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虚言の堕天使  作者: みさこんどりあ
虚言の堕天使 一部 虚言〜そして虚構
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高慢かあるいは徒花【 Ⅳ 】〜主人公敗北if〜

「大王さまー、こちらにキャリオンクロー達を誘導しますね!いきます!アテネ百裂スピアー!!」


「よっしゃいくぜ、鬼殺し火炎撃ー!」


その場に合った最適な行動を、針の穴に一瞬で糸を通すかの様に的確なサポートを行うアテナと、ガランの高火力な一撃で、一箇所に集められたキャリオンクロー達を、まとめてディメンションホールにホールインワンさせた。


「異界からの迷い子よ、在るべき場所に還らん…。ミラーエッジ!からの回転斬り!」


カロンの目にも止まらぬ剣技は流れるように軽やかで鮮やかで、それでいて繊細で、一種の芸術のようでさえある。空を飛び回り狙いが定まりにくい敵も、彼の前では止まってるも同然だった。


「ペインティングビュー!」


シルビアの的確なサポートは、相手を注意深く見る事によって、敵の僅かな動作の傾きを察知。それで次の行動を予想し、その場その場にあった適切なを動きをことで両立する。その高い視力を持ってこそ出来る技であった。周囲に絵の具を撒き散らし、相手の視界を防ぐ。

そんな敵の隙をクレイが見落とすはずもなく、8本の細工棒を指の間に挟み、それをキャリオンクローに向かって飛ばした。8本の細工棒は的確に敵の急所に貫き、異空間外の空間の波長と合わなくなってそのまま消滅した。


「あっ、この細工棒 妹のやつ…

 まぁいっか、なんとかなるっしょ」

「よくねぇわ!!」



「縦斬り!からの下突き!」


圧巻なのは、やはりパチーカだった。普段のほほんとした姿から想像出来ないほど素早く、力強く、容赦ない動きで、クローどもを散らして千切っては投げ込み、蹴散らしては千切る。パチーカに目をつけらしてしまった哀れなキャリオンクローは、自分が何をされているのかも分からず、そのまま次々と異空間の彼方へストライクされていった。


(ミンナ…強い…!)


彼等の想像以上の強さにルマは感心…どころか感動すら覚えた。勇敢なパチーカだけでなく、親分肌なガランも、クールでたまに天然なカロンも、何時も何処かぼーっとしているクレイも、基本的には明るいがたまに闇を感じるシルビアも、少し気弱なアテナさえも、個々の得意なものを手足の様に使いこなし、気性荒く攻撃を仕掛けてくる敵にも恐れず立ち向かい、翻弄する、見事な戦いっぷりを見せている。


一方、ルマというと…


「イタッ、ボクを突っつくなコノヤローッ!」

「ケケッ」

「チョ、フードが破れる!破れるッテ!!コレ布に魔術刻むの大変だったんだよ!?」


重要な役割があるからといえ、ルマは無防にキャリオンクローらからの一方的な攻撃に耐え続けるのは正直言って癪だった。今すぐにでもキル・ニードルでコイツラを串刺しにしたい気持ちでいっぱいだが、実際にそんなことしたら、ディメンションホールが維持出来なくなって作戦失敗だ。自分にもっと魔力があれば、二つの術を同時に発動させる事も出来ただろうに。どんなに優れた術式が開発できても、それを発動させる程の魔力がなければ結局のところ意味がないのだ。己の足りなさを惨めに思う。

だがしかし、自分の足りないところは他人を使って補わさせればいいだけだ。どうせキル・ニードルも、パチーカ達の強力な技の数々に比べたら、大層見劣りするのだろう。それなら、攻撃に関しては彼等に任せる。それがベストだ。

苦手な事、自分が出来ない事は、血の滲むような努力をしたって、結局のところキチガイに比べたらそんなの亀の歩みにすぎないのだから。得意な他人に任せるほうがずっと効率的だ。餅は餅屋ということわざがあるように、これは卑怯とかではなく、いたって普段の戦略術。今までだってずっとそうやって生きてきたんだ。今更それがなんだって言うんだ。


…それなのに、どうしてパチーカ達が自由自在に戦う姿を見て、胸の奥からふつふつと想いが溢れてくるのだろう?



「ルマ、動かないでねー!」


「…エ?……ピャァァ゙!?」

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