拠点
ギルドに商人登録をした翌日、早速私はカルロスとセバスとマリアを伴って、今後の活動拠点を探し始めた。
「お嬢様、何かお気に召した物件は御座いましたか?」
「ん~...」
ただ、活動拠点となる物件で満足いく物件がなく、狭すぎるのに家賃がバカ高かったり、大きすぎたりと中々、ちょうどよい物件が見つからなかった。
因みに、最初は人材派遣を行う商売をしようと考えており、元リバーサイド侯爵家の使用人達の特技を活かした活動を考えている。さらに、客層を豪商や貴族に絞ったことによって、顔も広められるという打算もあったりする。
セバスは見習いということもあり、派遣には出向かず、私の代わりに営業であちこち回ってくれる予定である。
なので、拠点としては、程々の家賃で、事務処理ができる程度の部屋と会議室がある物件で良いのだが、その条件に合う建物が中々、見つからない。ほとんどの物件が商品を売ること前提で作られているため、前世であったオフィスのような物件が無いのである。
「こうなったら、何処かに仮の拠点を置いて、1から建物を作った方が早いかもしれませんね。」
「ですがお嬢様、それでしたらお金が掛かりすぎでは?」
「延々と家賃を払うよりは将来的には得なのです。あと、好きなように作れて便利ですし。」
色々話し合った結果、仮拠点を設けて、人材派遣を行い顔を広めつつ、専用のオフィスが完成するのを待つという方針に決まり、仮拠点として元々宿屋だった所を借り、客室をそれぞれの私室として使い、1階の食堂を事務所にし、キッチンを共同キッチンとした。
因みに、会議室は食堂を会議が必要なときだけ間取りを変えることにした。
そして、専用のオフィスの予定地として運河の船着き場近くの広めの土地を買い、そこにレンガ造りのビルを建てる予定になっている。