2話 始まりの街
第2話スタート
扉を開けて潜るとそこには中世ヨーロッパ風の建物が並んでいた。
「おぉーすげぇ」
風が吹き、陽射しが当たって身体が暖かくなる感覚がある。
そこはまさしくゲームの中というより現実味がありここに住んでる人達がちゃんと生きているって感じる。
「それにしても凄い人の数だな?」
始まりの街の噴水広場には今ログインして来た人達で賑わっていた。
広場のベンチに腰をかけて、手に持ってる卵を撫でながら
あっちこっち見てみると、いろんな種族が入り乱れててレンは思わず笑ってしまう。
「ここが『FGO』の世界か。お前も早く産まれて一緒にこの光景見ような」
パキパキ
手に持っていた卵からヒビが入ってきて何が産まれて来るのか楽しみなようで怖い様なさまざまな感情が渦巻く。
「何が産まれて来るんだろう?」
今か今かと手に持っている卵を見つめるレンは周りから少し浮いていたが、それすら気にならずに卵を見つめている。
「コンッ」
卵の上半分が割れて銀色の狐が産まれた。
「おぉー俺の最初の相棒は狐か!」
銀狐という種族で銀色の毛がサラサラしていて気持ちいい。
「お前の名前はシルバー。安直だけどどうかな?」
膝の上の銀狐を撫でながら聞いてみると元気な声で
「コンッ」
と鳴く。
「ふふ。気に入ったか?」
「コン」
早速シルバーのステータスを確認する。
シルバー
種族:銀狐 属性:氷・火
Level:1
HP:220
MP:220
ATK:80
MAT:200
DEF:100
MDF:150
AGI:190
スキル
アイスボール ファイヤーボール
「えっ?俺より強くない?」
因みに俺のステータス
レン
種族:エルフ
職業:テイマー
Level:1
HP:150
MP:220
ATK:120
MAT:180
DEF:100
MDF:110
AGI:100
LUK:150
SP:10
スキル
テイム(1)
称号
大地に降り立つ
こんな感じ。
マジでシルバーの方が強いじゃん!
「シルバーお前強いな…」
唖然としつつシルバーの頭を撫で続ける。
「コーン」
シルバーも気持ち良さそうに目を細めて甘えてきて可愛い。
「さて、ステータスも確認したし、ちょっとお腹空いたから屋台でも回って食べ歩きするか?」
屋台から串焼きのいい匂いが鼻をくすぐってお腹空いてくる。
「コン」
シルバーが先頭を歩き人混みを縫っていい匂いがして来る串焼き屋台まで先導してくれる。
「おじさん、串焼き3本ください」
シルバーは美味しそうな匂いを漂わせる串焼き屋台の前で座って尻尾を振ってる。
「いらっしゃい。にいちゃん、テイマーかい?
変わったモンスター連れてるな」
おじさんが串焼きを焼きながら聞いてくるので
「銀狐っていう種族らしいのですが、もしかしてレアだったりしますか?」
「銀狐かぁー
この辺じゃ見る事ない種族だな」
串焼きにタレを垂らしながら話してくるおじさんに
「へー…この辺って事は何処に生息してるかわかりますか?」
タレが付いた肉が焼かれていて香ばしい匂いが鼻をくすぐってお腹が空いてくるが、情報収集は大事だ。
「そうだなぁ、狐自体がこの国には居ないから俺にも分からん」
そうなんだ…
って事はシルバーってもしかして希少種なんじゃ??
属性も氷って上位属性持ちだし、狐の基本、火属性も持ってるから。
「そうなんですか?はい。お代です。
おじさんはこの国でずっと屋台を?」
串焼きを受け取りながら支払いをしつつ他にも情報が無いか聞いてみる。
「そうだ。俺はこの国生まれのこの国育ちだ」
受け取った串焼きをシルバーに食べさせて、俺も1口食べてみる。
うまっ!
