高慢かあるいは徒花【Ⅸ】〜お化け屋敷攻略〜
「てパルーザじゃん、久しぶり」
「久しぶりだなピンクの原住民」
「ギャアアアアア、…って、アレ。パチーカとオバケが普通に喋ってる…?」
「旦那もどきに、カタブツかりちゅま、脇巫女も最近会ってなかったな」
「あだ名ひどくナイ?」
「ったくなんだお前さんだったのか。驚かしやがって…」
パチーカどころかカロンもガランも泡吹いて失神しかけてたアテナまで、オバケと何事もなかったかのように普通に話し始めてるんだけど。…ドユコト!?
「ルマは会ったことなかったよね。この人はね、パルメザンチーズ」
「違うわ!パルーザ・パルアミアだ!」
前髪が部分的に黄色い黒髪の少女パルーザ・パルアミアは、なんとルマ以外全員と知り合いだった。儀式的なきっちりとしたシスター服に、手には穂が3つに分かれた大きな戦槍と、結構おっかない格好ではなるが、どうせ私の名前は言いにくいし覚えちゃくれやしないよ、と若干すねる姿を見たあとでは、そこまで恐ろしく感じられなかった。エンデという星住在で、前にドリームランドと一悶着あったらしいが、現在は和解して、こうして度々遊びに来ているんだとか。
「ということで本題に移ろう。改めて皆の者、ホーンテッド◯ワーにようこそ。皆の者には、この超大型アトラクション‘ホーンテッ◯タワー’を散策し、塔の頂上目指して攻略してもらう」
ホーン◯ッドタワー!?大型アトラクション!?
「単に言えば、いわゆるお化け屋敷だ。私達の完全なる手作りではあるが、油断はしないほうがいいぞ。ステージや仕掛けには私達の力や魔術が用いられている。ではさっそくルール説明を…」
「チョット待ったぁああ。ツッコミたいことは山程あるけど、ソモソモキミどうやってここにボクたちが来ることを知ったのさ!?マサカ、ノア襲撃犯とグルなんじゃないだろうねぇ?」
しかしパルーザはふん、と一蹴した。
「生憎、私はこのことについては‘ミリしら’ってやつだな。事情を聞きたければ、ハイリン様にお聞きになったらどうだ。この催しを考えたのはハイリン様だからな」
「は、ハイリン ダトォオオ!!?」
「ルマ ハイリンと知り合いなの?」
「い、いや…、昔チョット会ったことあるダケだよ。要するに腐れ縁ってヤツ」
ハイリンはルマにとってミリしらの対義語となる名前だった。様をつけるってあたり、パルーザよりも上位の存在なのか。アイツ、いつの間に部下がいたのか。
「なんだ!ハイリンが考えたんなら心配いらないな」
「ハァアア!!?何言ってるノ!?あの狂気祈祷師のハイリンだよ!!?絶対何か企んで…」
「それなら俺が保証するぜ。なるほど、ドリームランドでの仕事ってこれのことだったのか。妙なサプライズしやがって」
「そうか、大王は先日ハイリンに会っていたのか。ならば私も信じよう」
「そうだね、ぼくたちが冒険楽しめるようにお化け屋敷作ってくれたんだね」
「僕としては怖いのはちょっと…、う、うぅ……」
「ハ?エ、チョット…、ナンデそんな事が言えるんだよ!?ソイツがパーツ集めを邪魔する悪いヤ…(ズドン
突如ルマの顔すれっすれに、三又の雷を纏った槍が突きたれられた。勢い良く槍を突き刺された壁は、ヒビが入り砕けかけていた。バチバチと音を立てて雷が槍の刃を伝う。そこには、カッと目を見開いてルマに迫りくるパルーザの姿があった。あまりの気迫に圧倒されてしまいそうだ。
「今、ハイリン様を‘ソイツ’呼ばわりしたか…?」
「イエシテマセン(半角)」
「せいぜい口の利き方には気を付けることだな。さもなくば八つ裂きにして亡霊の供物にしてやるからな。改めてアトラクションのルール説明に移るとして…」
(ヤバい、ヤッパリこのアトラクション尋常じゃない…。全然大丈夫じゃない気がスル〜〜〜)
何事もなかったかのように説明を続けるパルーザを他所に、未だ軽く命を危険にさらされ心臓バックバクなルマと、期待に心躍られる(一部例外アリ)パチーカ達との、ホー◯テッドタワーの攻略(半強制的)が始まるのであった。




