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招かれざる訪問者襲来! 絶界の孤島連続殺人事件?2

古びた屋敷の居間に集まった数人の男女が怯え、恐怖心から怒鳴っていた。


「なんでウォッチが繋がらないんだ?!」

「電波が通じない! なんで?!」

「そんな!」

「救助は来ないのか?!」

「定期的に連絡するようにしている。連絡が無ければこちらの様子を見に来てくれるはずだ。」


屋敷は孤立した島に建てられており、陸への唯一の移動手段である船は何者かの手によって海へと流されてしまった。


「みなさん。落ち着いてください。」


狼狽している人々を落ち着かせようと声を上げたのは人々から名探偵と称されている少年、ニシロ。


「慌てたところで何も変わりません。まずは落ち着いて状況を整理しましょう。」

「落ち着け?! そんなの出来るわけないだろ!」


ニシロの発言に食ってかかった男は窓を、正確には窓の向こうにある外へと指を指す。


「ヒトが死んだんだぞ!」

「分かっています。だからこそこれ以上犠牲者を出してはいけません。彼のような悲しませるヒトを増やすわけにはいかないんです。」


そう言ってニシロが視線を向けた先にいたのは少年ヒューマロイド、ベータだ。

血のついたヘルメットを抱えて俯いていた。

ニシロはベータに近寄り肩に手を置いて声をかける。


「ベータ。辛いだろうが今は私に協力してくれないか?」

「…協力?」

「そうだ。ファルの仇、取りたくないか?」


顔を上げたベータの表情は悲痛で歪んでいたが、ニシロの言葉に対して強く頷く。


「…やる! おれ、ファルの仇を取る!」

「よし。じゃあ今からベータは私の助手だ。」

「え? おれが、いいの?」

「もちろん。何か気がついた事があったらすぐに知らせてほしい。」

「分かった。おれやるよ!」


ベータとニシロが話している所から少し離れたソファに座っているニシロと同い年くらいの青年が呟いた。


「なんであいつが仕切るんだよ。」


今にも舌打ちしそうなほど不機嫌そうな目の下に濃いくまがある青年、コゴロウ。年齢は17歳。

コゴロウが話したこの館に来た理由は、本来なら両親と共に来る予定だったが2人共急な仕事が入ってしまい先にコゴロウだけでこの島にやって来たそうだ。


「まぁまぁ。あの子は有名な学生探偵ニシロだし、あのヒューマロイドは保安部だ。彼らの言う事を聞いた方が安全だろう。」


そんなコゴロウを宥めようとしているふくよかで物腰柔らかそうな男性はコゴコ。年齢は48歳。

コゴコがこの館に来た理由は新作の小説を書き上げる事に専念する為だ。


「あぁどうしてこんな事に。」


コゴロウとコゴコから少し離れた場所にある椅子に座って脱色した髪色の頭を抱えている男はシィゴ。年齢は26歳。

シィゴがこの館に来た理由は館内の設備のメンテナンスの為だ。


「もういや。どうして私がこんな目に。家に帰りたい。」


シィゴからそう離れていない場所にある椅子に座って嘆いている神経質そうな女性はファルナ。年齢は25歳。

ファルナがこの館に来た理由は失恋の痛みを癒す為の傷心旅行。


「皆さん。犯人は必ず私が捕まえます。しかしその為には皆さんの協力が不可欠です。不安なのは重々承知の上ですが、どうかご協力をお願いします。」


孤島に取り残される事になってしまった6名。

殺人鬼がいるかもしれない。1人殺されてしまった。すぐには逃げられない。

その事実に何人か怯えていた。


「なぁ。質問。」


その中で比較的に落ち着いている青年、コゴロウが手を挙げる。


「なんでしょうかコゴロウさん。」

「死んだ奴ってあのヘルメット被ってた奴なの?」


コゴロウがベータが持ってるヘルメットに向けて指を指すとニシロは頷く。


「はい。ベータと一緒に来た保安部の者です。名前はファルといいます。」

「ふーん。」

「…まさかあのファルが死ぬなんて。」


シィゴがこぼした言葉にコゴロウは反応する。


「あのって、知り合い?」

