意味なんてない。そんなのわかっていた。
―二十年前―
「っはぁ…はぁ…っ」
水色と茶色の髪が揺れる。闇夜の中、2人の幼い子供が手を繋いで走ってゆく。
月明かりさえもない森の中を、走る、走る、ただひたすら走る。
もうどのくらい走ったかどうかも分からない。もう走り始めてからどのくらい経ったかも分からない。1時間以上経っている気も、1分ぐらいしか経ってないような気もする、不思議な感覚。
何処を走っているのか。何処へ向かっているのか。何故こんなことになったのか。その全ては夜の闇が混ざり合い、溶けて、分からなくなっていった。
ただ唯一分かることは、ここで「アイツラ」に捕まれば、「死」が直結してること。
肺が痛み過呼吸になる。内臓が千切れて全て出てきてしまいそくな気持ち悪さ。それでも2人はただひたすら無我夢中に走る。生きるために必死に走る。
「キャッ…!」
足元が見えず、1人が木の太い根に躓いた。「アイツラ」はすぐそこまで迫って来ているというのに…!反射的についた手が地面とこすれ合って傷口が熱くなる。
―もう諦めるしかなかった。
「アイツラ」が網で、転んだ子供を捕らえた。
「お姉サマ…!!?」
もう1人の子供が悲鳴に心配して後ろを振り向く。
せめてあの子だけでも…!
「私はいいから…!マジルテは早く逃げて!!」
「デ…デモ……」
「いいから早く!!!」
もう1人の子供は一瞬戸惑いつつも走り続けた。
そうだ、これでいいんだ。
「また会えるから…!また、絶対会えるから!!」
『それまで私のことわすれないでね』
最後にそう聞こえた気がした。
初投稿です!こっからあらすじの通りに進めてこうと思います。主の都合上、投稿は不定期となってしまいそうです(汗)