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虚言の堕天使  作者: みさこんどりあ
第二部 亡霊少女の異世界放浪旅
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星影水明

その空間を一言で説明するなら、闇、である。闇が靄のようにゆっくりと蠢き、床も天井も無い空間が、どこまでも広がっているだけだった。果てなく続く漆黒の領域。やがてさざ波のごとく空間が震え出した。見上げた先。ビキッ、と闇が裂ける。闇の領域に光が差し込んだ。


やっと、幾億年をも間、閉じ込められていた永遠の闇の中から、遂に、外に出られた瞬間である。



次の瞬間、誰かから呼び止められた。声の主を探すと、そこにはピンク色の髪にパーカーを着た少年がいた。


「ねぇ、ぼくのショートケーキ盗んだのきみでしょ」


……は?


何を言っているんだこいつは。頭に脳味噌が詰まってないのか。さっき言った通り、先程までオレは宝箱の中に閉じ込められていたんだぞ。どうやって盗むんだよ。ショートケーキを。


「いいか小僧、よぉ〜く考えてみろ。オレはついさっき封印を解かれ、復活したばかりだ。見てたよな?お前さんのケーキとやらを盗むのは現実的に不可能だと思わないか?」

「そんなのごちゃごちゃ考えるより、怪しい奴を全員殴ったほうが早いよ。あときみしかいないから殴るね」

「理屈を暴力でねじ伏せようとするな!」


蹴って殴ってぶっ飛ばせば大抵の事は解決するって本能が言ってた。



(暴 力 は 全 て を 解 決 す る)






「その結果、ケーキ泥棒の冤罪をかけられたこのイアデル様は、野球のバットでぶっ飛ばされて…」


「気付いたら、こんな姿でこんな所にいたってわけよ。どうだ、可哀想だろ?」


そのヒトデは、自身の悲惨な過去を思い出しているのか、涙を浮かばせて言った。

その後、目をうるうると丸くして言った。それはまるで、小さな子供が玩具をねだる時のように。


「な?な?可哀想だろ?こんな可哀想なオレを世話する気になったか?」


だが、それは無慈悲にも打ち捨てられる。


「それとこれとで話は別だ。クソザコヒト◯マン」


またヒトデはマホミルに殺意のこもった鷲掴みにされる。今度こそ、本当に握り潰されてしまいそうだ。マホミルはヒトデを握り上げた右手をそのままにして、くるっ、と手を回し、星型の穴を浮かび上がらせる。次の瞬間、空間に空いた穴から大量の水と、それに乗って沢山の魚があふれ出し、あっという間にその場を埋め尽くした。さっきまで魚を釣っていた川の水位が大幅に下がっていたことと、それが関係ないことはないだろう。ふと足元を見るが、ピチピチと魚が跳ねている。


「わぁ〜、お魚がいっぱいだぁ〜」


マホミルはクレアの方を振り向き、今度は優しいそうな顔で言った。


「クレア、お腹空いてるなら後でいくらでも食べさせてやるから、そんなもの(ヒトデ)拾うんじゃないわよ」



★☆★☆★☆★



バターたっぷりのライ麦パンに、新鮮で色鮮やかなサラダの盛り合わせ。半熟の卵焼きの上に乗ったジュウジュウと音を立てる熱々のウインナーに、先程獲ったばかりの新鮮な魚を塩で焼いて…

シンプルだがこれほど贅沢な朝食はないだろう。平和の旨味というやつだ。


…ただ、たった一つの要因を除いては。


「おい!飯 喰ってないで縄ほどけよ!!」

「黙れ、ヒ◯デマンモドキ」


杭で地面に刺した木の棒に縄を縛り付け、片側の縄の先には某ヒトデが縛り付けられていた。


「ヒトデじゃねぇっつてるだろ!!」



居候?が増えた



おまけ


マホミル:立ち眩みの正式名称が「眼前暗黒感」ということを知ったクレアが立ち眩む度に額を押さえながら「くっ…眼前暗黒感が…!」とすごい中二病を発動して鬱陶しい。

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