4話 第2職業
4話投下
ギルド登録とランクについての説明が終わり、ギルドカードを受けとった俺とハルはメリッサさんから依頼の説明を受けるのだった。
「ブロンズランクで受けれるサブ職業は数が多くて、すぐには見つからないと思いますが、とりあえず今ギルドにあるサブ職業はこちらになります」
メリッサさんから渡されたのは数十枚ある依頼者の束だった…
「えーとこの中から、探すのはなかなか大変じゃないですか?」
ハルは依頼書の束を見て若干引いてらように感じる。
そして、膝の上で寝ているシルバーは我関せずを保っていてなんとも言えなくなる。
「まぁーすぐに見つかると思ってませんし、
街中でしか取れない貴重な職業があるので一概にギルドで受けなくても良いのですが」
メリッサさん曰く、サブ職業とは第2戦闘職を取る人も居れば、生産職を取る人も居るので、その数は多岐にわたるそうだ。
「因みに第2職業を生産職にした人には冒険者ギルドとは違う生産ギルドってギルドに登録する事になります。
生産ギルドについてはそのギルドで聞いて下さい」
へー第2職業を生産職にした人は生産ギルドに登録する様になるのか。
もしかして、生産プレイヤーなんかはもう生産ギルドに登録してるかもな?
「因みにテイマーは戦闘をしないで生産職になる人が多いいですね」
メリッサさんは俺とハルの職業がテイマーだと知っているので、テイマーのサブ職業の一例を教えてくれた。
ハルは依頼書の中から1枚の依頼書を出して
「私はこの依頼を受けようと思います」
ハルが出した依頼書は料理人募集だった。
「ハルさんは、料理人になるの?」
ハルがはにかみながら
「うん。私の獣魔達のご飯が作れたらなって思ってこの職にしようと思うの」
あー
なるほどな。
獣魔が居るから、そのお世話に使えそうな職を選ぶのか。
「なるほど。考えたね。
俺はどうしよっかな?」
依頼書を見てみてもこれといったものがなくて正直第2職を選ぶのを戸惑ってしまう。
悩んでる俺にメリッサさんが
「悩むようでしたら、レン様は街を歩いて探してみても良いかもしれませんね」
確かにこの中から選ぶのは大変だし、街を見て回ってみるのも悪くないかも。
「そうですね。一旦街をぶらついてみようと思います」
メリッサさんの提案を受けて街の探索をする事に決めた。
ハルとギルドを一緒に出てこれからの事を考えてるとハルから
「レンさん、良かったらフレンド交換しませんか?」
と提案して来たからその提案を受ける。
「そうだね。せっかくここまで仲良くなれたからフレンド登録しよっか」
「やった♪」
ハルが嬉しそうな顔でフレンド申請してくるのを眺めていたらハルの顔がだんだん赤くなってきて
「えーと、レンさん?」
上目遣いで尋ねてくるハルが可愛い過ぎて辛い…
俺は出来るだけ普段と同じような顔を作りながら
「登録出来たよ。ハルさんはすぐ依頼人の所に行くの?」
「そうですね。まだ時間があるのでこれから向かおうと思います。レンさんはどうしますか?」
「俺は街の散策しよーかなって思ってるよ」
俺がこれからの事を説明するとハルさんはちょっと寂しそうな顔で
「わかりました。じゃあ、また一緒に色々な所に行ったり、冒険して欲しいです」
ちょっとハルさんが可愛過ぎませんかね?
まぁーでもハルさんと居るのは楽しかったし、フレンド登録したからいつでも連絡取れるかな。
「そうですね。連絡くれたら、返事返しますのでまた一緒に行動しよう」
ハルさんは照れながら
「ありがと。約束だよ。
それじゃ、私は行くね。またね、バイバイ」
ハルさんの姿が見えなくなるまで手を振り、見えなくなってから肩に乗ってるシルバーを撫でながら声をかける。
「さてシルバー、俺たちもぶらぶら散歩しながら、第2職業の情報でも集めよっか」
「コン」
シルバーが俺の頬を舐めながら頷くのを確認して、歩き出す。
まずは噴水広場に向かってみよーかな。
あそこは屋台や店舗が集まってるし、この街の中央になるから面白い情報があるかも?
