1.私は侵略者
今日も暑いなぁ…。アイス食べたい…。ガ○ガ○君とかス○カバーとかいくらでも生み出せる能力とか欲しいな。
「流々(るる)ー何してんのさー。早く行くよ。購買早く行かないと焼きそばパン売り切れちゃうってば。」
「ん?あぁ。ごめんごめん。」
「もー。何回呼んでも窓の外をじーーーーーっと眺めてんだから。何してたの?」
「んー。……考え事…。」
「考え事ねぇ。本当にあんたは集中すると気づくまでが人並みじゃ無いよね。」
「ふっ。だろう?」
「自慢できることじゃ無いよー。」
まあ。人並みっていうか…。私、人じゃ無いんだよなぁ……。厳密にいうとこの星にとっては、
地球侵略者
なんだよ。
「ほらっ!理恵も待ってるよ!行こ行こ!」
「うん。」
私は、地球侵略者だ。今から18年前にこの地球上に卵の状態で落とされ、生まれた。後から調べると、私の"本当の故郷"はカタリウス星だということがわかった。
地球より文化が進んでいて、豊かな星。ただ、豊かであるが故に刺激がなくもっと欲しいという欲まで生まれいよいよその気持ちは星にとどいたらしい。なんともバカな話だなぁ、と思うが仕方ない。
私は生まれる前からこの星を侵略するという意識が埋め込まれていた。
ただ、いつのまにか地球の居心地が良くなり侵略するという気持ちはだんだん薄れていた。
そして、今に至る。
私は、人付き合いも上手くでき、加奈と、理恵という友達も作った。私を含めるこの3人はいわゆる"いつメン"らしい。
まあ、ハブられない限りいいな。
「ねえ!まーた考え事?本当にボーーっとしてるね。」
「うん。ちょっと寝不足気味で。」
ふんわりとした会話でその言葉をするりとかわす。
その日は、つまらない授業で始まり、つまらない授業で終わった。
「かーえろっ。」
「うん。でもちょっと待って。先生に提出するから。これ。」
「ん。わかった。教室で待ってる。」
ざ・エロおやじの担任、中田に提出物を出して教室に向かった。
「お。きたきた。さ、帰ろっかー。」
「うん。」
今日の夕焼けは綺麗だ。普段は汚いと思うゴミ捨て場も夕焼けだとそこにぴったりとハマるパズルピースのようになる。
「ねー。いつかあんたの家行かせてもらうからね!」
「うーん。気が向いたらね。」
「あんた一生気向かわないでしょ。お、もう交差点か。バイバーイ。」
「分かんない。じゃあねー。」
家なんてない。宇宙船に住んでいるのだから。
山に入るとコオロギのリリリーという鳴き声がより一層強くなっていた。
明日も暑そうだ。私は沈んで行く夕日にさようならと言って宇宙船に入った。