まなみんのパーフェクト魔法教室
マホミルとクレアは、他に誰もいない広々とした草原に来ていた。草原を囲むようにして森が広がっている。
まず魔法を扱うにしても、魔術を扱うにしても、魔力コントロールができなければ話にならない。
マホミルは空間に小さな星型の穴を開けて、その中に手を突っ込み、ごそごそと魔導具をたぐり寄せていると、その途中で突然クレアが口を開いた。
「そういえば ししょー」
「何?」
「前から気になってたんだけど、いつも物とか取り出してるその穴はなに??それも魔術なの??」
そういえば、これの説明をまだしていなかった。「あー、これねぇ〜」と、マホミルは腑に落ちたような態度を見せると、いつもように、よどみない解説を始めた。
「この穴は個人空間に繋がってるの。…まぁ要するに、アイテムボックスみたいな感じよ」
「四次元ポケ◯ト的な?」
「そ、けど私のは入る量と数に制限があるけどね」
然り、基本的にどの魔導士の個人空間も制限があり、大量の物や巨大な物を扱うことはできない。
しかし、空間 攻撃魔術特化の魔力質だけは特別で、他の魔力質には個人空間に制限がある一方、制限がないため、大量で巨大な物を次々へと転送・召喚することができる(←なお、ウチの妹もこの魔力質である。よく覚えとけ)。
「このぐらい魔導士だったら誰でもできるわよ」
「それってわたしもできるようになったりする?」
「無理ね。そもそもの魔力が少なすぎる」
「そっか…」
クレアは怒られた子犬のようにしゅんとなって、悲しそうな顔をしてへこんだ。
その瞬間、ふといつかの“あの子”の言葉が、脳裏をよぎる。
『ネェ、ボクの魔力どうしてこんなに少ないの?』
そんなクレアの様子を見て、何か後ろめたいものを感じたのか、マホミルはそれを言い聞かせる調子で励ました。
「別に、魔力量が全てってワケじゃないわよ。確かに魔力が少ないほうが不利ではあるけど、実際の勝負はそれだけで決まるワケじゃないから」
「ほんと!?」
「技術やコントロールで撤回できる部分もあるから、まずはそこを頑張りましょ」
マホミルは個人空間から一つの魔導具を取り出す。ぱっと見は、魔法使いが使う杖のような印象だ。全体が金属でできており、細部まで装飾が施されている。サイズはそこそこ大きくて、少なくともクレアの背よりはある。
「魔法はね、物を触媒にしたほうが効率よく使えるの。魔力コントロールも素手より安定するから、まずはこれからね」
そう言い終わるとマホミルは杖を前方に構え、魔力を集中させる。爆発しそうな魔力を、一気に思い切り前に突き放つ。
—刹那、閃光が弾けた。
同時に具現化された極太レーザーは、木をなぎ倒し、土を削って、地形さえも変形させた。
「…まぁ、だいたいこういう感じかしら。魔法は久しぶり使ったからこんなもんだけど…」
「ちょっと ししょー、いきなりハードルを上げないで!!」
おまけ:掛け声
マホミル:クレアがイチゴジャムの瓶の蓋が開かないらしくて困ってたから「開けるわよ?」と言うと「大丈夫!!」と言う。余計なお世話だったかと思い踵を返したら「おりゃあ〜おりゃあ〜!!」という可愛らしい声の直後に、野太い声で「エイシャオラァ!‼!」と聞こえて以来、疑心暗鬼です。




