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3.

 何も見えない。

 何も聞こえない。

 

 あぁ、またこれか……。

 私はまた、死んだのね……。


 いったい、どうして?

 どうしてメイソンは、私を殺そうとするの?

 私たちは、愛し合っていたのではないの?

 甘い言葉でハートを射抜かれ、彼と婚約した。

 それがまさか、銃弾でハートを射抜かれることになるなんて、誰が想像できるだろう。


 あんな斬新な婚約破棄は初めてである。

 彼の裏切りは、到底許せるものではない。

 どうして、銃で私を撃ったの?

 せめて理由くらい教えてよ。

 何も言わないで撃つなんて、ひどすぎるわ……。


 ……いや、何も言っていないことはないか。

 彼は、私に言葉をかけていた。

 そう、ちょうど、やり直しがスタートした地点で、彼は私に言葉をかけてきた。

 えっと、何だったかしら……。


 確か、「悪いのは君だ。こんなことになったのは、全部君のせいだよ。僕が彼女を救うには、こうするしかないんだ!」というセリフだったはず。

 二回も聞いたので、間違いはない。


 え、私のせい?

 悪いのは、私?

 いったい、どういう神経をしているのよ!

 人に銃をぶっ放す方が、絶対に悪いに決まっているじゃない!


 腹が立ってきた。

 あの状況で、よく人のせいにできるわね。

 どう考えても悪いのはメイソン、あなたでしょう!?

 なかなか腹の虫がおさまらない。

 怒りに任せて、近くにある物に当たりたい気分だった。

 しかし、近くに物はないし、そもそも今の私には体がない。

 意識だけの存在なのだ。


 そろそろ、三回目の人生が始まる頃かしら。

 前回はどれくらいこの意識だけの状態だったのか覚えていないけれど、そろそろやり直しがスタートするはずだ。


 ……あれ?

 本当にやり直しできるのよね?

 無意識のうちにまた人生をやり直せるとか思っていたけれど、よく考えたらそれを保証するものはどこにもない。


 心臓を刺されよ!

 とかいってメイソンに特攻をしたけれど、あれはあくまでも、また人生をやり直せるからという前提があってのことだ。

 これで終わりなら、私はまさに無駄死にである。

 前の周回での情報を次の周回に活かすことも、メイソンに制裁を加えることもできない。


 そんなことは死んでも御免だった。

 いや、もう死んでいるのだけれど。

 とにかく、私は裏切り者のメイソンを許すことはできない。

 このままでは、絶対に終われない。

 わけもわからないまま死ぬなんて、絶対に嫌だった。


 そんな私の願いが神様に通じたのか、もう一度人生をやり直すことになった。

 そして私はその人生で、新たな事実を知ることになるのだった……。

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