「直接は会った事無いけど、保安部では、その、変人としと有名なんだ。」

「へー。」

「…探偵さん。我々はこれからどうすれば。」


ニシロとコゴロウによって保安部の1人が死んだ事を知ってしまい内心怯えてはいるが年長者として落ち着こうと心がけているコゴコはニシロに指示を仰ごうとする。


「まず、私達は現場検証をします。その間皆さんはここで待っていてください。絶対に1人で行動しないでくださいね。殺人鬼がどこかに潜んでいるでしょうから。」


ニシロの発言に反対する者は1人もいない。


「行こうベータ。」

「うん!」


こうして名探偵と呼ばれているニシロとベータの捜査活動が始まった。



◆◇◆◇◆



事件現場にやって来たニシロとベータは石像の下敷きになっている血溜まりと塊を改めて確認する。


「…ファル。」


顔を俯かせヘルメットを抱え直すベータ。

一方ニシロは悲惨な事件を多く見たせいで慣れてしまっているのか落ち着いて観察をしている。


「…むぅ。ベータ。この石像、退かす事は出来ますか?」

「えっと。」


ベータは目を泳がせ首を横に振る。


「ごめん。おれ人間と同じくらいの力しかないんだ。」

「分かりました。無理を言ってすみません。」


石像の下にあるファルの死体と思われるもの。はっきりとしていないのは石像に潰されていないのははみ出している手足の先だけ。石像をどかせない以上これがファルの死体と断言出来ない。


「ベータ。本当にファルは石像に潰されたんですね?」


だからニシロはベータに確認を取る事にした。


「うん。」

「どうしてそう思ったんですか?」

「…えっと。近くにヘルメットがあったし。白衣を着てるのはファルだけだし、つけてるウォッチもファルのだから。」


ベータの言う通り、石像の下から見える腕の袖は白く、手首の辺りには腕時計型のウォッチが装着されている。


「ならこの遺体はファルで間違い無いんですね。」

「うん。」


疑う理由は無い。少なくとも、今は。


そう考えたニシロは次の質問に移った。


「生きているファルと最後に会ったのはいつ頃ですか?」

「お昼前かな。船酔いで気持ち悪いからお昼ご飯まで寝てるって言って自分の部屋に入ったんだ。おれが部屋までおぶって行ったから間違いないよ。」

「…もしかして、あの時の騒動は犯人が?」


ニシロの言うあの時の騒動とはニシロが食堂で昼食を摂っていた時の事だった。

館の外で大量の花火が打ち上がったのだ。

窓の外から見える色鮮やかな火花を見て慌てて駆け抜けたニシロは花火に気がついた他の者達と一緒に館に火がつかないよう飛び散る火花に苦戦しながらもどうにか消火に努めた。

いったい誰のイタズラだとその時のニシロは思っていたが、あれが犯人の工作であると考えれば納得出来る。


花火の消化を終え後始末をした後庭へと向かったベータの悲鳴を聞きつけたニシロが慌てて声が聞こえた庭の方へと走り、着いた時に見たのがファルのヘルメットを抱えて座り込むベータと石像に潰されたファルのと思われる死体だった。


「仮説を立てるとすると、ファルは部屋で休んでいる時に誰かに呼び出され、庭にやって来たファルを殺害したという事になりますね。誰にも目撃されないよう花火で騒動を起こしたとするとこれは計画的な犯行です。」

「いったい誰が?!」

「分かりません。しかし、これだけははっきりとしています。」


ニシロの真剣な表情を間近で見たベータは緊張感を強く感じた。


「この島は客が静かな休日を楽しめる為にという理由で人を少なくする為に完全予約制。従業員はアンドロイドのみ。今、この孤島にいるのは私と君、そして他の客の4名のみ。」


そこで言葉を一旦区切り、ニシロはベータと視線を合わせた。


「つまりファルを殺した犯人はあの4人の中にいます。」


推理作品に出てくるような台詞がニシロの口から出る。

その言葉に対してベータは何も言わず、緊張感を誤魔化すようにただファルのヘルメットを抱える腕に力を込めた。


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