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虚言の堕天使  作者: みさこんどりあ
虚言の堕天使
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高慢かあるいは徒花【 Ⅲ 】〜R氏の話を信じるな〜

R氏の話を信じるな (出演:R氏、パチーカ、アテナ)


「パーツ集めヨロシクネェ〜♡」

 ((握手〜))

「わにゃ(罠)だよパチーカッ!!」

「はいはいわにゃね」


「取り敢エズ、裏切る前提で話を進めないでくれないカイ?否定はしないケド」

無機物な定型文がアナウンスされている。カロンが周囲を警戒しながらルマに尋ねた。


「この船は恐ろしい怪物に襲われて今の損傷を負ったと言っていたな。その怪物がここまで追ってきたのか?」


「マサカ、遠いハルカドラボから自力でココまで辿り着いたなんて、到底思えないよぉ!…トニカク、ノアまで急ごう!」



てちてちてち(カロンが無言で走る時の音)




そこにいたのは、鳥を連想させる胴体に翼と2本の細長い尻尾が伸びた、大きな屍の群れだった。紫、赤、緑、金…体色は個体によって様々で、ノアを狙う様に周囲をぐるぐると飛び交い、ギザギザした歯で船体にかじりついたり、ガンガンと体当たりをかましている。本来は異空間に生息する生物だが、7人とも目新しい記憶があった。


「あのいきものって、今日パーツ集めのときへんなくうかんで戦ったあいてだよ!」

「アレは『キャリオンクロー』。アナザーディメンションを住処にしている生命体ダヨ!ノアの持つエネルギーが大好物だから、キット引き寄せられてきたンダ!」

「え!?あの生き物ノアを食べようとしてるんですか!?」

「え、ノアって食べれるの!?」

「食べれないからね!絶対に食べないデヨ!?」


ノアを見る視線が若干変わりつつあるパチーカに、一旦キツく釘を刺しておく。彼なら本当にやりかねないところが本当にヒヤヒヤする…。

そして実際近くに来てみると、かなり深刻な事態になっている事が判明した。


「いくらナンデモ多くナイ!?何百匹いるんだヨォ!?」


あっちを見てもキャリオンクロー。こっちを見てもキャリオンクロー。そっちを見てもキャリオンクロー。何処を見てもクロークロークロークロー。見渡す限り、視界の何処を見てもキャリオンクロー。アナザーディメンション中のキャリオンクローを根こそぎかき集めてきたと言わんばかりに、ノアを覆い尽くす程の大群が好き勝手暴れていた。

ノアの防衛システムさえ生きてれば、攻撃もなんだの全て跳ね返せるのだが、ご存知の通り今は何処もかしこも故障中で殆どの機能が停止状態だ。つまり、一刻も早くコイツラを追い払わなければ、ただでさえ故障中のノアがもっと酷い有様になるどころか、パーツが喰われて足りなくなってしまえば、直すことも出来なくなってしまう。


「船が危険にさらされる!早くアイツらを追っ払うぞ」

「かしこまりました!大王様」


普段から戦い慣れしている6人は、素早く戦闘態勢に入ろうとした。しかし、そこに待ったをかけたのは、一番ノアの事を心配しているはずのルマだった。


「ミンナ待って!タダ追い払うダケじゃダメなんだ!」

「なんでだ、早く片付けないと船が傷付いていくぞ」

「アイツらを野放しにしとけば散らばってるパーツを喰わレル!アナザーディメンションに送り返さなきゃダメなんダ!」


ルマは辺りをぐるりと見回した。キャリオンクローは()()自力で空間を行き来できないので、何処かにキャリオンクロー達を召喚した異空間との入口、ディメンションホールがあるはずだ。だが、それらしきものは一向に見当たらない。もう出入り口が閉じてしまったのだろうか。とすれば、もう一度それを開く必要がある。ルマは一応その魔術を習得しているが、せいぜい自分が通れるぐらいの大きさしか作った覚えはなく、ただでさえ魔力消費量が馬鹿みたいに多い魔術なのに、キャリオンクローを通せるほどの大きさのホールをしかも継続して維持する為には、とても悔しいが自分の貧弱な魔力量じゃ全然足りていないのであった。

それでもこの場でディメンションホール作り出せるのはルマしかいなかった。それに、ノアの修理箇所が増え、ヒーヒー言いながら修理するなんて全くのごめんだ。ここは、限界まで頑張るしかない。ルマは、ノアに群がったキャリオンクローをしっぺ返していた6人に向かって叫んだ。


「ボクが魔術でアナザーディメンションへの入口を開けるカラ、ミンナはソコに向かってキャリオンクローをどんどん放り込んじゃってネ!」


「お前さんそんな事も出来たのか!?」


今までは実力を隠していた事もあって、多少驚かれる。しかし、皆すぐに「分かった!」と頷き、各自持ち場を決め作戦を始めることになった。


「甲板は俺に任せとけ!アテナはサポート頼む!」

「はい、全力でサポートします!」

「空中や船側面部の敵は私とパチーカで受け持とう」

「後ろの方は私達に任せて!」

「ディメンションホールはソウ長く開けてられないカラできるだけ急いでね!」


そしてルマも甲板に登り、なるべく全員がキャリオンクローを叩き込みやすい場所で空に手を翳して、特大サイズの魔法陣を上空に描いた。そこに魔力を流し込むと時空に歪みが生じ、ゆるりと星型に広がり、その向こう側に宇宙の様な異空間を覗かせるディメンションホールが完全した。


「グッ…ヤッパリ魔力の消費量が半端ジャナイ……ケド、そんなのナンノコレシキ!サァ、お帰りはコチラからだよぉ!マナーの悪いヤツラにはさっさと全員退場させちゃっテーー!!」


「「「「「「お〜〜〜〜〜!!!!!」」」」」」


「‘マナー’の悪いヤツラにはさっさと税引退所させちゃっt『呼んだ?(←本名がマナ)』

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