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招かれざる訪問者襲来! 絶界の孤島連続殺人事件?4

死んだと思われていたファルが生きていた。

その事実に対してニシロは錯乱している。


「なんでお前が生きてんだよ?! お前は死ぬ予定なのに!!」

『あっははぁ☆ 自白いただきましたぁん☆ お芝居した甲斐があったよ☆』


ファルがケラケラと笑う表情を映したままニシロの疑問に答えた。


『説明しよう☆ ボクは君達を騙す為にコゴロウのふりをした☆ その為にぃボクそっくりのお人形を用意してベータクンに背負ってもらってたんだ☆ 今日は寝不足ぅ☆ 船酔いしたぁ☆ とか言った音声を流してね☆』

「はぁ?! じゃあ館に着く前から入れ替わってたのか!」

『そう☆ そして君達がボクの用意した花火に気を取られている隙にお人形を部屋から落としてあたかもボクが死んだように見せたの☆ 大変だったよ☆ てこの原理のおかげでどうにか石像を倒せて本当に良かった☆』


そこまで言ってファルはニシロに向けて指を指す。


『このボクが死んだフリをしたのには理由がある☆ それが何か、分かるかなぁ〜?』

「はぁ?! 何を言って、いやそうか。」


先ほどまで狼狽えていたニシロだったが、すぐにいつも浮かべている名探偵としての顔に戻す。


「つまり貴方は偽装工作をして自分が死んだと思わせて皆を殺害したん」

『ブッブ〜☆ ハッズレー☆』


両手をクロスさせてバツを表現しながらニシロの推理に対して食い気味に否定したファルはにやけた表情を表示する。


『正解は、自作自演野郎の君を捕まえる為だよ☆』

「自作、自演?」

『そう☆ 最初っから君を捕まえる為の罠だったんだよぉ〜☆ ボク達が殺人鬼を追ってこの島にやって来るという嘘情報を流してぇ君を誘い込んだのぉ☆』

「何を、言っている。私は何もしていない。」

『じゃあなんでナイフなんか持ってたのぉ? 保安部に入ってないヒトは刃物を持ち歩いちゃダメなんだよぉ☆ 知らないじゃ済ませられないよ☆ とりあえずこれで君を拘束できる理由が出来たね☆』

「ふざけるな! こんな横暴、まかり通る訳ないだろ!!」

『横暴かどうかはこれから調べれば分かるよぉ☆ ねぇ、犯罪者サン☆』


ファルの発言を聞いてニシロは怒りで肩を震わせ、顔を赤く染める。


「ふざけるな! 私は名探偵だ。その私が、殺人をする訳無いだろう!!」

『あっははは☆ 自分で名探偵って言っちゃうんだ☆ 普段は謙遜な感じだったのにぃ☆ てかボク殺人なんて言ってないよ☆ 何? 君ヒト殺したの?』

「このぉ!」


今にもファルに襲い掛かろうとするニシロだったが暴れる姿を見かねたベータに羽交い締めされている為近づく事すら出来ない。にも関わらず先ほどからニシロはファルの元に向かおうとしている。興奮した様子で明らかに正気ではない。


「ニシロ。もう、やめてよ。」


憧れの名探偵の姿が崩れていく様を間近で見せられているベータは弱々しい声音でニシロを止めようとするがニシロにその声は届いていない。


「殺す!!」


殺意のある目で見られてもファルは気にせずニシロに近づいていく。


『しょ〜がないなぁ☆ しばらくおねんねしてね☆』


そう言ってズボンのポケットから酸素缶のような物を取り出したファルは無理矢理ニシロの口元にマスク部分を押し付けて噴射ボタンを押す。すると中に入っていたガスが出てきてそれをニシロは吸い込んでしまう。流石にまずいと感じたニシロはなんとか抜け出そうとしばらく暴れていたが、ガスの効果によって脱力し動かなくなってしまった。


『はぁいもう抑えなくていいよ☆ 床に寝かせてね☆』

「…うん。」


ベータはファルの言う通りにニシロを床に寝かせるとファルはしゃがみニシロの頭部を触り、何かを見つけた。


『あ〜☆ あるねぇ〜☆』

「? 何があるのファル。」

『洗脳装置☆』

「え?!」


思わぬ物の発見にベータは驚く。


「どういう事?!」


ベータもしゃがみ込んでニシロの頭部を確認すれば後頭部に髪と同色の小さな機械が装着されている。


「早く外さないと!」

『下手に外すとニシロクン廃人になるかもよ☆』

「うえぇ!!」


ベータは急いで機械を取ろうとしたがファルの発言で慌てて機械から手を離す。


『デリケートな脳みそチャンに干渉してるからねぇ☆ 外すのは治療部に任せよ☆』

「…なぁファル。」

『何?』

「なんでニシロの頭にそんな変な機械がついてるんだ?」


当然の疑問に対してファルは知っている限りの事を答えた。


『ニシロクンにはゴウガシャとの繋がりがある可能性が高いの☆』

「ゴウガシャって、どっかで聞いた事があるような。」

『最近活発な犯罪組織だねぇ☆ ボクとベータクンが初めて会った日に暴れてた奴もゴウガシャ製品の違法装備を身につけてたっけ☆』

「あっそっか。あの時の。」

『ゴウガシャは分からない事だらけ☆ だから少しでも情報が欲しいのでニシロクンはお持ち帰り〜☆ ベータクンお願い☆』

「うん、分かった。」


意識の無いニシロを難なく背負ったベータは先に歩き出したファルについて行く。館の外に出てファルのウォッチの明かりを頼りについて行った先にあったのは一隻の船。その中に入って行ったファルに続くベータ。

