ウチの大王がお騒がせしました。
ド初心者です!誤字等のミスはご了承下さいm(_ _)m
これは、小さな星にある、呆れるほど平和な国の本当にどうしようもなくて下らないお話。最初はただ、そう思っていた。
「今日の朝ごはんは何かな〜♪」
壊滅的な鼻歌を歌いながらやってきたのは、主人公のパチーカ・アダム・オリオニス。今、食堂に向かって、城の長い長い廊下をスキップしながらご機嫌で歩いている。普段は頼りなくてだらしない感じをしているが、一応この星の戦士であり、いざとなったらやるタイプ。好きことはお昼寝と食べること。
突然、ゴゴゴゴとお腹が鳴った。
(…ん?ゴゴゴゴ…?これってホントにお腹がなったときの音のなの?ていうかどんどん音が大きくなってきてない?)
ドカーン!!
目の前にあった壁が勢いよく崩れ、その衝撃でバチーカは勢いよく吹っ飛んでしまった。
「うわあ゙あ゙あ゙あ゙あ゙ぁ゙!?」
(ここを助ければ高ポイント!)
壁にぶつかる寸前に剣士カロンがキャッチしてくれた。カロンは自称パチーカの師匠で、ナルシスト気味な騎士である。ボケとツッコミ両方いけて、ちょっと天然でアホなところがあるが、いざとなると、割と頭がまわり、剣の実力も本物。
「大丈夫か?」
「あっ!、サンキュー!」
「ぐははははは!!新型魔物ダークキャリオンクローよ!今日こそパチーカを倒すぞ!」
そんなこと気にせずゲラゲラと笑っているのは、この国の大王であるガラン。とにかくアホないじわる大王で、騒ぎがおこる殆どの原因がコイツ。もう一度大切なことなので言っておくが、アホ。とにかくアホ。
「チッ、またバカ大王か(小声)」
「なんか言ったか!?」
「いや、なにもw?」
物語序盤でいきなり主人公が舌打ちしていいのかと聞きたくなるようだが一旦それは置いとくとして…
(けどかなりまずい。城が壊れたってことは…)
「俺の城を壊したのは何処のどいつだ…?」
(ヤベ、もう来た!?)
怒りが満ち溢れて来たのは、カタチを創る能力をもった彫刻家のクレイ。この城をつくった張本人で、普段はおとなしくいつもぼーっとしているのだが、自分の作品が壊されると、急に性格が荒くなる。どっかのヒョットコの刀鍛冶じゃないけど、自分の作品を壊した奴は誰であろうと叩きのめすヤベー奴。今日は城が破壊されたときの音が大きく、いつもより早く現場に駆けつけたみたいだ。殺気が隠しきれなくて、その場の空気が凍りつく。
「…そこの大王です〜……」
「裏切ったな!このヤロウ!」
「裏切りもなにもないよーだw」
魔物(もう帰っていいかなぁ…)
「いつも城を壊すなと言っているだろう…お前が城を壊すのはこれで何回目だ…?」
「…はぁ……」
(え…?なに…急に?怖い。)
「…そうかそうか。つまり君はそういう奴なんだな。」
(勝手に自己解釈しやがった〜!!そして暴れ始めた〜!)
エー〇ールかよ。とツッコミたくなる気持ちとは裏腹に、そんな余裕もなく、デカい彫刻作品をぶん回して、物理的に大王を叩きのめそうと追いかけ始めた。自分で自分の作品破壊してんじゃん。実はこれが、ところどころ魔物に当たって、割とダメージが入る。
「ゆ…許すZOOY」
「許さん!」
「ギャハハハ!!芸術はバクハツだぁぁぁ!!!」
そう言いながら、どこかの学園の美術の教師じゃないけどマジで爆発し始めた。流れ弾が当たりそうで必死に避ける。誰か助けてくれ〜〜!!
