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玩具の中の隠し事。5

結論から書けば今回の事件は犯罪組織と違法捜索部とダンシ区の者達が手を組んで起こしたものだ。


まず違法捜索部の者達と犯罪組織は互いの利益の為に手を組んでいた。しかし時間が経つにつれて関係は悪化していきある日違法捜索部の方から手を切って犯罪組織の者達を裏切った。

その時のどさくさに紛れて犯罪組織の者達が保有していた薬物を横取りした。そしてほとぼりが冷めるまでどこかに隠す事になり、目をつけたのがダンシ区だ。

違法捜索部の者達は今度はダンシ区に住んでいる協力者と手を組んで違法薬物を隠す事になった。その為に違法捜索部の者達は犯罪組織の者達がダンシ区に違法薬物を隠しているという嘘の情報を流し、捜査という形で向かい薬物を協力者達に渡した。


そこまでは上手くいったのだが、ここで問題が発生した。


何も知らない違法捜索部の1人の発言によりそれを直接聞いた者達から始まってダンシ区に住んでいるほとんどの者達の怒りを買ってしまった。その結果暴動が起き、それが収まった後でも市民達が保安部に向ける怒りは収まらない。

これによって保安部職員である違法捜索部の者達はダンシ区ではかなり動きが制限されてしまった。

しかし高値で売れる薬物を諦める気は無かった。

そこで当初の計画から大幅に変更して違法薬物をダンシ区の外に運び出す事になった。

その計画に利用されたのが人形展。

ダンシ区の協力者達は作品である巨大なフィギュアやぬいぐるみなどに詰め物として偽装した違法薬物を仕込んだ。そして人形展が終わった後、スタッフの格好をして夜中に運び出して薬を回収しようとした。