船内は明るい為意識を失って床に転がされている3名の姿がはっきりと見えた。


コゴコ、シィゴ、ファルナ。


殺人鬼の手によって殺されたと思われていたこの3名。

実際はファルの小細工で死んだフリをしていたベータが1人ずつ攫っていきこの船に監禁をしていた。

手元には手錠。足元には足枷。

全員にニシロが吸ったのと同じガスを吸わされて意識がない上でしっかりと拘束されている。


「ねぇ。ここまでやる必要あった?」


床に転がされたニシロにも同じように拘束していくファルに疑問をぶつけるベータ。ヒト攫いなど明らかにヒーローがする行動ではない事を命令された事に大いに不満を抱いている為かなり不機嫌だ。


『あるよ☆ 誰が敵なのか分からない状況で無防備な姿を晒す訳にはいかないっしょ☆』


そこまで言って立ち上がったファルはいつもの笑顔から呆れた様子の表情に切り替える。


『ま☆ 全員ゴウガシャの洗脳機械の餌食になっていたようだけどさ☆』


ファルの言う通り意識を失っている全員の頭部にそれぞれの髪色に合わせた色の小型の洗脳装置が付けられていた。


『せっかく人数分の死体を用意したのに取り越し苦労ってやつぅ☆ こんな事ならベータクンに大暴れしてもらった方が良かったかも☆』


ファルはそう言うが、ベータからの相槌は返ってこない。体育座りをして不機嫌そうにそっぽ向いているからだ。


『ご機嫌ななめぇ☆ どうしちゃったのさ☆』

「…今日のおれ達、完全にヴィランのする事ばっかり。」


ニシロ達を騙す為に用意した数々の工作の手伝い。工作がバレないよう嘘をつき、身を隠してヒトを攫ってこの船に監禁していった。

ベータの言う通りにヒーローがする行為ではないだろう。


『でもぉそうしないとボク達が危ないよぉ☆ リンチパワーをなめたらあかんよぉ☆』


しかしファルはそんな事知るかと言ったような態度で船の中にあった機械を操作している。


「…でもファルならもっとましな方法思いついたんじゃないの?」

『かもね〜☆ でもさ』


もっと穏便に出来たのではというベータの疑問に対してファルは意地の悪そうな笑顔を表示する。


『もしニシロクンがゴウガシャに洗脳されていなかった時の事も考えとかないと☆』

「洗脳されていなかった場合?」

『前にも話したでしょ☆ 保安部に入ってないヒトが活躍するのはまずいって☆だから2度と名探偵と自称出来ないくらいのトラウマを植え付けてやろうかなぁって思ったんだぁ☆ それがあんな面倒な事をした理由☆』


ファルがあんな大掛かりな事をした理由を聞いたベータの機嫌がますます悪くなる。


「なにそれ。ファルはニシロの事嫌いなの?」

『嫌いだ。』


ほんの一瞬、機械音声越しではあるがいつものおちゃらけた口調ではなく、本来とファルの口調になる。が、すぐに戯けた口調に戻ってしまった。


『ボクはね、こんな組織は間違ってる、こんな世の中を変えてやるぜって感じで独自の正義感を振りかざして他のヒトを巻き込むヒトって大嫌いなの☆ だからもう2度と立ち上がれないようトラウマを植え付けてやるのさ☆』


変わらず笑顔を表示してそう言い切ったファルは操作を終えた機械から離れる。


『はぁい報告完了☆ すぐにお迎えが来るからね☆』


ファルが操作していたのは電波妨害装置と通信機だ。ニシロ達が外に向けて助けを呼ばない為に展開していた通信妨害を今は切り、通信機で保安部本部に一連の事件を伝えた。数時間後には応援がやってくるだろう。


「…ねぇ。ニシロはどうなるの?」

『罪状は詳しく調べないと分からないけど、少なくともぉもう名探偵は名乗れないね☆ だぁってゴウガシャの洗脳を受けてたんだもん☆』


憧れの名探偵がいなくなる。

その事実をはっきりと告げられたベータの気分はさらに落ち込んだ。


「…なんとかならない?」

『無理かなぁ☆ ナイフ持ってたし☆ 何かしらやってると思うよニシロクン☆』


ファルとベータが話している時、ニシロの方から呻き声が聞こえてきた。視線を向ければニシロが瞼を重たそうに上げている事に気がついた。


『あら☆ もう気がついちゃった☆ お薬、残り少なかったせいかな? それともぉ個人差?』


それでも薬が効いて意識が朦朧としている様子だ。ニシロが意識を取り戻したのは一時的なものだろう。またすぐに意識を失う事を察したファルはニシロに近づきそばにしゃがみ込む。


『ねぇニシロクン☆ 君、名探偵じゃなくなるんだよ☆』

「…は?」

『推理以外の特技、あるのかなぁ?』


上手く頭が働かない今のニシロではファルの言っている事が自身にとって絶望的な情報である事に気がつくのは時間が掛かるだろう。意識を失って、また目覚めた時には忘れてしまっているかもしれない。


『この先、まともに生きていけるといいね☆』


だから、言葉だけでなく。

聴覚だけでなく視覚を通して記憶に刻む為に。

ファルはヘルメットの表情を変えてニシロの顔を覗き込んだ。


『能無しサン☆』

「ひぐっ?!」


角度的にベータには見えなかったが、今のファルの表情はヒトの恐怖心を煽るものだった。それを突然間近で見せられたニシロは恐怖から逃れるかのようにすぐに意識を失ってしまった。


『もう2度と会えない事を願うよ☆』

「何したの?」

『何もしてないよ☆』


ベータに見られないようファルはすぐにいつもの笑顔に切り替えた。


こうして事件は犠牲者を出さずに解決


「ふざけるなぁぁぁぁぁ!!!」


は、まだのようだ。

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