「この串焼き美味しい。
んじゃこの国で何か変わった事とか面白い話ってないですか?」
「そかそか。俺自慢の特製タレを使ってるからな」
がははと笑いながら続きを話してくれるおじさんに耳を傾けて
「そうだなぁー
最近柄の悪い冒険者が増えてきているな」
あぁー
それは多分プレイヤーだ。
やっぱりプレイヤーはここがゲームの中で住人はただのNPCとしか見てないのだろうか?
こんなに受け答えが出来ているのに。
「冒険者ですか?そう言えばギルドに用事があるんですけど、冒険者ギルドって何処にありますか?」
冒険者登録しないと身分証が無いことに気がついて、ついでに場所も聞いてみる。
「にいちゃんも冒険者になるんか?」
「はい。身分証が無いですし、お金も稼がないといけないので冒険者登録しようと思ってます」
「そかそか。ギルドの場所はここからまっすぐ歩いて右手に剣と盾のクロスしてある看板がギルドだよ」
「剣と盾のクロスの看板ですね。
ありがとうございます」
串焼きを食べ終わって下を見てみるとシルバーも食べ終わっていたので、次の目的地に歩き出す。
「シルバー、踏まれたり蹴られたりするからからこっちおいで」
シルバーを肩に乗せて街中の喧騒を見ながら歩いて居ると突然目の前に見知らぬ女性と目が合った。
「っえ?」
「うわっ!!」
なぜかというと、シルバーのモフモフな尻尾を堪能して和んでいて、横の路地から駆け出して来た彼女に反応が遅れてしまったから当然の結果として俺と彼女はぶつかってしまった。
これが、ギャルゲーの街角アタックか?
「痛い…」
そんな呟きが聞こえ、目を向けると彼女は尻餅をついていた。
「コン」
そしてシルバーは俺の肩から降りて彼女の目の前に移動してて首を傾げながら尻尾を振ってる。
「えーと、大丈夫ですか?」
俺は手を出しながら尻餅をついている彼女の安否確認…
「あははは…
ごめんなさい。ぶつかっちゃって」
俺の手を取りながら立ち上がる彼女を改めて見るとめちゃくちゃ可愛い。
種族はエルフで身長は俺より低くて160㎝あるかないか位で、顔立ちは金髪碧眼のゆるふわショートで肩にかかるくらい。
スタイルはスラッとしていていわゆるモデル体型ってやつだ。
全体的な雰囲気がちょっとおっとりしていて周りの空気が和む感じがする。
「怪我が無いようで、安心しました」
「うん。大丈夫です。ありがとうございます。
えーと、プレイヤーさんですか?」
「はい。プレイヤーでテイマーのレンって言います。
そして、この子狐がシルバーです」
「コン」
俺と彼女の周りを回ってるシルバーの紹介をする。
「可愛い…
っと私はプレイヤーでテイマーのハルって言います」
「テイマー?」
彼女の周りには従魔が居ないようだけど?
「あっ、私の従魔はこの子です。
スカイバードのアオです」
「ピィー」
髪の中から小さい青い小鳥が出て来てハルさんの手の上に乗る。
「小さくて可愛いですね」
ハルさんは小鳥が乗ってない方の手でシルバーを撫でながら
「ですよね。可愛いですよね。
もちろん、シルバー君も可愛いですよ」
うん。
可愛い子が可愛い従魔達と戯れてて周りの空気が和むが
「そろそろギルドに向かわないと」
「あっ、レンさんもギルドに向かうんですか?」
ハルさんもギルドに行く途中だったみたい。
「冒険者登録と簡単な依頼が有れば受けるつもりで居ますよ」
ハルさんが遠慮気味に小声で
「えーと、それなら私もご一緒していいですか?
道に迷ってしまって走り回ってたので…」
と恥ずかしそうに言う。
ハルさんは迷子属性持ちだった。
「それなら一緒に行きましょか?
こっちですよ。」
「はいっ!お願いします」
シルバーを抱き抱えながら、目的地の冒険者ギルドに2人並んで歩いてく。
ヒロイン登場♪
金髪碧眼のエルフのハルちゃん!
エルフはペチャパイがスタンダートです。
まぁー
アバターなのでその辺色々変える事が出来るんですが…
次回ギルドで絡まれる