「ホントに爆発する奴がいるかボケェ!!!」
「ぐふぁ!?」
「シルビア!」
壁に飾ってあった絵画の中からシルビアが出てきて、持っていた筆を、真上からハリセンの如くクレイに引っ叩いた。シルビアは元々捨ててあった絵画をクレイがカタチを創る能力で、実体化させた存在。キャンバスに描いた絵を実体化されたり、絵画の中に自由に出入りすることができて、筆を持ち武器に使っている。おま…命の恩人ともいえる人に、なに一撃かましとるんかい。
「ん?俺今まで何してたんだっけ?」
「も〜っ!クレイったらおっちょこちょいなんだから〜!」
「すまんすまん。」
「ふー。助かったぞ」
ガランがほっとため息をついた。
カロン(今のをおっちょこちょいで済ますのもどうかと思うぞ…)
いつもクレイが暴れたときは、たいてい叩けば直る。昔のテレビじゃないけど。本当にクレイは多重人格を疑いたくなるレベルだ。
「されと、一旦置いといて…この魔物どうしよっか?」
パチーカはそう言ってダークキャリオンクローを見つめた。
ダークキャリオンクローはただこちらを睨みつける。漆黒の翼に宇宙色の単眼がギラリと光った。
そして、そう思っていた矢先、ダークキャリオンクローがパチーカに向かって突進攻撃を始めた。パチーカはいち早く反応し、空中で空を舞うようにヒラリと避ける。そのまま持っていた剣で反撃を加えた。ギャーとダークキャリオンクローが汚いうめき声を上げる。
「普段怠けてるといって、見くびらないでくれないかな?」
「くっそー!つべこべ言わずに(?)早くパチーカを倒すぞ!」
「パチーカ!私も手伝うわ!」
そう言ってシルビアは筆を大きく弧を描くように振って追撃を加える。
「デカルコマニー!!」
「ペシア、ナイス〜!」
ダークキャリオンクローはもう一度突進攻撃をしかけてしたため2人は跳んで回避したが予想外にもダークキャリオンクローは直前に止まり、そのままダークキャリオンクローは2人に向かってエネルギー体を放つ。
(フェイント!?)
シルビアはすぐそこにあった絵画に入り込み回避するが、パチーカは空中にいるため身動きをとることができず、当たりそうになる。
(ヤベッ!)
「いいぞ!当たれ!」
「キャンバスガード!」
シルビアがキャンバスを使って攻撃を庇った。
「あっぶぁ〜。ペシア、マジで助かったわ!」
「またには私も役に立つでしょ」
「くられ!ぶんまわし!」
そのままパチーカが反撃を食われた。
「……ギィヤ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙…!!!」
さっきの攻撃を食らい、ダークキャリオンクローはついに力を解放する。宇宙色の単眼は琥珀色に変り、どこか怪しげに微笑んでいるようにも見える。ダークキャリオンクローの動きが更に激しくなる。エネルギー体の数が格段に増え、体を纏った紫色の魔力が濃くなりオーラのように波立つ。目にもとまらぬワープを繰り返し、今にも見失っていまいそうだ。
「おーなんかよく分からんけど凄いぞ!そのままパチーカを叩きのめせ!」
「…明らかにヤバそうだな。クレイ、私達も参戦するぞ!」
「りょ〜か〜い」
(いやヤバそうじゃなければ手伝わないんかい!)
「まぁ協力してくれるならいっか」
「なんか言ったか?」
「何も?」
「まぁ、気を取り直して、もう一仕事いきますか!」
ダークキャリオンクローは4人少なくても80個はあるであろう、エネルギー体を4人に放つ。
「私達に任せろ!」
カロンとクレイは80を超えるエネルギー体を見事にさばいてゆく。
そこをシルビアとパチーカは攻撃を掻い潜りながらキャリオンクローの背後をとって攻撃を叩き込む。
パチーカ「ソードビーム!!」
シルビア「スパッタリング!」
「ギィああ!?」
見事ダークキャリオンクローに命中し、わずかに隙ができる。
「今だッ!」
カロン「ソードビーム!」
シルビア「カラフルビューティフル!」
クレイ「カービング!」
パチーカ「大剣百裂斬り」
「ぎゃああ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙…!?」
ダークキャリオンクローは汚い悲鳴のような断末魔を上げながら形が崩れていき、黒い塊のようなものが四方八方に散っていった。
「…終わったね……」
す…ま……
(ん?何か聞こえる気がする)
すみま…せ…
(なんか段々大きくなってるよな…?)