その矢先にファルに気づかれて見つかってしまった。


『パンパカパカ〜パァン☆ ファルは白い粉を見つけた☆』


静まり返る場でファルの軽快な機械声が響く。


『これ何かな? これ何かな?』


頭を左右に揺らして考え込む表情を映すファル。そしてすぐに光る電球の絵を表示させて両手を叩く。


『あっ☆ 分かった☆ これって危ないお薬だ☆ そういえば2年前にダンシ区(ここ)に違法薬物があるって事件があったっけ☆』


わざとらしくファルは1人で喋り続ける。


『でも見つからなかったんだよね☆ 違法捜索部のヒト達がダンシ区のヒト達を敵にしてまで探したのに☆ なのにここで見つかるなんておっかし〜な〜☆』

「いや、これは。薬ではなく詰め物で。決して怪しい物ではなくて。」


隠していた物が見つかった事で誰かが狼狽ししどろもどろに言葉を吐くが、ファルは気にも留めずに話を続ける。


『え〜本当かなぁ? 怪しいから保安部のヒト達に通報するね☆』


そう言ってウォッチを操作しようとした時、誰かが銃をファルに向けた。


「動くな!」


その声に従ってファルは動きを止めた。

銃を取り出した事で辺りはさらに緊張感が増す。


「ちくしょう。ファルに嗅ぎつけられるなんて。」

「お、おい! 殺す気か?!」

「殺せねぇよ! そんな事をしたら俺達は終わりだ!」


事態が深刻さを増した事でファル以外が顔を青ざめている。


『震えてるよイッシクン☆ どうしたの? 寒いのかな?』

「黙れ!」

『違法捜索部のお給料、そんなに低かった? 危ないお薬は高く売れるもんね☆』

「黙れよ! ちくしょう。ちくしょう!」


正体がバレている。

ファルに銃を突きつけている男、イッシは違法捜索部に所属している保安部職員だ。

ファル以外の全員が正体を隠す為に人形展のスタッフが着ていた服装をしているのだが、ファルにはまるで効果が無い。


「お、おとなしくしろ。殺せなくても怪我はしたく」


イッシがファルを脅そうとした時、ファルは早足でイッシとの距離を詰めて銃を触れて握り、自分の胸元に銃口を当てる。


「な!」

『へいへ〜い☆ イッシクンビビってるぅ〜?』


ヘルメットの液晶画面には笑顔を表示させて至近距離で銃を突きつけられている状態でイッシを煽るファル。

それに対してイッシはただ戸惑うばかりだ。

周囲の者達もどうすればいいのか分からず動けずにいた。


『このボクを脅すならこのくらいはしないと☆』


この状況でもファルは笑顔を映したまま。手を銃から離さない。


「えっあ。」

『構えたからには撃ちなよ☆ ほら早く☆』

「う。」


この状況下でイッシを急かすファルに恐怖を感じたイッシは引き金にかかる指の力を強めた。


「うわぁぁぁぁ!」


目を閉じてイッシは引き金を引いた。

いや。

正確には引こうとした。


「…あれ?」


引き金が動かない。何度も引こうとしたが何も変わらない。


『ぷぶ☆ ひっかかってやんの〜☆』


大きな口を開けて笑う顔を表示させたファルは銃に向けて指をさした。


『さっき触った時に安全装置をかけたの☆ 死ぬと分かってて撃たせるわけないじゃ〜ん☆ ぷ〜くすくす☆』


イッシを馬鹿にしたようにわざとらしい笑い声をだすファルに対してイッシの中で怒りが膨れ上がる。


「こ、の野郎!」


今度こそファルを撃とうと安全装置を外そうとしたが、それよりも早くファルが動いた。


『えい☆』


再びチェーンソーを稼働させたファルは躊躇なくそれをイッシに向けて投げ飛ばした。

慌てて避けたイッシはファルに向けて怒号を上げる。


「何するんだ危ないだろが!」


しかしファルはこれ以上イッシの話を聞く耳を持つ気は無い。ウォッチを操作している。


その直後、会場内全ての明かりがついた。


「うっ!」


突然ついた明かりによって動きが止まるイッシ達。暗視ゴーグルをつけている状態では周囲をまともに見れない。すると何かしらの大きな音がこちらに近づいてきた。ファルがまた何かをしたのかと思ったイッシはこのままではまずいと暗視ゴーグルを外した。

そうして見たものはファルからの合図で突入しイッシ達を捕らえようと向かってくる保安部職員達だ。

イッシ達は逃げる間も無く次々と捕まっていく。


『お〜☆ 早い早い☆』


ファルは少し離れた所でイッシ達が捕まっていく様子を眺めていた。


『お☆』


その時にベータが誰かを捕まえている姿を見つけた。喧騒の中心から少し離れていた為ファルはベータに近寄る。


『ベータクンは誰を捕まえたのかな?』


そう言ってベータが捕まえたヒトの顔を見る。


『ニハクンじゃないか☆』


知った顔だった。

先日ベータと会ったニハだった。ニハも今回の違法薬物事件の犯人の1人だった。


「…ニハ。なんでこんな事を。」


ニハを捕まえたベータは信じられないといった表情を浮かべている。


「シチシ達と作った大切な物を利用してまでなんでこんな事をしたんだよ。」

「はあ? あんな物どうでもいいだろ!」


もがくニハが出した言葉にベータは驚く。

今だにビービと名乗っていたベータの事に気が付かないままニハはもがき続ける。


「どうでもって、友達と作った大切な」

「どれだけ苦労して長い時間掛けて作っても大した額にならない物よりも高値で売れる薬の方がいいに決まってるだろ!」


シチシ達の努力を全否定する言葉にベータは言葉を失う。


『ベータクン☆ ゆるめちゃダメだよ☆』


ファルに言われなければベータは危うくニハを逃してしまうところだった。慌ててベータはニハを拘束する。

ニハが逃げられないようにしたのを確認した後、ファルは周囲を見回す。保安部職員が次々と犯人達を捕まえていく様子と暴れた影響で作品が落ちて壊れていくのが見えた。


『あ〜あ☆ 後始末大変だなこれ☆』


困り顔を表示したファルはそう呟いた。

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