高慢あるいは徒花【ⅩⅩⅩ】〜n回目の旅路Ⅰ〜
一つ一つ言動にとてつもない違和感がするように書いてみました☆彡誰が言ってるかあえてわかりにくいように書いてます。ごめんなさい(_ _;)
ジト目いいよね。普段ぱーって明るいキャラがしてるとギャップがあって
「モシこの船が完成したら、キミとどこか遠くに旅に出たいなぁ」
これはまだパーツ集めの中盤の頃、ノア船内であった出来事。自分の本心を嘘で固めないと言えないような、誰かさんの冗談話。そう、初めはいつもの見栄と虚栄心から始まった、冗談半分の話。意味の今思えばあれは、数少ないあの子の無意識と本心が垣間見える言葉だったのかもしれない。
「…何言ってるんだろ、ボク。だってコレカラ ボクは…」「いいね、そうしちゃう?」
冗談だってわかってて、わざと言った。君の言葉に、希望を見出したかっただけ。
「二人でどっか行っちゃおっか。そしたらさぁ、」
「ずっといっしょにいられるような気がしない?」
「今度こそ…」「ヘイヘイヘーイ」
ウィーンという場違いな音と共に、外からノア内部へと繋がるドアが開いた。キランが船内に入ってきた時の音だった。
「な〜にやってんのさ、オマエら。つーか、ルマ」
「エッ、エエッ!!??なんでいんのキラン」
「なんでって…ここに住んでるからだよ。オマエこそなんでここにいるんだよ」
「チョ…チョット、色々あってね…」
「…ふーん」
興味のなさそうに、けれどそれを考察材料にしてまた違うことを考えているかのような、そんな曖昧な返事を返した。
■
今日、ボクがここに来たのは勿論理由がある。ある人物に依頼を頼まれたのだ。
「あァ?パチーカの様子がおかしい?そりゃどうせ腹でも下したのさ」
「いや、今のアイツはどうかおかしい」
ボクだって最初は半信半疑だった。けどやたらと真面目そうに言うもんで、でもソイツは重要な時とか絶対そんなインチキなこと言わないってわかってたから、やっぱりおかしいと思って今日はるばるやってきたのだ。
「上手く言葉にするのは難しいが…見ればわかるんだよ。俺が何を言おうが「何でもない」の一点張りだ。…お前にもアイツに会って話してほしい」
「お前さんなら俺達にはできない揺さぶり方ができるんじゃねぇかと思ってな…一つ頼まれちゃくれないか」
(…なるほど)
■
ということで、
ボクはそれで今日やってきた。
(確かにな)
目の前には、状況を掴めず困惑するルマの前に、やけに渇いた表情で立っているパチーカがいた。
沈黙の重い空気がその場を支配する。先に言葉を発したのはパチーカの方だった。
「へぇ…そっか、ルマが言ってた知り合いってキランのことだったんだ」
にまっ、とその場に合わないような明るい…けれどどこかわざとっぽくて渇いた笑みを浮かべ、ルマの方を振り向いた。ボクは、ソイツがそんな笑い方をしないのを知っている。
一方、ルマのほうは激しく動揺していた。図星をつかれた驚きと、いつ自分はそんなことを言ったのか、という驚き。
「エッ!?(ボクそんなコト言ってないよね!?)」
ルマは、動揺しつつもどうにかしてその場を回避する言い訳を探そうと頭をフル回転させ、いつもの虚飾を守りつつ慌てて言った。
「エッーー…ト…、ソンナ話もしたかなぁ?ボク忘れちゃったよ。ゴメンネ、パチーカ」
バサッ。
次の瞬間、ルマの前に庇うようにしてボクは、パチーカの前に立った。普段から自ら禁忌とされる魔法や黒魔術に手を出すようなキランでも、今回ばかりは本能的に危ないと察した。いつでも戦えるよう煌めきの羽を開き、いつあるべき衝撃に身構えた。
しばらくして、パチーカは笑いがこみ上げる。その時の笑い声は、場違いなほど明るく、そして、非常に渇いた笑い声だった。呆れと無気力の複雑な感情を含んだ、半眼が粘った目つきを向けて。手を後ろで組ませ、片足を軽く浮かせる。
「ふ……はは、キランは相変わらずだね。流石ぼくを嵌めただけのことはあるや」
ボクはパチーカを睨んだ。未だにルマだけが現状を把握できずにいる。
「パ、パチーカ…?キラン?…エッどういうコト?」
「パチーカお前、気付いてんだろ。コイツとボクは同族なのさ」「チョット!!何言ってんのキラン!!」
パチーカに嫌われたくないのと、自分の本性を知られると計画が崩れて困るというので、ルマがなんとか撤回しようと慌ててキランの発言を誤魔化そうとした。自分は最後まで善良な何も知らない旅人でならなければならない。
「チガウ!チガウよ、パチーカ!!キランが勝手に言ってるダケ!!」「あは」
渇いた笑みを浮かべ、パチーカはキランの方に歩み寄った。
「同族?そうかなあ?」
「きみ、‘ウソ’はつかなかったじゃないか」
「まあ、‘ウソの数なんてどうでもいいけどね’!パーツ集め行ってきますー、ルマ」
そう言って、パチーカはノアから出ていった。