「すみませ〜ん!!!!」
(やっぱ気のせいじゃなかったわ!)
大声で謝罪しながらやってきたのは、ガランの秘書の槍使いアテナ。とってもしっかり者で、どんな仕事も完璧にこなすほどの優秀。大王がいつもこんなんで凄く苦労している。家事、政治、大王の身の回りの世話とか全部やっているんだとか。まぁ、あの大王のことだからそんなことだろうなと思ってたけど、流石にアテナが可哀想になってくる。もうお前は部下に王位譲れ!
「すみません。ウチの大王がお騒がせしました。」
(保護者か)
「いや、そんなことないよ!そもそも君は何も悪くないでしょ。それにいつもあんな大王の相手できるなんて凄いよ。僕だったら一瞬でいらついてでボッコボコにしちゃう!」
カロン(今さらっと怖いこと言わなかったか?)
「そんなことないですよ〜!そういえば、皆さんご怪我はありませんか?」
「この通り、ピンピンしてるよ〜」
「ご無事で何よりです!」
クレイ「ま、なんやかんやで無事に倒せた訳だし、別にいいじゃないか。」
カロン(一体あの魔物はどこから来たのだろうか。今回は無事に倒せたが、次はそうとは限らないだろう。今後何かしら策を取らなくては、、、)
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外の光が一切遮断され暗闇と化した王の間。それを照らすのはモニターの機械的な明かりのみ。その中をガランはモニターに向かって、誰かと話していた。
「おい!キャリオンクローがやられたぞ!!これでパチーカを倒せるって言ってただろう!?」
「マァ、今回はこっちもユダンしてたよ〜。マサカ、ダークキャリオンクローがヤラレチャウなんて。」
「それにあの子はキャリオンクローの中でも、ボクの力を注いだ強いほうなんだよ〜。」
「今回は腕試しってことで…」
そう言いながら、モニターに映った謎の人物は、手に乗ったキャリオンクローの顎(?)の下辺りを撫でた。キャリオンクローは「キュイ〜」と鳴き声を上げて喜ぶ。向こう側の画面が暗く、表情がよく読めない。けれど禍々しい姿をしているのは、確かにわかる。ただはっきりと見えるのは紫色に光る2つの目のみ。謎の人物の独特の猫撫で声が、部屋中に轟く。
「知るか!今回の失敗はどうやって保証するんだ!?」
「だーかーらー、それも含めてオワビしてるんだよぉー。」
「それが詫びているときの態度か!?ちゃんと謝罪しろ!!!」
謎の人物は瞳を三日月のように細めた。それは酷く冷たい微笑みで、ガランは背筋がゾクリと凍りついたのを感じた。
「…オマエ、ちょっとウルサイ。」
「…マァ!ソンナコトはさておき、また魔物送ってアゲルからヨロシクネ!」
そう言って、プチッという音と共に通信が切れ、モニターの画面が暗くなった。
「もう!いつも勝手に話進めやがって!!!」
モニターの光を失った王の間は、完全に暗闇に染まった。アテナは持っている槍をぎゅっと握りしめて、ただその様子をガランの隣で見つめていた。
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「あちらの様子はどうでしたか?」
「…マァ、ボチボチってところかな?アッ、あと、アッチの方の大王は、メッチャイラつくんだよ。」
「そうでしたか。」
「…そういえば、もう行ってもらっても大丈夫かな。」
「かしこまりました。そう伝えておきます。覇王様。」
おまけ 誰も元ネタが分からないパロディ
「急にポエム書き始めるしー」
「似合わないネックレスとかつけ始めるしー」
「作品を壊した人をぶっ殺そうとするしー」
「要するに厨二病なの!クレイは!!」
「お…おう……(それって本当に厨二病なの…?)」