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7話 大平洋航路  改

ハイペリアン乗組員

坂本リョウマ 副司令 日系アジア人 28歳 男性 中佐 戦略参謀 陸海の軍事作戦担当 

西郷たかお     日系アジア人 28歳 男性 中佐 内政参謀 内政全般担当

大久保トシオ    日系アジア人 28歳 男性 中佐 外務参謀 外交担当

勝りん太郎     日系アジア人 25歳 男性 少佐 海軍参謀 

乾タイスケ     日系アジア人 25歳 男性 少佐 陸軍参謀

福沢ゆー吉     日系アジア人 25歳 男性 少佐 財務参謀  財政全般

ヘレン ダルク   フランス人  25歳 女性 少佐 医療参謀  医療技術向上、

服部ハンゾウ    日系アジア人 25歳 男性 少佐 警察参謀 

                          公安、情報捜査、隠密捜査

杉原 ねね     日系アジア人 20歳 女性 大尉 医療副参謀 教育全般 


1492年7月初旬

長崎港を出港した勝少佐は、護衛艦一隻を率いて、太平洋航路の開拓を目的に横須賀へと向かっていた。


※以後、「もがみ型護衛艦」は「護衛艦」と表記する。


7月中旬

九州南端を越え、土佐沖へと差し掛かる頃、視界に無数の船影が現れた。

その中の一隻、やや大ぶりな和船がこちらに近づいてくる。


艦橋に立った勝少佐が双眼鏡を覗くと、

中央に武将らしき男が立ち、堂々と声を張り上げた。


「拙者、能島村上家当主、村上雅房むらかみ まさふさと申す!

 この船、蝦夷国の橘家の船とお見受けするが――

 乗船の許可、頂きたく存ずる!」



挿絵(By みてみん)


勝少佐は、甲板から近づいてくる和船を

見つめながらつぶやいた。


「なんか……あの男、やたらフレンドリーだな。

ま、話だけでも聞いてみるか」


護衛艦の応接室。長方形のテーブルを挟んで、

和服姿の父子が緊張気味に座っていた。

男の名は、能島村上家の当主・村上雅房。

隣にはその息子、隆勝の姿がある。


「父上、あれが……南蛮船というものですか?」

隆勝は目を輝かせながら言った。

「帆も無いのに進むなんて、まるで妖術ですぞ! 

しかも、あの巨大な大筒……一体どうなってるのですか?」


「こら、隆勝!」

雅房は思わず声を張り上げた。

「無礼を働くでない。……それに、わしらには到底理解できぬわ」


「ははっ、すみません。けど……一度でいいから、

この船、操縦してみたいですな!

 この船なら、明国や南蛮も夢じゃありませぬ!」


そんな親子の会話の中、応接室のドアが静かに開いた。

入ってきたのは、凛とした軍服姿の青年――勝りん太郎少佐である。


彼は親子の向かいの椅子にスッと座ると、

立ち上がろうとした二人に微笑みながら手をかざした。


「どうぞ、お構いなく。そのままで結構ですよ」


雅房が恭しく頭を下げる。


「これはご丁寧に。私は能島村上家の当主、村上雅房。

そして、息子の隆勝でございます」


勝少佐もうなずく。


「蝦夷国、海軍参謀の勝りん太郎です。さて――ご用件は?」


雅房は、ふっと息を整えると、背筋を伸ばした。


「実は、長崎の親戚・長崎一朗太殿から、

貴国のお話をたびたび伺っておりました。

 この目で確かめたいと思い、直接まかり越した次第。

そして本日、決めました」


彼は目をまっすぐ勝少佐に向け、こう言った。


「我ら村上家三家――能島・因島・来島、

蝦夷国に臣従致したく存じます。

 なにとぞ、よろしくお願い申し上げます!」


「え、いきなり!?」

勝は思わず面食らった。


(まさか、ここで来るとは……)

けれど、すぐに総司令・橘幸太郎の言葉を思い出す。

「来る者は拒まず」――だったな。


「では、いくつか条件を提示します。選択は、

貴殿にお任せします」


村上家への臣従条件:


【一案】

領地を蝦夷国の直轄地とし、村上当主は代官として行政を担当。

家臣もそれぞれ役職に就き、俸禄は現行と同額を明銭で支給。


【二案】

本領を安堵し、自治を認める。

ただし軍事介入は行わず、自衛責任を負う。

蝦夷国の国旗・旭日旗の掲揚は許可し、

外交的威圧力の効果は見込める。


「……よし、一案でお願いしたい!」


即答だった。


こうして、村上三家は戦わずして蝦夷国の傘下に入り、

瀬戸内海の制海権を獲得する。


後日、村上雅房・隆勝父子と、水軍兵士200名は

護衛艦で小樽港へ向かい、そこから琉球・那覇の

海軍訓練施設へ送られた。

目的は、最新型のガレオン船操縦訓練だ。


残された村上三家には以下の通達がなされた。


海賊行為の全面禁止


瀬戸内海の海上関所の撤廃


堺商人の商船の護衛義務化


これにより、瀬戸内の流通量は飛躍的に増大。

後に村上三家は、村上雅房を総当主として編成され、

太平洋最大の海軍勢力となる。


1492年7月下旬。


勝少佐の乗る護衛艦は、阿波国・徳島港に入港していた。


この地は、葉藍・塩といった農産物や、

檜などの林産物を積み出す物流拠点として栄えていた。


勝少佐は、船大工とその家族をスカウトするため、

徳島村から職人を一括で移住させることを決断。


「人手が……圧倒的に足りん!」


蝦夷国の慢性的な人材不足を背景に、勝は以下の策を講じた。


技術職には現給の10倍の報酬


家族の衣食住を完全保障


結果、100人の職人とその家族400人が小樽へ移住。

職人たちは造船研究所に配属され、家族は農地開発に従事した。


一方、徳島村は橘家から大量の木材の発注を受け、

周辺の村々も巻き込んで活況を呈する。


徳島港はガレオン船対応の深港へと拡張され、

瀬戸内海随一の港町へと変貌を遂げていく。


政治的には、阿波国を支配する三好長秀に使者を送り、

朝廷の勅諭と大量の明銭をもって交易許可を獲得。

これにより、徳島~蝦夷間の経済ルートが確立された。


そして――


小樽での造船訓練は順調に進み、半年後には木造ガレオン船を建造可能に。

さらに1年後には、鋼鉄製ガレオン船の建造技術すら習得していた。


日本は、着実に世界最先端の国家への階段を登り始めていた。






昔の言葉は、難しいので、なるべく現代の言葉使う様にしております。

時代年表は、適当ですので、歴史フィクション的な感じで、お願いします。

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