冬・〇〇くんのせいで
同じ学校、同じ学年、同じクラス、私は周りに目を向けなかった。あの初恋までは。
中学3年・冬 受験も近づきクラスの雰囲気は少しピリつくみんながみんな自分のことで誰かに構っている暇はない。息を呑む。何故その時私がこんな行動を取ったのかよくわからない。でもそれが視界をクリアにした。
「必死だな」
ボソッと呟いた言葉に反応したのは隣の席の男の子。
「寒崎、何か言った?」
彼は私の耳にボソッと呟く。息が当たる、むず痒い、顔が近い。体が少しアツイ。私は俯き首を横に振る。
放課後
みんな勉強してる。私なんかバカバカしくなった。ふと隣を見る彼はいない。
「あ、あの隣の席の男の子くんはどこ?」
通路を挟み彼の隣の子に聞いた。キョトンとした顔は、ボクに話しかけるな、そういうふうにも見えた。
「彼なら今さっき走って帰ったよ。こんな時期に何をしているんだか?」
イスを立つ。ガタン、という音がした。でも誰も見向きはしない。
教室から勢いよく飛び出した、彼は階段に座っていた。
3階のオレの教室から女の子が飛び出した。彼女は隣の席の寒崎だ。オレを見つめてる。
「どうしたの?」
「あ、あの、か、い一緒に帰りませんか?」
彼女とは席が隣なだけ、朝学校に行くともういて、帰るときには小難しい顔をして勉強している。
「いいよ、一緒に帰ろうか。」
これから一緒に帰る男の子くんは私の要求に応える。
「あのさ、今日授業中、、、」
「ああ、『必死だな』って言ってたね。」
「やっぱり聞こえてた、、、」
雪が降り積もる下校道、彼は手袋なしに歩いてる。
雪が降り積もる下校道、彼女は俯き歩いてる。
雪が降る長い、長い帰り道3人は手を繋ぐ。前を向く。そして今も歩いてる。
ただの自己満。途中で飽きたただの欲望。