高慢あるいは徒花【ⅩⅩⅩⅠ】〜n回目の旅路Ⅱ〜
パチーカがいなくなり船内が沈黙で静まり返った頃、キランは静かに羽を畳んだ。
「チョ、何バラしてんだよ、キラン!ていうか一体何がどうなって…」「ルマ…」
「この星からすぐに手ェ引け」
いつになく真剣な表情でボクはルマに訴えた。
あまりの迫力にルマはさっ、と血の気が失せるのを感じるが、言葉の意図が分からず相変わらず困惑する。しかも今ノアを修理している最中のため、手を引くもなにも船を飛ばせないし、せっかく集めてもらっているのに申し訳ない。それに、もうお礼に故郷に招待すると約束してしまった。あの忌まわしきドラゴンを倒してもらうべく、にだ。言ってしまえば、やろうと思えばルマ一人でもノアの修理はできる。今まで一人でノアの修理を行ってきたルマにとって、パーツ集めは今更容易…とはいかなくても、一人でやろうと思えばできてしまうはずだ。今までのように。今のルマの実力であればパーツを集めるのも申し分ない。
ならば何故パチーカ達に任せているか。
そんなの、船の修理はおまけに決まっている。本当の狙いは、あの守護竜の腕輪を強奪することだ。
それが今手を引いてしまったら、計画が実行できず失敗に終わってしまうのだ。
「エ…デモ今パチーカ達に船の修理手伝ってもらってるんだけど…」
「じゃあそれが終わって船飛ばせるようになったらすぐに帰れ」
「お礼に故郷に連れてくって約束しちゃったんだよぉ。ジャナイと手伝わせてる意味が…」「ボクは知ってるんだよ」
「本来のアイツはあんなんじゃないのさ。この星も、ここの友達も、全部投げ捨てるような…そんな物言いしないのさ!」
「……、」と黙り込むルマ。しばらくして、何かを考えてから口を開いた。
「マァ、ご忠告ありがたく受け取っておくよぉ。デモそんなこと言われても困るなぁ」
おいおいと迫ってくるキランに距離を置いて、手で押し返しながら言った。
「ダッテサァ」
「パチーカって出会った時からあんな感じだったよ」
「……、…は?」
✳ ✳ ✳ ✳ ✳
◯月□日
今日も空からきみがおちてきて
ショートケーキの屍が、また一段高くなる




