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虚言の堕天使  作者: みさこんどりあ
虚言の堕天使 一部 虚言〜そして虚構
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高慢あるいは徒花【ⅩⅩⅧ】〜ネタバラシⅠ〜

「今日はとっても楽しかったよ。ハイリンまた今度いっしょに遊ぼうね〜」

「雷はもう止んでますがお気をつけてー」


ハイリンとの別れの挨拶の後、くるりとゼロの方を見返した。


「このあとゼロはどうするの?」

「我々は元々リルラリルレリルロを回収しに来ただけだからな。帰るつもりだが」


パチーカはにこっと笑うと、ゼロに手を振った。


「そっかじゃあさよならだね。またね、ゼロー!ツー!」


エラー2の方は手を振り返して、「バイバイー!」と返した。

一方ゼロのほうに返事はない。その代わりか、ゆっくりと深紅色の瞳が閉じられる。


パチーカは満足そうにしていつもの4人の方に向かうと、ルマがノアを呼んで、きらきらと輝く天の河。星屑の煌めきの中を星の尾を引くように飛んでいった。ゼロその小さな光を見送った。


「あれ程小さな星であれば、見る事も、飲み込む事もできただろう」


渇いた音が辺りに響く。エラー2も何も言わない。


「しかしながら、飲み込んでしまったのならば…」


その先の言葉が発せられることはなく、

ゼロは目を細めてただ消えゆく小さな光の尾を眺めた。




6人がノアに乗り込んで帰路について少し経った頃、急にカロンが用事を思い出したと言って、運行中のノアから手ぶらで飛び降りた。


勿論、下は空である。


「パーティーは先に始めててくれ。私もなるべく早く帰る」

「おう、早く戻ってこないと全部食っちまうからなー」


カロンは自前の翼でさっと旋回し、元きた道をまた辿っていく。雷雲は嘘のように過ぎ去り、白いふわふわに戻った雲をいくつも突き抜け、たどり着いた塔の最上階。そこにはハイリンとその部下の三人娘に、オバケ役で活躍した人たちやキランに勢揃いし、切磋琢磨してアトラクションの後片付けを進めていた。


「お、面白そうな乱入者が戻ってきたのさ」


「む、カロンだと!?ハイリン様ー!カロンが戻ってきました。止まれ!一体何用だ!」


「何か忘れ物でもされましたか?」と小首をかしげるハイリンに、カロンは単刀直入に聞いた。


「ノア襲撃犯と何を企んでいる」


「ワタシがお化け屋敷など、柄もないことを始めたから疑っているのでしょう。本当に何もありませんよ。ワタシとて、たまにははっちゃけたいときもあるのです。強いて言うならば、かつてワタシ達を救ってくれた星の英雄に、少しばかりお礼をといったところでしょうか。アナタが言うノア襲撃犯とやらも、残念ながら存じ上げませんねぇ」


やはりはぐらかされた。こんなに手の込んだ仕掛けを用事したのだ。必ず裏がある。しかし何処をどうしたら、お化け屋敷などという発想にたどり着くのか。どんな目的をもって、そんな手間暇も膨大にかかる方法になるのかが、カロンには見当もつかなかった。こちらの妨害や処分が目的なら、何故こんな回りくどいことをしたのだろうか。賢い彼女のことなら、もっとスムーズに事を進める事が出来ただろうに。


「用はそれだけか。それだけなら帰ってくれ。ハイリン様はお忙しい身なのでな」

「ま、待ってくれ!」


パルーザに冷たくあしらわれ帰るように要求され、カロンは焦った。このままでは何の情報も得ぬまま、千載一遇のチャンスが終わってしまう。


「聞いてくれ!私は時々自分の記憶に違和感を感じるのだ」

「ほう、というと?」

「私は今日初めてここにいた。だが、ふと…前にも訪れたことがある気がした。これだけならデジャヴで済むのだが、実は今日冒険の支度をする最中にも、同じようなことがあった。まだ知らないはずのこの場所の風景が、おぼろげに頭に浮かんできた。天空に浮かぶ白い雲の様子、天を貫く高い塔の様子…そしてその内部や最上階の様相まで、何故か私は知っていた」

「ほうほう…」

「この不思議な現象は、パーツ集めの最中にも度々あった。もっとも、この場所の事例に比べれは思い浮かぶ景色も断面的なものだったので、そう気にはとめなかった。」

「それともう一つ、大きな違和感がある。それは貴殿が今、ここにいることだ」

「それは先程説明した通りで」

「違う、誰の差し金とか、何を企みで貴殿がここにやってきたかの話ではない。この感覚を言葉にするのは難しいが…貴殿がこの場、[パーツ集めの旅に登場すること自体]が『おかしい』。何か歯車がかみ合っていないような、そんなちぐはぐな印象を受け…非常にもやもやしてしまう。貴殿はもしや、その理由を知っているのではないか。頼む、教えてくれ—」

「…そうですか……そうですねぇ……」


ハイリンは手の隠れた長い袖を口元に当て、何かを考え込んだ。このリアクション、何か知っているということなのだろうか。


「このことは、今お伝えするべきではありません。アナタ達の冒険が、終着点にたどり着いた時、全てを理解できるでしょう」

「……そうか」


やはり、ダメか。この違和感を放置することで、やがて致命的な事態を引き起こさなければよいが…


「待ってハイリン。ボクが話すよぉ」


「ンジャ!?」「何っ!?」


『その人物』はさっきまで屋上にいなかったはずたが。何食わぬ顔でハイリンの隣へとやってくる、よく見知った人物。トンガリ耳に青色のフード、黄色い歯車の装飾のついたスカーフに、紫色のワンピース——ノアで先に帰ったはずのルマだった。


おまけ


ゼロ「今日もの凄いスピードで後ろ向きに歩いてるエラー2とダークネビュラ様がいて、「見てよイアデルっち!!こうやって歩くと花粉が目に入らないよ!?ね!?ね!?」「本当だ!!ヤベぇ!!ヤベぇ!!」って並んで後ろ歩きしながら、同時に段差につまずいて転んでた。奇跡的なバカだと思った」



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