運河
資金の確認で銀貨と思っていたものが、白金貨だったと言う予想外の出来事があったものの、お金だけには一生、困らないことが判明し、安心して宿を取ることが出来た。
宿で一泊してから、王都に流れる運河を上り、リバーサイド侯爵領に入り、祖父の家を目指すことになった。
「お嬢様、本当にその服でよろしいのですか?」
今、リバーサイド侯爵領へ向かうために出発の支度をしていて、町でよく見かける既製品のドレスに、上から少し締め付ける程度の革のコルセットをし、革の膝丈までのブーツを履いたのですが、マリアには不評のようです。
「普通の町娘の格好の方が動きやすくて便利ではありませんか。」
「それは、そうなのですが...」
「それに、皆、私服での移動ですよ?私だけヒラヒラしたドレスでは、浮いてしまいます。」
「うっ.....」
と言うマリアとの攻防を挟み、朝食を宿の一階でとり、運河の船着き場に向かう。
朝一と言うこともあり、各地からの新鮮な野菜等の食料品が集まり、あちこちで商品の売買が行われて、活気に満ち溢れ、人でごった返している。
「早く船のチケットを買わないと、売り切れてしまいそうですね。」
「では、私が人数分のチケットを買って参りますので、皆様は、船の近くで待っていてください。」
「わかりました。セバス、よろしくお願いしますね。」
セバスが船のチケットを買ってきて、船に乗り込むと、直ぐに出発し、運河をリバーサイド侯爵領へ向かって進んでいく。
「今思えば、運河の船に初めて乗りましたわ。」
「いつも、馬車で御座いましたからね。」
「馬車より揺れませんし、ゆったり出来ますから、これなら運河の船を使うべきでしたわ。」
「運河の船はあまり貴族の方は使われませんから。」
「そうなのですが?こちらの方が断然、よろしいのに。」
今、乗っている船は、王国が所有している蒸気船で、船尾に真っ赤な大きい水車が取り付けられている白い三階建ての蒸気船で、一階は個室が並び、二階は室内に椅子が並べられた空間になっており、三階のデッキには操舵室とオープンテラスのレストランがある。
「それに、貴族の方が利用しても十分、豪華な船だと思うのですが。」
「平民と同じ船と言うのが嫌われている理由のようで御座いますね。」
「なるほど。確かに、お父様も平民の方と同じ店はお嫌いでしたわね。私は特に気にならないのですが。」
「お嬢様は少し変わっておられますからね。」
「まあ。マリアったら。」
マリアとお喋りをしながらも、船は運河をどんどん進んでいき、半日ほどでリバーサイド侯爵領に着き、下船すると、船着き場で借りた馬車に乗り、祖父の家へ向かい、日が落ちる頃に森の中にひっそりと立つ祖父の屋敷に着き。