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思春期の僕。

作者: 無名、

綺麗なものに触れても、

涙が出なくなった。


ついこの間までは泣けていたのに。


自分の今の状況とリンクしている歌を聴いて、

ああ今の僕と似てると思った時、

ひとりじゃない気がして

僕は大丈夫なのかもしれない、そう思うと

涙が出ていた。




子供が亡くなるニュースを見て。


この間までは

そんなに深く考えた事は無かった。

でも今は

すごく深く考えている。

この子の周りの大人たちが

この子を救う事ができなかった理由を。

この子が悩みをひとりで抱えていた理由は

多分、自分の悩みに値する大人がいなかったから、

なのかなと思う。

この人に話したら、

良い事を言ってくれそう。

この人に話したら、

こんな事を言われそう。言われたら心が擦り減るな。

この人に話したら、

こんな事を言いそう。なんの役にも立たないな。


僕は子供関連のニュースを見て、

涙が出た。

心が苦しかった。辛かった。

将来、僕が大人になったら、

子供たちがひとりでも多く

大人になってほしい。

今の僕みたいな子がひとりでも

明るく、幸せに未来を考えられるように。


今僕は沢山悩みがある。

進路のこと。

親のこと。

学校のこと。

外見のこと。

中身のこと。

友達のこと。

本当に沢山。

僕は未来のことを明るく考えられない。

今のままだったら

これから先ろくなことないだろうな、

と思う。

今頑張れば未来の自分に余裕ができて、

幸せに過ごせる事くらいとっくに分かっている。

でも今の僕は頑張れない。

頑張る事が辛い。

誰かに無神経な事を言われても

言い返す事はできないし、

僕の事を全面的に否定されても

全部受け止めてしまうだろう。

本当はこうなのにな、

ずっとそう心の中で思って

口に出す事は無いと思う。


僕の事を何一つ分かってないのに、

分かった気になって

勝手に将来の話をされるのは気持ちが悪い。

これからの進路を決めるのは僕だし、

天と地がひっくり返ろうとも

僕の人生を誰かが決める事は絶対に出来ない。

君のしたい事じゃ無いけどこっちの方が楽だよ、

そう言われても僕は

したい事が出来るなら苦しんでもいい、

そう思うだろう。




美化されていく思い出。


思い出の中でお父さんは美化された。

僕から見たお父さんは

世界でたったひとりの大好きな人だった。

僕が小学校高学年の時、

何故か僕はお父さんは僕達のことを嫌いになったのか、

そうお母さんに聞いた。

お母さんはそれは絶対に無い、

そう言った。

14歳の時、

お母さんはお父さんの事を話してくれた。

それからお父さんの印象が

僕の中で最悪になった。


お父さんは大きくなった僕達に

一度も会いに来なかった。

いつの間にか居なくなっていたお父さんに

僕達が会う事は死ぬまで無いのだろうか。

でももう

お父さんの顔なんて思い出せなくなった。




新しい環境についていけない心。


お母さんはちゃんと僕達に紹介しなかった。

察してほしい、

そんな感じだった。

最初はただのお母さんの友達だと思っていたけど、

どんどんああ、この人が、

そう思うようになった。

お母さんの思い通り、

僕達は察した。

パパなんていらない、

そう僕が泣き叫んだ時お母さんは

あれ、嘘だよね、

後日そう聞いてきた。

うん、嘘だよ、

僕はそう言うしか無かった。

この人と僕達が育ってきた環境は

真逆だった。

僕がその人に慣れる事は

多分、これから先一生無いだろう。

あの人のせいで

僕がどれだけ苦しめられたか、

お母さんには分からないだろう。

僕達があの人の事が嫌いなのは

お母さんは分かっている。

なのに自分の幸せが一番だからか、

別れない。

僕達があの人と合わない事、

合わないから苦しい事、

辛い事、全部知っているのに

何もしない。

ましてやあの人の味方になった。


僕は中学一年生の後半、

部活に行けなくなった。

友達関係が悪くなって、

心が悲鳴を上げた。

担任の先生は

少し休んでまた行けるようになったら

行きな、

そう言ってくれた。

長期間僕は休みをもらった。

その時にあの人は

早く辞めるなら辞めるで話をしてこい、

そう言ってきた。

僕は

ああ早く言いに行かないとな、

そう思った。

中学二年生の前半、

僕はもうひとり同じ部活で

退部したいと言っていた子と

先生に話をしに行った。

僕は泣きながら部活を辞めたい、そう言った。

僕からしたら

すごく勇気のいる事で

心臓が張り裂けそうになった。

その事を知らないあの人は

散々早く言いに行けと言っていたのに

部活を辞めた途端、

お前は逃げた、

そう言った。


僕は自分が逃げたとは思っていなかった。

ちゃんと先生と話をした。

なのに逃げた、

そう言われた。

僕はその言葉がトラウマになった。

母は何も知らないくせに

知ったような顔をして

逃げたと言ってくるあの人の味方をした。

逃げたと思われてもしょうがない、

そう言った。

僕がどれだけ苦しんで悩んで

沢山の勇気を出して決めた決断を

間違っている、そう言われたと同然だと思った。

母親だったら

頑張ったねお疲れ様、

の一言でも言ってくれるんじゃないかと

思っていた自分が馬鹿馬鹿しく思えた。

この人はどれだけ間違っていても

好きな人の味方をする人なのか。


中学二年生の後半に差し掛かった時、

僕はなんであの時逃げたと言われても

しょうがないと言ったのか、

そう聞いた。

お母さんは

世間からしたら逃げたと思われる、

そう言った。

何故お母さんは

母親という立場からではなく、

世間からの立場で言ってくるのか

意味が分からなかった。

これから先、どんなに大きな悩みを抱えても

僕はお母さんやあの人に相談する事は

絶対に無いだろう。


今、僕は

心がしんどい。

疲れている。

たまに帰ってくるあの人からの

何気ない言葉が

心を抉り、

たまにある

夜の不快な感情、

将来の夢に対する不安、

沢山のものが僕の心を重く、脆くしていく。

そんな僕を支えてくれる人は

これから先現れるのか。

今抱えている悩みを

全部打ち明けられるくらいの人は

これから先現れるのか。


思春期の恥ずかしい僕は

1mmにも満たない

微かな希望に全部を賭けて

今を生きている。

読んでいただき有難う御座います。

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