ていて、楽しんでいる。今日、山頂で見た光景そのものだ。


「楽しそうだな」


 突然、何かの音が聞こえた。山頂で聞いた音にそっくりだ。あれは何だろう。勝治は首をかしげた。


「ん? 何だこの音は・・・」


 勝治は火口を見た。すると、煙が上がっている。まさか、噴火が近いんだろうか?


「えっ、煙が上がってる!」


 突然、瀬田山の火口から溶岩が出てきた。噴火だろうか? 勝治は呆然と見ていた。


「えっ、噴火?」


 と、近くにいた中年の男性が勝治を引っ張った。どうしたんだろう。勝治は男性の方を向いた。


「逃げて!」

「うん!」


 これは大変な事だ。早く逃げないと、命が危ない。だが、溶岩は2人をあっという間に飲み込んだ。


「うわぁぁぁぁぁぁぁ!」


 勝治は目を覚ました。そこは、バスの終点の近くだ。ここから電車に乗り換えて、実家に向かう。早く支度をしないと。


「あれっ!? 夢か・・・」


 勝治はほっとした。どうやら夢だったようだ。


 と、勝治は痛みを感じた。まだ疲れが抜けていないんだろうか?


「痛てっ・・・」


 勝治は手を見た。勝治の手はやけどしている。日焼けではなく、何か熱いものを触った痕のようだ。


「えっ!? どうしてやけどしてるんだ・・・」


 勝治は熱いものに触った記憶がない。なのに、どうしてやけどをしているんだろう。


 ふと、勝治は思った。あの夢の中の噴火だろうか?


 これは噂だが、この日に瀬田山で大規模な噴火があったという。それ以来、この日に瀬田山に登り、噴火する音を聞くと、噴火の夢を見るらしい。そして、その夢を見た者は大やけどをするという。

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