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今日から商人を始めますわ!  作者: 翠狐
第一章
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出発!

お爺様の屋敷で2泊し、タンデヴィシュ皇国に向けて再び運河沿いの船着き場に向かい、タンデヴィシュ皇国の王都行きのチケットを買い、船に乗った。


そして、私はそんな中、船の一室でお爺様から頂いた印璽について考えを巡らせていた。


『この印璽の模様、何処かで見た気が...』


印璽には細かい細工が施された錨が描かれており、印璽も硝子か何かで出来ているようで透き通っている。そして、特徴的なのが、印璽そのものに魔力が込められており、何かしらの魔法も施されているように感じる。


「何処で見たのかしら...」


「お嬢様、何をされているのですか?」


「マリア?ちょっと、お爺様から頂いた印璽を見ていたのだけれど、何処かでこの模様を見たことある気がするのだけれど、マリアは見たこと無い?」


「...確かに私も何処かで見たことある気が致しますが、思い出せません。」


「そう。でも、マリアも見覚えがあると言うことは、有名なものなのかしら。」


「本の方には書かれていないのですか?」


「本は特殊な魔法石が要るみたいで開けなかったの。」


魔法石は、魔法が使える人にはとても便利なアイテムで、例えば、水の魔法が使えなくても、水の魔法石があれば、ある程度使えるようになったり、水の魔法を使える人が水の魔法石を使えば威力が増したりと、とても便利なアイテムだったりする。

そして、魔法石の中には、無属性の魔法石もあり、無属性の魔法石に向かって、魔法をかけると、かける魔法の精度や技術によるが、その魔法効果を持った魔法石になる。

この本に必要な魔法石は、一般に開錠の魔法石と呼ばれる特定の呪文や血に反応して、封印を解く為の魔法石が必要になる。


「では、封印を解くのは難しいのでは?」


「お爺様が言うには、『リバーサイド家の血筋に反応する筈だから、何とかなる』とのことです。」


「はあ...では、開錠の魔法石さえあればよろしいのですか?」


「その筈なのですが、特定の開錠の魔法石じゃないと開かないようです。」


手持ちの開錠の魔法石を使い開錠しようとすると、光を放ち途中までは成功するが、完全に開錠するには至らず、魔法が途中で消えてしまい。


「特定の開錠の魔法石を探さしださないとどうしようもありませんから、今は置いておくことにします。それよりマリア、皇国までまだだいぶ時間がありますが、皆は何をしていますか?」


「それぞれ船室で休んだり家族への手紙を書いたり、皇国のことに関して調べているようです。私も先程まで少し皇国について調べていました。」


「そう言えば、私、皇国については皇室が絶対的権力を持ち、とても大きな国土とたくさんの国民が居ること、多種多様な種族が共存していることくらいしか知りませんね。」


「では、恐れながら私がお嬢様にお教えいたしましょう。」


マリアが教えてくれた事を纏めると、

最近の皇国は、産業の発展に力を入れていて、商人や職人に手厚い援助を行って、産業の発展を後押ししていることや、各国から延びている運河が皇国の王都に集まり、貿易の要として発展していること、周辺の小国へも援助を行い、良好な関係を築いている事など、周辺国家のまとめ役として強い信頼を得ており、万国共通の国際法発祥の地であり、国際裁判所があることなど、皇国の現在の情勢や評判を中心に話が進んだ。


「では、商売を始めるには好条件という訳ですね。」


「そうですね。ただ、国際法発祥の地なだけありまして、犯罪者にはかなり重い罪が課せられるそうです。大抵は奴隷身分にされるそうですが、極刑や長期強制労働などもあり、中には嵌められて犯罪者にされる者も居るようで、気を付けないといけません。特に、老舗商会は新興商会に利益を吸いとられ気味ですから、老舗商会と上手く付き合わないと、目をつけられて潰されてしまいます。」


「それはそれで怖いわね。でも、老舗商会と組めることが出来れば、上手く回せそうですね。」


「そうですね。新興商会の中には老舗商会のやり方に不満を持っている者も多いですが、老舗商会と組んでいる方が圧倒的に有利ですね。まあ、お嬢様の場合、貴族位を無くしたとは言っても、資産家としてもリバーサイド家は国際的に名門の認識ですから、簡単には老舗商会にも新興商会にも手は出されないとは思いますが。」


実は、リバーサイド家は、シガルタ王国で侯爵の位を持った貴族になる前から資産家として有名な家で、『ゴールドリバー』と呼ばれる程だった。運河を利用した水運で巨万の富を築き上げ、全盛期にはどの国よりもお金を持っていた程であった。当時、シガルタ王国とは良好な関係で、シガルタ王国の経済発展に寄与した功績に対して、侯爵位を得ていた。

なので、貴族位を失ってもリバーサイド家と言えば資産家として今も通る為、商人としての再スタートは良い選択であった。


「それもそうね。じゃあ、また『ゴールドリバー』と呼ばれるように頑張らないとね。」


「あまりやり過ぎると国に目をつけられてしまいますよ?」


「いっその事、国も巻き込んで、商売をしてしまえばいいのよ!」


「く、国ごと...お嬢様は一体、何をなされるおつもりなのですか.....」


「それはね...」


意味ありげな笑顔をマリアに向け、計画を一つ一つ説明していき、船は運河を皇国へ向けて進んでいった。

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