孫馬鹿なお爺様
「フィナあぁぁぁぁぁあああ!!!!!!」
「あべしっ!」
「「「「「お嬢様ーー!!!!」」」」」
お爺様の屋敷に着いて、呼び鈴を押すと、お爺様が二階から私めがけて飛び降りてきて、協力なタックルを喰らい、抱きつかれ、地面を転がり、私が伸されている間に、お爺様は摩擦で発火するのではないかと言う勢いで頬擦りをしてきて、使用人達が慌てて二人を引き離し、屋敷の客間に移動する。
「お爺様。私、死んでしまうかと思いましたわ。」
「うむ。孫が可愛すぎてつい、嬉しすぎて、はしゃいでしもうたわい。ホッホッホッ」
このマイペースで孫馬鹿で、姿が見えて、無意識に二階から飛び降りて孫にタックルを喰らわした老人こそ、先代リバーサイド侯爵である。
因みに、さすがにやり過ぎたため、孫から強烈な一発を貰って頬に、綺麗な紅葉を咲かしている。
「それにしても大変じゃったな。昔から馬鹿だ馬鹿だと思っていたが、王宮の財宝に手を出すとは。」
「そうですね。私も正直、驚きました。お父様の馬鹿はお爺様譲りだと思いますよ。」
「うむ。しかも自分の娘を放って、雲隠れとは、けしからん!!!ん?儂がなんじゃって?」
「何でもありませんわよ。お父様に関しては、こちらから親子の縁を切らせて頂きます。」
「それがよい。儂もあんな奴は勘当じゃ!」
お互いに雲隠れした現リバーサイド侯爵を罵りつつ、溜まっていた鬱憤を晴らすと、落ち着いてきて、今後の話になり。
「私はこの国を出て、隣のタンデヴィシュ皇国に移住して、使用人達と一緒に、商売を始めようと思っています。」
「なぬ!?隣国に移住するのか!?儂も行くぞ!」
「鬱陶しいので、来ないで下さいまし。」
「あべしっ!」
深刻なダメージを受けた祖父は、直ぐに気持ちを建て直し。
「皇国に移住するとしても、資金が無いのではないか?」
「私の貯金に白金貨があるので。」
「なぬ!?で、では、商売の仕方は!」
「商売の仕方はわかっています。」
「っ!で、では、言葉は!」
「皇国とこの国の言葉は共通で御座いますよ?お爺様。」
「くっ!駄目だ!儂には止められぬ!」
机に両肘をのせて、拳を握り、プルプルと震えていて。
「はぁ...わかりました。向こうでの生活が安定したら、お爺様をお呼びしますから。」
「本当か!?よし!ならば、良いものを渡そう。」
祖父はそのまま部屋を出ていきかなり時間が経った頃に戻ってきた。
「これを持っていきなさい。何かの時にきっと役に立つ。」
手渡されたのはかなり古そうな封蝋に使う印璽で、とても豪華で綺麗な珍しいデザインをしている。
「お爺様、これは?」
「代々、我が家に伝わる物だ。その印璽と共に古い本も受け継がれている。魔力を込めれば本の封印が解け、中身が読める仕組みになっているそうだ。家に危機が迫った時に使えと言われている。きっとフィナの何かに役に立つだろう。」
「ありがとうございます!お爺様!」
「ぬおぉぉぉぉぅぅぅう!!!!!」
祖父に抱きつくと、祖父のテンションが上がり、勢いよく立ち上がり、飛び上がると、フィナは祖父に吹き飛ばされ、祖父は天井に突き刺さり、頭から下をブラブラと吊り下げることとなった。
もはや使用人達はなにも言わずに淡々と、2人の救出を行った。