「良い職があると良いんだけどな?」
「コーン」
俺の言葉に返事を返すシルバーが可愛くてついつい撫でてしまう。
シルバーを撫でながら歩いているとあっという間に噴水広場に到着した。
「さて、広場に来たけど変わった事無いかな?」
未だに広場にはプレイヤーが多く居て賑わっている。
広場のちょっと外れの方に目を向けると変わった建物を見つける。
「シルバー、あのお店に行ってみようと思うんだけどどうかな?」
「コン?」
シルバーは首を掲げながら返事をして、変わったお店を見る。
好奇心を抑えきれずにその店の中に入ると棚に魔道具や、ポーションが置いてある。
「こんばんわ」
カウンターには誰も座ってなかったので声を出してみたら奥の部屋からお婆さんが出てきた。
「いらっしゃい。此処は錬金屋だよ」
「錬金屋?」
「そう、錬金屋だよ。薬草なんかを錬金術でポーションにしたり、武器防具にスキルを刻んだりする錬金術を生業としてるのさ」
へーポーション作ったり、錬金術でスキルを付与するのか。
面白そうだな。
「俺は冒険者のレンです。こっちが相棒のシルバーです。
良かったら俺に錬金術を教えてくれませんか?」
「ほー、お主は錬金術に興味があるのかい?」
「はい。冒険の役に立ちそうなポーションや、武具にスキルを付与するなんて面白そうだと思います」
「そうかいそうかい。私はこの店の店主さ。
錬金術はあんまり人気が無いのか、最近では新しい子が入って来なくて困って居たのさ」
そうなんだ。
錬金術って言ったら結構ロマン溢れる術だと思うんだけど、人気が無いのか。
「そうなんですか?俺は面白いと思いますけどね」
俺の言葉に機嫌を良くしたお婆さんは笑いながら
「錬金術を教えるのは良いけどまずはポーションを作って貰うよ」
ポーション作りは入門試験かな?
「初めてポーションを作るのでお手本を見せてもらえれませんか?」
「お手本かい?」
「まず薬草をすり潰し、すり潰した薬草をビーカーに溜めた綺麗な水に入れて、魔力を流しながらかき混ぜる。
1分位混ぜたら水が薄青色に光ってきたら混ぜてる手を止めて専用の瓶に移し替えればポーションの出来上がりだよ」
お婆さんは流れるように作業していたけど、魔力を流すってなんだ?
困惑している俺にお婆さんは
「ポーションはこんな風に作るんだよ。
さぁー、やってみな」
「すみません。魔力を流すのをどうやったら良いですか?」
お婆さんは思案したような顔をしながら、
「魔力を流す方法は、魔力操作で出来るんだけど、
その様子だと持って無いんだね」
「えーと、持ってませんね」
てか、スキル自体まだ1個しか持ってないよ!
「そうだね。魔力と言うのは血管と同じで、へそら辺から体全体に流れているんだけど分かるかい?」
お婆さんが言った通りにおへそら辺に暖かい塊があるのが分かる。
「はい。なんとなくですが暖かい塊があるのがわかります」
俺の回答に満足したのか、お婆さんは
「その塊を手に集中させるように集めて水に浸透させるように放出すればいいのさ」
なるほど、こんな感じかな?
俺はおばあさんがやっていたように、薬草をすり潰し、水に付けて魔力を流しながらかき混ぜていくと、水が薄青色に光ってくる。それを専用のビーカーに移していくとログにポーション作成成功と出てくる。
「よし。ポーション上手く出来た」
上手くポーションが出来てテンションが上がって来たらいきなりワールドアナウンスが聞こえてきてビックリする。
《シークレットクエスト錬金術を取得せよをクリアした人がいます。これにより、ギルドにて第2職業に錬金術師が追加されます》
そしてワールドアナウンスの後にログが流れる。
『シークレットクエスト錬金術を取得せよをクリアした事によってスキル〔魔力操作〕を取得、〔錬金術〕を取得、称号〔始まりの錬金術師〕を取得しました。第2職業に錬金術師を設定出来ます。』
っておい!
これってシークレットクエストだったの??
てか、ギルドに錬金術師の依頼書がなかったんかい!
「お主、初めてにしては上手いじゃないか。
ちゃんとポーションが出来てるね」
俺が戸惑っているとお婆さんは俺が作ったポーションを手に取って評価をつけていた。
「あはは…上手く出来たようで錬金術を覚えれました」
唖然としながらそう言うしか出来なかった俺は悪くないと思う。
「そうか、錬金術を覚えたならこれ以上教える事がなくなったね」
えっ??
ちょっと待って!
スキル覚えただけで放り出すなんて酷くない?
「あの…俺まだポーションしか作れないのですが…」
「錬金術は自分の知識と研鑽によって効果を発揮する術だから、私が教えたとしても身につかないから仕方ないのさ。」
「えっ!?」
確かにお婆さんが作ったポーションと俺が作ったポーションでは、HPの回復量が違うけどこれって錬金術のレベルが関係してるのかな?
「それに混ぜる材料によって効果が変化するから、自分で思考錯誤して自分だけのオリジナルレシピを作れるようになりなさい」
「なるほど、自分のオリジナルレシピを作る事ができるんですね。ならこれから試行錯誤して、頑張ってみようとおもいます」
お婆さんにお礼を言って、錬金屋を出て思わずため息が出る。
まさか錬金術師は自分で試行錯誤する職業だったのか…
ちょっと疲れながら考えているとシルバーが頬を舐めてきて、癒される。
まぁー
これで第2職業にも着いたし、ひとまずギルドに行こうかな。
はいっ!
というわけで依頼として受けたわけじゃないけど、第2職業が解放されました。
次回、修羅場?