魔族、容姿に苦悩する
初投稿になります
間違いだらけでしたらすいません
「ルキ・ラーバス」
名を呼ばれ少し緊張しながらも
しっかりと名を呼んだ女性へ意識を向け
次の言葉を待った。
「冒険者学舎での全ての訓練項目を達成されましたので本日で卒業とする」
そう言い終えると女性は真剣な表情を緩めた。
「貴方が学舎を卒業なんて寂しくなるわ、改めて卒業おめでとう。」
そう言って卒業の証である冒険者カードを手渡して来た。
「ありがとうございます、ナーサリッサ先生。」
一礼し冒険者カードを受け取った。
しかし先生は渡した後笑顔から一転厳しい表情となっていた。
「でも心配だわこんなに可憐な子が冒険者就にならなんて。先日も話したけど考え直さないかしら私の補佐としてこの学舎に残らない?」
確かに冒険者は死が特に身近な職業であるが冒険者でなければならない冒険者になる必要があるのだ。
すでに覚悟はできている。
「そのお誘いは前にもお断わりしますとお返事したじゃないですか。それに冒険者になって強くなることを目指していんですから。」
強くなるとは言ったもののまだ具体的な事は何も考えていない。
強さで言えば目標に出来そうな人物に心当たりはある。
「残念、本当に残念だわ。ルキさんを独り占めできるカワイイ成分を毎日補給できる職場になるならこんなむさ苦しい職場で働いてる甲斐があったと思ったのですが。」
むさ苦しいって
確かに冒険者は男の人が多いが先生のように女性の冒険者もたまに見かける。
そう考えると先生はなぜ冒険者になったんだろう?
って先生は冒険者ではないのか⁇
そんなことより
また始まった...
「独り占めってなんなんですか!もう、変な事言わないでください!」
「カワイイは正義なのよ‼︎特にこの職場では生徒も同僚も上司も男の人男の人男の人なのよ‼︎」
先生はたまに暴走してしまうことがある。
本人が言うように先生は学舎で唯一の女性職員である。しかしこんな事を力説されてもどうしようもない。
「可憐でも、可愛くもないです‼︎」
それに、先生は男の人ばかりの職場で不満を言っている。
であれば何も職場の環境は変わる事はない。
なぜなら
「ボクだって男ですよ‼︎」
そうだボクは男なのだ。
みんなにどう言われようが見られようが男なのだ。
よく少女に間違われるが男である。
間違えられる一番の原因はやはり容姿なのだろう。
中性的な顔だが女性よりで、
髪は透き通るように真っ白で男性にしては少し長め、
肌に関してはいつも日差しの下で冒険者になるための訓練を受けて来たにもかかわらず日焼けもせずに白く美しい、
身長も男性にしては少し低め、
体型は華奢でとても冒険者とは思えない容姿だと言われている。
小さい頃は気にもしなかった。
しかし、他の男の子は時が経つにつれ体つきも男らしくなっていくが
ボクはあまり変わる事なく身長が伸びた程度である。
流石に女性的な部分が成長しなかった事には安堵した。
ボクの今一番の悩みの種である。
先生もボクも熱くなって言い合いになりそうになった時だった。
「おい、そこまでにしてやれよリッサ先生。コイツがどれくらい気にしてるのかぐらい把握してるだろ。」
「んな!なんで学長が此処にいるんですか!」
「サターク学長!」
いつの間に横に現れたのだろう全然気配すら感じらことができなかった。
流石は元名だたる冒険者である。
そんな学長は魔物による負傷で冒険者を引退したが、
まだ若く、色々な経験を積んできたことを見込まれ学舎で働く事になったそうだ。
「そりゃあ大声で、カワイイは正義なのよー、なんて叫ばれたらな、
なんとなく状況は予想できていたがけじめとして注意をな、あとルキ坊の卒業を祝いにな」
流石ですバロサターク学長!
分かってもらえますかこの気持ちボクがどれだけ悩んでいるのか!
先生の暴走を止めに来てくれたのですね。
「私そんなキモい言い方してませんよ?まさか!今真似したのですかキモいです学長。」
学長にキモいだなんて失礼ですよ!
確かにちょっとほんのちょっとだけだよ気持ち悪かった。
「キモい?そんな人聞きの悪い言い方をすんなよ。って、こんなやりとりしちゃ話が進まんな。ルキ坊おめでとさんお前ならなんとかやっていけるだろうがくれぐれも
男には
気をつけな。」
あんたもか結局ボクの扱い先生と何も変わってないじゃないですか。
全然理解してないじゃないか!
ボクに理解者はいないんだ!
「強くなって絶対に強くなって見返してやるんですから‼︎」
先生も学長もそんなボクを見ながら微笑んでいた。
「その意気だ諦めるんじゃねーぞ。」
そう言って頭をワシャワシャして来た。