高慢あるいは徒花【ⅩⅩⅦ】〜ダンジョン踏破〜
「あのぉ〜、そろそろ私からもよろしいでしょうか〜」
「わっ、生きかえってる」
「な〜にが、‘生きかえってる’ですか。そもそもワタシ死んでなどありませんよ」
今までずっと待っててくれたのだろう。いつの間にか意識が戻っていたハイリンは、話にキリがついたタイミングでみんなのほうに戻ってきた。
「えー、コホン。これまでにみなさんは、パルーザ、ベルジュ、キスカが手がけた各階層を無事踏破し、それぞれの力を合わせて最終ボスをも撃破されましたね。おめでとうございます。恐怖と激闘のアトラクション、ホーンテ◯ドタワー、これにてクリアとなります…どうされたのですか、そんなにキョロキョロして」
「…いや、エンドロールが巻き返った後に真のラスボスが出てくるんじゃないかと思ったが、大丈夫そうだな」
ルマ以外の4人は何も起きなそうなことを確認して、勝手に安堵についている。イヤ何!?エンドロールってどこぞのゲームや映画の演出だよ!?
「ふむぅ、クリアした実感を持たれていないようですねぇ。であればこれはどうでしょうか?」
ハイリンの純白の正絹のローブの長い袖が指差す先には、先程の祭壇があった。そこには風がないのにも関わらず、その大きな帆はゆっくりとはためき、ルマとの再開を喜んでいるようだった。ノアの一部…ドリームランドを回歴する冒険も終止符を打つ、最後のパーツ、マストがあったのだった。
「ノア……!ヤッタヨ、ノア…!やっとノアを元の完璧な姿に戻してあげられるよぉ!ワァイ!ヤッター!」
「やったねルマ、ノアもきっとよろこぶよ」
ルマは人目も気にせずマストに飛びかかり、すりすりとほおずりして喜んだ。無機質にも関わらず、その表面は、意外とあたたかみのある素材でつくられていた。
「こいつはめでてえな。帰ったらご馳走たっぷり用意してぱーっと騒ごうぜ」
大王がうきうきで提案したが、マストにへばりついているルマから「ダメ!帰ったらすぐ修理するの!」と言われてしまった。とてもノリの悪い返事ではあるが、すぐ‘治して’あげたい気持ちもわかる。けどやっぱりご馳走が食べたくて、ルマと大王で口論になる。
「ノアでパーティーすれば、ルマさんも好きなときに参加できていいんじゃないですか?」
「それ賛成!ノアもにぎやかなほうがきっと楽しいよ」
みんながそんなことを話して盛り上がっいる最中、リルラは横目でゼロの方をちらっと見た。しばらくの沈黙の後、ゼロは大きくため息をついた。
「…行ってきなさい」
「やったー!ゼロ様ありがとー」
「ウワァ!!?」
ルマは地面のわずかな隙間に足をつまずかせてしまい、浮遊魔法も忘れて地面に頭からダイブし、みんなにどっと笑われてしまうのであった。
その微笑ましい様子を、ハイリンは遠巻きに、慈しみのまなざしを…ただ、どこか憂いも混じった表情で凝視つめていた。
おまけ
セノ「上から目線な性格を直したい。何かアドバイスしろ」
ミラージ「もう手遅れですね」




